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【王女襲撃】

「うおりゃあああーーー!」


渾身の飛び蹴りだったが、

暗殺者は余裕を持ってかわす。だが、その間に護衛がフィオナを逃がそうとしてくれた。


これでお姫様の安全は確保できたか……と思いきや、暗殺者の一人がナイフを投げ付け、それが護衛の背に突き刺さった。


ドサッと音を立てて倒れる護衛。


「フィオナ、隠れろ!」


僕が叫ぶと、フィオナは何とか柱の影に隠れてくれたが、敵は二人で凶器持ち。


これは僕の身も危ないんじゃないか?


二人の暗殺者はフェイスマスクで顔を覆い、目もゴーグルで隠しているため、表情は全く分からず、とにかく不気味だ。


僕がびびっている間に、一人が飛びかかってきた。


そして、もう一人がフィオナの方へ。


「行かせるか!」


しかし、飛びかかってきた方に道を阻まれる。やばいぞ、フィオナに怪我でもさせたら……!


と、そのときだった。


「姫様、どうなされた!」


複数人の大人が駆け付けた。

僕が大声を出したのが聞こえたのだろうか。フィオナの方へ向かおうとした暗殺者は、一瞬ためらいを見せたが、窓ガラスを突き破って外へ逃げる。


僕と対峙している方の暗殺者も同じように外へ逃げたので、割れた窓を乗り越えて後を追った。


どうして刃物を持った相手に対し、こんなに積極的に動けるのだろうか、と少し考える。


そうだ、僕は怒っているんだ。オクトを守るため、たくさんの人を救うため、夜遅くまで働くフィオナ。


その命を狙うなんて、許しちゃダメだ。


「待てこの野郎!」


僕は暗殺者の背中に向かってタックルで組み付く。何とか足に絡みつき、暗殺者を倒すことに成功した。


だが、僕の目の前を銀の輝きが通過する。


「うわわわっ!」


ナイフだ。

こいつ、ナイフを振り回したぞ!


暗殺者は後ろに下がったが、僕一人ならどうにかなると思ったのか、ナイフを構え直した。


ビュンッと音を立てナイフが僕の顔面――いや、首へ向かって振られた。持ち前の動体視力で避けられたが……マジで怖い!


いつもパンチを避ける練習はしているけど、それとはプレッシャーがぜんぜん違う!


少しでもかすったら、さっきの護衛の人みたいに死んじゃうんじゃないの?


しかし、暗殺者は少しずつ距離を詰めて、僕にナイフを一刺しする瞬間を狙っていた。せめて、盾とかあれば心強いんだけど……。


ん?

待てよ?


今の僕って盾なんかよりも、防御力の高い装備があるんじゃなかったか?


「ふっふっふっ。どこの不届きものか知らないが、この僕がいるときに犯行に及んでしまうとは、運がなかったな!」


あまりに僕が自信に満ちた態度を見せたせいか、暗殺者は怯むように一歩下がった。下がった、気がした。


「これを見ろい!」


そう言って、腕にはめられたブレイブシフトを見せつける。


「この勇者、神崎誠がとっちめてやるぜ。行くぞ、変身!」


僕はブレイブシフトを左手で握りしめ、叫んだ!


すると、眩いばかりの光が僕を包む……。


あれ?

ぜんぜん光らないぞ?


「おかしいな。変身!」


もう一度叫んでみるが、何も起こらない。こちらの不調に気付いたか、暗殺者がナイフを振り上げた!


「た、タンマ!」


なんて要求しても止まってくれるわけがなく、暗殺者がナイフを振り下ろす。


「ひゃあああーーー!」


何とか身をひねって避けたが、次も同じようにできるとは限らない。


くそ、なんで変身できないんだ!


ナイフを警戒し、次の攻撃に備えたが、暗殺者は前蹴りを放ってきた。意外な攻撃に反応できず、爪先が鳩尾に突き刺さる。


「ぐえぇ!」


と毎度の呻き声を漏らし、僕はひざまずいた。やばい、この隙にナイフで刺されたら……


と顔を上げるが、そこには誰もいない。いや、走り去る暗殺者の背中を見付ける。


フィオナを襲った犯人を逃すわけにはいかない。お腹の痛みを我慢して、根性を振り絞って、僕は暗殺者を追いかけるのだった。




向こうの世界で高校に通っていたとき、僕は誰からも相手にされなかった。その場にいても、いないように扱われていたのだ。きっと、嫌われていたのだろう。当時はそう思っていた。


が、たぶん違ったのだ。

僕は異様なまでに影が薄かったのだ。


そうでなければ、一国の王女を暗殺しようする輩の尾行をこんなに上手くできるわけがない!


僕は暗殺者の跡を追い、やつがオクト城の敷地内へ出て行くところを……


と思ったのだが、意外な展開となった。


暗殺者はオクト城の別館とも言うべき、建物へ入って行く。


ドアノブをそーっと回すと、運良く扉が開いた。中に入るべきか、迷っていると、かすかに声が。


「そうか、失敗か。だが、まだチャンスはある。イロモアまで移動している間なら、フィオナが一人になる時間があるはずだ」


あれ、この声ってブライアさんの声だよね……?


「申し訳ございません。次は必ず」


ちょっとちょっと!

この声は、さっき話したメイドさんだろ?


「うん、期待しているよ。リリ」


僕は忍び足で扉から離れた。

こういうのって、証拠を掴んだ途端、後ろから殴られて、気付いたら悪いやつらに捕らえられている、っていうのがパターンなんだけど、


奇跡的にそのフラグは回避できたようだった……。


それにしても、

暗殺者の正体はメイドさんで、

黒幕はブライアさんってことだよな。


僕はどうするべきなんだ……?

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