93 オークウォーリヤー
2020.9.14 剣技 → 闘技 に変更しました
2020.9.17 ニーナとオークウォーリヤーとの激突で一部シーンを変更しました。
「へぇ、さすがだね。震えるよ」
ニーナは一瞬少し強張ったような顔を浮かべたが、再びにっこりと微笑み、身構える。
オークウォーリヤーも重たそうに見える長い柄の斧を軽く振り回し、ぐふふと笑った。その周りで、ハイオークたちも、棘のついた棍棒や、斧、槍といったそれぞれの得物を持ち身構えた。他のオークたちは、手を出すことも出来ず、様子をじっと見ている。
『痛覚』
ニーナは、3匹のハイオークに向かって呪文を放ち、相手はがうっと声が漏れる。そして、それをまるで合図にしたように、他のハイオークが一斉に武器を突き出してきた。
【飛行】
ニーナは、それを躱して、真上に跳んだ。通常の生物であれば在り得ない動きで、彼らはそれを失念していたのだろう。ニーナが居た場所に武器は突き刺さったまま、思わずその動きを目で追う。
<縮地> 格闘闘技 --- 踏み込んで殴る
ニーナの軌道が鋭角を描いてオークウォーリヤーを目指す。
<岩破> 格闘闘技 --- 装甲無効技
装甲無効技の闘技を載せ、ニーナの膝がオークウォーリヤーの頬に食い込んだ。オークウォーリヤーの足が一瞬宙に浮く。
「ブモッ!」
オークウォーリヤーは転倒はなんとか耐え、その場に踏みとどまった。ニーナは、顔を足場にして、後ろに一回転して、すたっと着地する。
オークウォーリヤーは衝撃に頭を振ったが、それでも、斧の長い柄の一番端を持ちなおした。そこをもって、手で振り回す。ブンブンと風が巻き上がる。その勢いのまま、ニーナの方に一歩踏み込んだ。ニーナは後ろにステップを踏み、その攻撃を避ける。
「ちっ、頭に装甲無効技直撃で倒れないとか…。たまんないね。ワクワクする」
そこにハイオークが4体殴りかかってきた。彼女は一旦しゃがむと、低姿勢から周囲の4体に回転しながら蹴りを放つ。
<旋脚> 格闘闘技 --- 全周囲攻撃
「連携がなってないって言ってるじゃない」
ぽんと飛んで、蹴りを受けて倒れたハイオークの上に足をそろえて飛び降り、足を捻ってトドメを刺す。
【毒針】
『即死』
『魔法の矢』
『毒』
他のハイオークもバタバタと倒れた。その呪文を使ったニーナに落ちていた斧を拾ったオークウォーリヤーが投げる。
<鉄防> 格闘闘技 --- 防御力上昇
スキルで強化した両腕を前で揃え、飛んできた斧を防ぐ。そこに、斧を追いかける様に走ってきたオークウォーリヤーが体当たりをした。ニーナはそれをそのままの姿勢で受け止める。
ガツッ
まるで岩と岩がぶつかったような音。
ニーナは体重では数倍以上あるオークウォーリヤーの突撃を身体強化された力で弾き飛ばした。だが、彼女も強化した自分自身の力をコントロールしきれず転倒してしまう。
・・・
立ち上がるのはオークウォーリヤーの方が少し早かっただろうか。再び両手もちの斧を振り、ニーナに襲いかかる。彼女は足を振り上げて斧の軌道を逸らすと、その振った脚の反動でひょんと立ち上がった。
「ふふん、楽しいね」
ニーナは飛行スキルの力も借りて一気にオークウォーリヤーの懐に飛び込んだ。
<連撃> 格闘闘技 --- 2回連続攻撃
人間であれば弱点であるはずのみぞおちを狙って、拳、肘の連撃を決め、すぐに横に飛びのく。しかし、相手は全く効いた様子もなく、両手を拡げ、ニーナを捕まえにかかる。躱し、下がり、躱し、下がって、下がる。オークウォーリヤーは斧を振り回したが、なんとか距離を保つ。
「んー、やっぱり、こいつ相手だと、身体を強化しないと無理か。強化しなくても、僕は普通の人間よりはだいぶ強いんだけどな。仕方ない、そろそろ止めだ」
【肉体強化】
ニーナは自分の身体を強化し、トントンとステップを踏んだ。オークウォーリヤーは一瞬気圧されたが、叫ぶ。
【魂の叫び】
叫びと共に、両手の斧を持って、ニーナに突進していく。大きく振りかぶり、その小さな身体に向けて振り下ろす。
<逆突> 格闘闘技 --- カウンター技
振り下ろした攻撃を避け、膝蹴りがオークウォーリヤーの下腹に食い込んだ。ニーナはそのまま脚を振り切る。オークウォーリヤーの巨体はそのまま宙に舞った。
<崩撃> 格闘闘技 --- ダメージアップ
落下してきた巨体の首をニーナの爪が薙いだ。肉が半分以上抉れ、血が噴き出る。オークウォーリヤーは力を急速に失い、その場に倒れ伏した。
血まみれになったニーナを見て、残ったハイオークやオークたちは震えあがった。慌てて逃げ出し始める。
「ダメだよ。逃がさない」
逃げ出したオークたちを、ニーナは飛びながら追い、トドメを刺していく。
1体が別のテントに逃げ込み、テントが崩れる。そこには、エルフと思われる女性たちが裸で捕まっていた。孕んでいる者もいる。
「あーあ、これか。長老の言ってた通りだね。逃がすとここでの話が伝わってしまうか。オークは自業自得とあきらめるんだね」
残ったオークも、ニーナは綺麗に退治した。死体は全部死霊術を使ってゾンビとして回収することにする。かなりの数ではあったが、長老が何人かのエルフたちを引き連れてやってきたころには、処理が終わった。
「長老、ちょっとまだ、近づくんじゃないよ」
ニーナは近づく長老に声をかける。
「もう、終わったのでは?」
「ううん、あと1時間は待ってね」
読んでいただいてありがとうございます。




