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猫《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】  作者: れもん
第8章 ニーナの冒険

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68 ニーナのモンスター退治2

2020.9.14 剣技 → 闘技 に変更しました

 

 ニーナは、カギ爪の生えた腕をゆっくりと握ったり開いたりしつつ、自分に強化系のスキルや魔法を使う。

 

肉体強化(ボディブースト)

飛行(フライ)

爪牙(クロウファング)】 

防護(プロテクション)

 

 マンティコアは、立ち上がった。距離はまだ500m以上離れているが、ゆっくりと歩いてニーナに近づいてくる。ニーナはその場で、マンティコアをじっと睨むようにして立っている。その様子をみて、マンティコアは少しづつ歩みを速めて距離を詰めてきた。300m、200m あっという間に彼我の距離は縮まっていく。

 

 マンティコアがニーナの立っていた所に一気に飛び込んだ。獅子の腕にさらに爪を伸ばして、周りを薙ぎ払いつつ、体当たり。10トン近い体重そのものが凶器だが、ニーナは軽やかに空中に跳ねて躱す。

 

 ジャンプしたニーナにマンティコアがサソリの尾を振るうが、ニーナは飛行スキルをつかって自分の動きをコントロールして一抱えもありそうな毒針を左手で弾き、逆にその伸びた殻の隙間を狙って毒針を撃ち、呪術呪文を使う。

 

毒針(ポイズンニードル)

即死(デス)

 

 しかし、マンティコアには効いた様子はなく、ニーナのほうを向き直った。

 

「しぶといね。身体がでかいと効かないのかな」


 マンティコアはガルルと威嚇しながら、左右の前足で斬撃を振るう。ニーナは細い腕でその攻撃を捌く。マンティコアの前足はニーナの胴体より太いのだが、彼女は何とか凌げているようだった。


感情操作エモーショナルコントロール


 ニーナは呪術でマンティコアの怒りを増幅させた。徐々にマンティコアの攻撃が単調になり、力任せで腕を振ることが増え始める。

 

「呪文は効くんじゃないか。いろいろ試させてもらうよ」


生命力吸収(ドレインバイタリティ)』 

 

 ニーナの身体に力がみなぎった。スキルや呪文の多用で感じ始めていた疲労が消え、彼女は微笑みを浮かべた。怒りを募らせたマンティコアの攻撃がさらに激しくなりはじめる。

 

痛覚(ペイン)


「ぷぎゃぁ!!」

 

 マンティコアは後ろ脚の痛みにバランスを少し崩した。ニーナはその隙を見て、闘技を相手の顎に向かって放つ。

 

<発勁> 格闘闘技 --- 遠隔攻撃技

 

 マンティコアはふらついた。老人の顔というだけあって、顎といった弱点は人間と似ているかもしれない。さらにニーナはその懐に飛び込み、こめかみに蹴りを放つ。

 

<岩破> 格闘闘技 --- 装甲無効技

 

「がふっ・・・」

 

 マンティコアはその場に倒れ伏した。ニーナは後ろにステップを踏み、一旦距離をとる。

 

「どうしたんだい?もう終わりなの?」

 

 ニーナは低い声でそう挑発した。

 

痛覚(ペイン)

 

 薄目を開けたマンティコアはニーナに呪文を使った...が、ニーナには何も効果がなかった。

 

「ふふ、効いてないよ。しかし、これだけ身体がでかいと厄介だねぇ。こんなのはどうだい?」

 

「『呪い(カース)』 ≪イボカエルになれ≫...?ちっ、これは呪文にならないのか。よく絵本とかだと魔女がつかってるのにな。じゃぁ、これはどうだ?」

 

呪い(カース)』 ≪右前脚よ 萎えよ≫

 

 立ち上がろうとしたマンティコアの右の前足が急にカクンと曲がり、身体を支えられなくなったマンティコアはたたらを踏んだ。

 

「ふっ、これで形勢逆転だね」

 

 マンティコアは羽ばたいて飛び上がり、残った左前足とサソリの尾で何度もニーナを攻撃するが、単調になった攻撃は簡単に防がれ、逆にその強化した手の爪で攻撃され、徐々に力を失っていく。

 

「これでトドメだよ」

 

<逆突> 格闘闘技 --- カウンター技

 

 体重を生かした体当たりをしてきたマンティコアの顔面に細いニーナの腕が埋まった。衝撃でマンティコアの巨体がブルンと震える。そのまま、マンティコアは力を失い、その場にぺたんと倒れこむと動かなくなった。ずぼり...肘まで埋もれたニーナの腕がマンティコア自身の重みで解放される。

 

「うわー。思い切り行っちゃったな。血と脂でべとべとだよ。洗いに行かないと」

 

 爪牙スキルを解除したニーナは、ニヤニヤしながらゴブリンの集落におちていた汚い布切れで身体を軽く拭う。

 

“よく倒せたな。最後のほうは余裕があったではないか。たった一人であんな怪物を倒すとは”


“ふふっ、倒した。マンティコアを倒したよ”

 

“信じられん”

 

“ふふん。僕はデイモスマンティコアだからね”

 

 魔剣とそんな会話を交わしながら、ニーナは周りを見回した。


読んで頂いてありがとうございます。


ニーナの本性が、少し…。

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