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猫《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】  作者: れもん
第6章 黒い呪詛

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55 デイモスマンティコア ニーナ

2020.9.28 ごめんなさいライラ王女は2つ上の先輩です。

   

「ああ、現国王の娘、第四王女よ。今現在、学院にも在籍されておられる。私の2つ上の先輩で、才色兼備、みんなの憧れで、とにかく有名な方なの」


 ジュディの言葉にマートは、思わず頭を抱えた。

 

「どうして、その姿を?……単に人形を依り代にしただけだよな?」

 

「今回、魔法儀式を行うにあたり、精霊のイメージを皆共有する必要があったのじゃ。そして、闇の精霊或いは影の精霊と考えた儂等は、黒髪でクールな印象で、かつ、身近でよく知っている人物と考え、ライラ姫が一番わかりやすいと考えたのじゃ」

 

 教授はそう答えた。

 

「……」

 

「じゃが、これほど似るとは思っておらんかった」

 

「私もそう思っておりましたわ。教授、これはとてもじゃないですが、公にはできない……」

 

「ジュディ君その通りじゃ。ねこ君、頼む。精霊は姿を見せる必要はないのじゃろう?この精霊は特に王都で姿を見せるのは絶対にやめてほしい。ライラ姫は、国王陛下の一番のお気に入り。そっくりの女性を魔術で作り出したという事になれば、儂も、この助手たちも、ジュディ嬢も皆、不敬罪として処罰されてしまう可能性がある」

 

「先に謝っておいた方が良いんじゃないのかい?そっくりと言っても、見分けはつくだろ?」

 

 アニスがそう言ったが、教授たちは首を振った。

 

「だめじゃ。2人は瓜二つと言って良い」

 

“ニーナ、少しは落ち着いたか?”

 

 悩んでいる連中をさておき、マートは、ニーナに念話で尋ねた。

 

“まぁ、そうだな。とりあえず、ニーナとしての自覚は少しできた。そういえば、マート、顕現時のステータスはどうだ?”

 

“ああ、確認してみよう”

 

*************************************

*************************************

名前:マート

種族:人間

所属ギルド

 冒険者ギルド リリーの街 ランクC


※以下非表示

--------------------------------------

前世記憶:デイモスマンティコア

     顕現中

戦闘力評価

 訓練所1級

スキル

 戦闘:片手剣 ★★★☆

    短剣  ★☆☆☆

    格闘  ★★★☆

    投擲  ★☆☆

    弓術  ★★★★☆

 精霊:    ★★★☆☆☆

 運動:斥候  ★★★☆☆

    体術  ★★★☆

 生活:調理  ★☆☆

    音楽  ★★☆

    動植物 ★★☆

 魔獣:飛行  ★★

    毒針  ★★★

    爪牙  ★☆

    鋭敏感覚★★★

    呪術  ★★★

    肉体強化★★

    死霊術 ☆☆☆☆

魔法

 呪術:痛覚  ★★

    毒   ★☆☆

    幻覚  ★☆☆

   生命力吸収☆☆☆

    呪い  ☆☆☆

 死霊:生成【スケルトン】6

      【ゾンビ】  6

      【ゴースト】 1

      【レイス】  1

    操作  ☆☆☆

 精霊契約

  泉の精霊 ウェイヴィ(殻内のため反応なし)

*************************************

************************************* 

 

“顕現中は、()のある部分が無くなるぽいな”

 

“そうみたいだね”

 

“ニーナ自体の能力はステータスカードがないから、調べようがないのか”

 

“少なくとも、上限は顕現していない状態だろ。いろいろ試せばわかるかもだよ”

 

“そうだな。とりあえず、ライラって姫さんのおかげで、ニーナの話はあまり公にはせずに済みそうだな”

 

“そうみたいだね”

 

「ニーナ、私はライラって言ってみてくれ」

 

 マートは、考え込んだままの教授やジュディの横で、ニーナにそう言った。

 

 ニーナは、マートに近寄ると、わざと彼に寄り添うようにした。教授たちはニーナを目で追う。

 

「私はライラよ」

 

 その声は艶のあるアルトボイスだった。ジュディと教授は声を揃え、呟いた。

 

「声までそっくりよ(じゃ)」

 

----- 

 

 誰にも見られないうちにと、マートは、ニーナの顕現を解いた。

 

「あれは、何の精霊なのじゃ」

 

 教授は、ようやく安心した様子で、マートに尋ねた。

 

「感情を操ったりできるようだな。精霊魔法としては、ちょっと使いにくいタイプだ。もちろん使い道はあるけどな」

 

「なるほど、感情をな……。たしかに感情が揺すぶられる光景ではあったが……」

 

「とりあえず、しばらく姿は出さないようにしておくさ。では、約束どおりしばらく祭壇は預けることにしよう。それで良いか?」

 

 マートは教授たちにそう尋ねた。

 

「ああ、それでかまわぬ。だが、ここは、しばらく使わぬゆえ、元の研究室に置いておいてくれぬか?」

 

「わかった。だが、お互い、祭壇についてもそうだが、今日の出来事はあまり喋らないほうが良さそうだな。それで良いか?良いよな?」

 

 マートが念を押す。

 

「そうしよう」「わかった」

 

 その場に居る人間は皆、それに合意した。

 

「アレクシア、長い間ありがとうな。ほんと助かった。姐さんもありがとうな。本当に腕が使えるようになって良かった」

 

 マートは、手を動かしながらそういった。

 

「お嬢も、ありがとな。いろいろあったが、とりあえず腕は動くようになった。これで仕事も再開できる。せっかく王都に来たからすこし観光して、その後は、護衛の仕事でもしつつリリーの街に帰ることにするよ」

 

 マートの言葉にジュディは頷き、話を切り出した。

 

「戻るときに、マクギガンの街に居るハリソンに届けてほしいものがあるのだけど、お願いしても良い?」

 

 

読んでいただいてありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白み。 だけどこれ、姫の姿も絡んでくるの? たとえば本人に会うとか。 [気になる点] ……感想さんの意見を取り入れた場合、分身じゃなくて三段?変身になるのだな。 獣身と女性化で! [一…
[良い点] ねこは素直にお礼が言える良い子
[気になる点] 訓練一級になってた気がしますが。
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