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【ビーチフラッグス的な?】

禁断術で守られた通路を抜けると、広い部屋に出た。その中央に、台座らしいものがあり、小さい明かりでライトアップされ、何かが置いてあるような……。それを見たフィオナが言う。


「あれがヴァジュラです」


「あれが??」


改めて目を凝らすと、台座の上には大きい金色の杖のようなものが。


「すぐに回収しましょう」


フィオナが速足で部屋の中央へ歩き出したそのときだった。僕らが入ってきた扉の反対側に、もう一つの扉があったのだが、それが開く。


「あっ!」


「う、うわぁっ!」


開いた扉から、部屋の中に入ってきたのはブライアだった!


ブライアも僕たちを見て驚愕の表情を見せたが、部屋の中央に向かって駆け出す。フィオナはブライアの意図にいち早く気付いたらしかった。


「まさかヴァジュラを!?」


先にヴァジュラを手に取って戦うつもりか!


「渡すものか!」


一足遅れたが、僕と皇がヴァジュラの方へ駆け出す。距離は十メートルほどだろうか。スタートダッシュは向こうが先だったが、ブレイブアーマーを装着した脚力なら、引けを取るわけがない。先にヴァジュラを奪い取ってやれば――。


「二人とも、ヴァジュラに触れてはダメ!」


そうだった! あれはオクトの遺伝子を持つ人間じゃないと触れられないのか。じゃあ、ブライアを取り押さえれば……と思ったが、やつの後ろにはアッシア兵が三人も!


アッシア兵たちも同じことを考えたのか、ブライアより前へ出て、僕と皇の方へ突っ込んできた。アッシア兵の一人が僕に向かってタックルを仕掛ける。僕は跳び箱のように、それを飛び越えてやるつもりだったが、足首を掴まれてしまった。


「ぐぇっ!」


引きずり落とされるように、床に叩きつけられる。さらに、アッシア兵は僕を抑え込こもうとして、腰の方へ手を伸ばしてきた。


「邪魔するな!」


僕はアッシア兵の顔面を蹴り付ける。

二発、三発と。


敵の力が弱まったので、僕は足首を掴む手を払って立ち上がった。


でも、アッシア兵はもう二人いたはず、と横を見てみたが……僕が一人を倒す間に、皇が既に制圧していたらしい。


密かに対抗心を燃やす僕に、皇が呟く。


「遅かった」


「う、うるさいな。お前が倒したやつらより、僕が相手した方が強いやつだっただけだ」


「君のことじゃない。あっち」


皇が正面の方に人差し指を向ける。そこにはほっと一息吐くブライアの姿が。


「何やら騒がしいからヴァジュラの様子を見に来てみれば……。いやー、危なかったよ」


ブライアは手の甲で額を拭う。たぶん、あいつも必死で走ったのだろう。


「でも、勝利の女神は僕に微笑んだみたいだ」


そして、その手にはしっかりとヴァジュラが握られていた。

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