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猫《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】  作者: れもん
第10章 サラマンドラの髭

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87/411

86 ヨンソン山探索5

2020.8.17 サブタイトルの番号間違ってました。85→86

2020.9.21 マジックバック → マジックバッグ

2020.10.24 サラマンダー → サラマンドラ

   

 翌日の朝、マートは他のメンバーを8合目のあたりに残して洞窟探しに向かった。ジュディは一緒に行きたがったのだが、オズワルトとアズワルトが揃って頭痛を起こしたし、探索日程に余裕もないことから、そういうことになったのだった。

 

 マートは、他のメンバーが見えなくなるまで移動すると、飛行スキルで空に飛びあがった。実は今回の洞窟の情報はかなり少ないので、見つけられるか心配していたのだ。草木が枯れているという話だったが、頂上付近はかなり植物自体が少なくあまり目印にもなりそうになかった。

 

 空から草木を探しては降下して調べるというのを繰り返したのだったが、腐った卵のような異臭を嗅ぎ取り、それを手がかりにそれらしい洞窟を見つけたのはもうすぐ昼になろうという頃だった。

 

 その洞窟からは普通の風穴のような涼しい風ではなく、もわっとした熱気が立ち上っており、話に聞いた溶岩にたどり着けそうな雰囲気であった。戻ろうと、一度空に飛びあがったマートに、他のメンバーがキャンプしている方向から微かに魔獣か何かの叫ぶ声が聞こえた。

 

 全速力で戻ったマートではあったが、そこで見たのはおそらくジュディの魔法でとどめを刺されたのであろう半ば焼け焦げて地上に落ちたワイバーンと、ジュディを守り槍を構えているオズワルトとアズワルトの兄弟の姿だった。

 

「ああ、よかった。無事だったんだな」

 

「当たり前だ。我々がお側にいるのだからな」

 

 オズワルドとアズワルトはそう言いながら、槍を振って感触を確かめていた。

 

「おかえり、(キャット)、どうだったの?」

 

「ああ、それらしい洞窟はあった。だが、やっぱり馬では無理そうだ。どうする?」

 

「馬や馬車をマジックバッグに仕舞うのは無理?」

 

「それは無理だ。大きすぎる」

 

 そう聞いて、ジュディは考え込んだ。

 

(キャット)、2人で行きましょう。オズワルト、アズワルト、クララ、ジョン、少し細い道のあたりまで戻って待っててくれる?」

 

「お嬢様?!」

 

 クララとオズワルト、アズワルトの兄弟が言葉を発したのはほぼ同時だった。

 

「私以外でワイバーンに対処できるのはオズワルトたち2人だけだわ。もし、私がいない時に、もう一体ワイバーンが襲って来たらって考えると、2人を残さないと危険よ。私のほうは、サラマンドラと話し合うだけだもの。(キャット)がいれば大丈夫」

 

「お嬢様、お考え直しください。お嬢様が男性と二人きりなどと...もし無事だったとしても、帰ってから伯爵に言い訳する言葉がございません」

 

 クララがまずそう言った。

 

「私たち兄弟はジュディお嬢様を守るために来ております。是非お側に」

 

 オズワルト、アズワルトの兄弟もそう言ってジュディの前にひざをつく。

 

 しばらくの間、沈黙が続いたが、御者のジョンが口を開いた。

 

「お嬢様、よろしいだか?心配してくださるのはありがたいですが、少し戻ったところに岩陰があったと思いますで、そこに馬車は隠すことにいたしますだ。儂と馬車や馬の事は大丈夫です」

 

「わかったわ。クララもジョンと一緒に待っていてくれる?もし、ワイバーンや他の魔獣が襲って来たら、馬車は捨てて良いから自分の身だけ守ってちょうだい。良いわね。約束よ」

 

「わかりました」「わかりましただ」

 

「じゃぁ、4人で出発よ。(キャット)、案内してくれる?」

 

 

読んで頂いてありがとうございます。

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