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猫《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】  作者: れもん
第10章 サラマンドラの髭

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89 ヨンソン山洞窟探索3

      

 無事サラマンドラの髭を手に入れ、宝箱まで入手したというのに、帰り道は、皆言葉が少なかった。

 

「お嬢様、マート様、オズワルト様、アズワルト様、お帰りなさいませ」

 

 クララとジョンが4人を出迎えたが、微妙な雰囲気を感じて、首を傾げる。

 

「クララ、無事サラマンドラの髭を手に入れることが出来たわ。王都に帰るわよ」

 

 ジュディは声を張った。

 

「おめでとうございます。お嬢様。ようやく杖を作ることが出来ますね」

 

「そうね、(キャット)、加工を手伝ってくれるわよね」

 

「いや、もう俺の仕事は終わりだろう?王都まで着いたら、盗賊の財宝の話を冒険者ギルドに届けるまでは付き合うが、加工については、俺は専門外だ」

 

「えー、教授がまた会いたがってたわよ。ちょっとぐらい良いじゃない」

 

「財宝ってなんですか?お嬢様」

 

「盗賊がここに宝箱を隠したって話があったでしょう?あれを見つけたのよ」

 

「わぁ、さすがマート様です。ランス卿が認められるだけはありますね」

 

 クララの、"ランス卿が認めた"という言葉に、オズワルトとアズワルトの2人はピクンと反応した。

 

「ランス卿だけじゃないわよ、ライラ王女も水の救護人(ウォーターレスキュー)の名前は知ってたわ」

 

 水の救護人(ウォーターレスキュー)というのも、オズワルトとアズワルトは聞いた事はあった。王都でも評判のヒーローだ。

 

「そんなのはどうでも良いさ。帰ろうぜ」

 

「あの、ランス卿が認められた…というのは?」

 

 オズワルトが、小さな声で尋ねた。

 

「セオドール様とロニー様が最近仲直りされたという話は2人は御存知ですか?」

 

 クララが逆に2人に尋ねた。

 

「ああ、我々は王都に居たので詳しいことは知らないが、そう聞いて安心していたところだ」

 

「ハドリー王国が暗躍していたという……」


「クララ、それは話しちゃダメだ」

 

 クララが得意そうに言い始めるのを、マートは慌ててさえぎった。

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、ダメだ。ジュディ、そうだろう?」

 

「う……うん。そう……ね」

 

 ジュディは舌を出している。クララに話をしたのは彼女らしい。

 

「でも、2人なら良いわ。この際だし、ちゃんと話をしましょう。2人共馬車に乗って頂戴。ジョン、2人の馬は馬車につないでくれる?」

 

「お嬢、俺は外で歩いてるぜ」

 

 マートは馬車と並んで歩き始めた。

 

 馬車の中で、ジュディは伯爵家の家督相続の件でのマートの活躍や、どうしてそれを公にできないのかを説明した。そして、その上で今の言葉遣いについて、公式な場以外では認めていることを説明したのだった。

 

 2人は静かにそれを聴き、考えさせて欲しいと馬車を降りて、おのおのの馬に戻ったのだった。

 

読んで頂いてありがとうございます。


2人は頭ではわかる部分があっても、納得できませんでした。少し灰色な結末ですが、今後に続く展開ということでご理解ください。

 

次回は新しい章になります。毎日連載はもう少し続きます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 逆に言えば、団長とかに「次は殺せ……!」とか言われないか本当に気になる。(騎士に密命)
[気になる点] 帰った後でちゃんと怒られる(強めの叱責)かどうかが気になる。 この二人はメイドも闇討ちするんですか?
[一言] 「2人は静かにそれを聴き、考えさせて欲しいと馬車を降りて、おのおのの馬に戻ったのだった」 主人の命に従わない騎士何て危なくて、傍に置けないでしょう。帰ったら、少なくとも早々に配置換えか解雇…
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