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【王女の志】

アインス博士とニアのところに、フィオナはいなかった。が、ニアがフィオナのスケジュールを調べてくれた。


「本館の第三会議室です。明日の出発について、まだ話がまとまっていないみたいですね」


何とか自力で第三会議室に辿り着く。

ドアは開いていて、たくさんの大人が出入りしていた。中からフィオナの忙し気な声が。


「移動中のお弁当、不足分は確保できたの?」


「交渉中ですが、恐らくは用意できます」


「戦う前の勇者たちに空腹を感じさせたくない。確実にお願いね。あと、合流予定の戦士、魔法使い、聖職者の数は分かった?」


「あと一時間でまとまります」


「三十分でまとめられるはず。悪いけど、もうちょっとだけ頑張って。アニアルークの旧政府から連絡は?」


「ありましたが、出せる戦士は三百人とのことです」


「それじゃ足りない。後で直接交渉するしかないわね。二十分後に私から電話するとだけ伝えて」


フィオナがどれだけのことを仕切っているのだろうか。次から次へと進捗を確認し、指示を出している。


これまで、僕は地獄の特訓に耐えてきたと思ったけど、フィオナはフィオナで毎日のように地獄の戦いを繰り返しているようだ。


そう考えると……

僕のことなんかでクレームを言えないよなぁ。




会議室の前に椅子があったので、そこに座って待っていたが、朝からバタバタしていたせいもあって、眠気に襲われてしまう。


はっと気付いたとき、会議室から聞こえていた騒がしい会話がほとんどなくなっていた。


まさか、と思って中を覗くと……


フィオナがいない!


「あの、フィオナ……フィオナ様はどちらに?」


近くにいた大人に聞いてみる。


「ん? ついさっき自室の方へ向かったけど、君は?」


腕にあるブレイブシフトを見せた。


「勇者様でしたか。明日は早いので、すぐに休んでくださいね」


「ありがとうございます!」


便利だぜ、ブレイブシフト!と胸を弾ませながら、僕はフィオナを追いかけた。




広い廊下。

二人の護衛を引き連れたフィオナの背中を見付ける。引き止めようと口を開きかけたが、視界の隅に何か違和感が。


それは天井付近だ。

黒い衣装に身を包んだ二つの影。


あれって暗殺者なんじゃないか!?


「上! 上見て!」


僕の呼びかけに、護衛の二人とフィオナが振り返る。


「違う、上だってば!」


僕が指を刺したところで、三人が上を向く。しかし、天井にあった二つの影は、既に飛び降りていた。


二つの影が着地すると同時に、血しぶきが舞う。


護衛の一人がフィオナを突き飛ばして、何とか難を逃れた。が、もう一人の護衛は死んでしまったのか、倒れたまま動かない。


「やめろ、この野郎!」


フィオナを助けるため、僕は暗殺者二人に向かって駆ける。


だけど、待ってくれ。

あいつら、手に刃物を持っているぞ。


凶器を持った敵と戦ったことなんてないけれど……大丈夫か?

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