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猫《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】  作者: れもん
第6章 黒い呪詛

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54 新しい変化

2020.9.28 ごめんなさい。ライラ王女は2つ上の先輩です。><

 

 マートは、我に返り、今起こった事を心の中で反芻しながら、両手をかるく持ち上げ、手のひらを握ったり、開いたりして感覚を確認した。たしかに元のように動く。その横で、アニスやアレクシアも同じように確認し、喜んで、2人抱き合っていた。

 

 マートは、精霊が増えたのかと、確認するため、動くようになった腕でステータスカードを久々に取り出し、自分のステータスを確認して、絶句した。

 

 

*************************************

*************************************

名前:マート

種族:人間

所属ギルド

 冒険者ギルド リリーの街 ランクC


※以下非表示

--------------------------------------

前世記憶:デイモスマンティコア

     顕現可能:人間体

戦闘力評価

 訓練所1級

スキル

 戦闘:片手剣 ★★★☆

    短剣  ★☆☆☆

    格闘  ★★★☆(☆)

    投擲  ★☆☆

    弓術  ★★★★☆

 精霊:    ★★★☆☆☆

(神聖:    ☆☆)

(真理:    ☆)

 運動:斥候  ★★★☆☆(☆)

    体術  ★★★☆(☆)

 生活:調理  ★☆☆

    音楽  ★★☆

    動植物 ★★☆

 魔獣:飛行  ★★(☆☆)

    毒針  ★★★(☆☆☆)

    爪牙  ★☆(☆)

    鋭敏感覚★★★(☆)

    呪術  ★★★(★☆☆)

    肉体強化★★(☆☆)

    死霊術 ☆☆☆☆

魔法

 呪術:痛覚  ★★

    毒   ★☆☆

    幻覚  ★☆☆

   生命力吸収☆☆☆

    呪い  ☆☆☆

  (感情操作 ☆☆☆)

  ( 即死  ☆☆☆)

(神聖:治療  ☆☆)

  ( 防護  ☆☆)

 死霊:生成【スケルトン】6

      【ゾンビ】  6

      【ゴースト】 1

      【レイス】  1

    操作  ☆☆☆

 精霊契約

  泉の精霊 ウェイヴィ(殻内のため反応なし)

*************************************

************************************* 

 

 精霊契約は、泉の精霊だけで、変っていない。そして、マンティコアが、デイモスマンティコアに進化(・・)し、その下に顕現可能というように表示されていた。ということは、姿を現せるようになったという事だろうか。

 そのほかに、星が二つしかなかった呪術が素養も含めて格段に成長し、また、死霊術というのが追加されていた。他に魔獣関連だけでなく、神聖魔法や真理魔法そのものの素養が追加され、格闘や斥候といった素養(☆)も増えているのだが、それらはすべて()がついていた。いや、呪術は2だったはず。んー、よくわからない。いったいどういうことだ?

 

 そういえば、リッチが死ぬ間際に、祭壇の影響で死霊術を習得するのではと言って居たが、それが本当になったのかもしれなかった。腕が使えないというので、ステータスカードの確認はしばらく行っていなかったのだが、無理やりにでも確認すべきだった。今となっては確認しようもない。

 

 とりあえず、ステータスカードで、精霊契約も増えていないところを見れば、これは、精霊が増えたわけじゃないというのが一目瞭然だった。おそらく、リッチがやろうとしていたことと同じ、前世記憶のモンスターの進化が行われたということだろう。確かにあの祭壇の魔法陣を参考にして儀式を行ったわけだから、こうなったとしても不思議ではないということが少し想像できた。

 

「マジか……」

 

 マートは思わず呟いた。まったく感情は追いついてこないし、納得できるものでもない。

 

「どうじゃ?精霊は増えておるんじゃろう?なんという精霊なのじゃ?姿を顕すことはできんのか?」

 

 何も知らぬ教授がすぐ横で催促してきた。

 

「待ってくれ。俺も混乱している。少しだけ休憩させてくれないか?」

 

 マートはその場に座り込んだ。


「わかった。腕は動くようになったのじゃな。とりあえず成功か」

 

 教授に言われて、改めて腕を見る。左腕、ウェイヴィの文様の少し下のところに、黒い獅子の紋章。精霊契約の文様と似ている。試しに彼は指をその上に置いた。

 

“話は出来るのか?”

 

“ああ、できるよ”

 

 まるで、ウェイヴィと話した時と同じように、すぐに念話のような意志が伝わってきた。

 

“あんたは何者だ?”

 

“マート?”

 

“いや、マートは俺だ”

 

“アニス?アレクシア?わからない。気がついたら、この文様のようなものになって、貼りついている……?マートとしての記憶も、そしてアニスとして、アレクシアとしての記憶も少しある”

 

“つまりは、呪われていた3人の記憶を持った存在ということか”

 

“わからない。でも、そんな感じ”

 

“前世記憶がマンティコアからデイモスマンティコアに変ってるんだ。そして、能力も上がっていて、俺は使えない、ああ、アニスが使えるからか?神聖魔法のスキルとかも増えてて……”

 

“ああ、それは見えてた”

 

“そうなのか。ということは、お前さんはデイモスマンティコアってことでいいのか?”

 

“そうかもしれない。いや、たぶん、そう”

 

“何と呼べばいい?”

 

“名前をつけてくれないか?何が何だか、自分でもわかっていないんだ”

 

“姿は人間の女性だったよな?いや、しかしマンティコアだからな。特徴的なのは毒針か?ニードル…んー、では、ニーナというのではどうだ?”

 

“ニーナ。わかった。たしかに、人間の姿は女性みたいだ”

 

“状況はどこまでわかってるんだ?”

 

“君や、アニス、アレクシアと同じだけ。でも、今は君以上に混乱している”

 

“一度、顕現したほうが、整理しやすいかもしれねえぞ”

 

“確かに、今は自分の存在そのものが、頼りないもののように思えてきた。では、ニーナと呼び出してみてくれ。きっと、それで顕現できると思う”


“わかった。じゃぁ行くぞ”

 

 マートは立ち上がると、デイモスマンティコアを顕現させた。

 

「ニーナ」

 

「おおっ」

 

 周りに居たウルフガング教授や、ジュディ、クララ、2人の助手たち、そして、アニスやアレクシアも思わず感嘆の声を上げた。

 

 ニーナは、人形が着ていた服と似た感じの服を身にまとっており、長い黒髪をストレートに垂らした美人の姿だ。

 

「ライラ姫」「やっぱりライラ姫だ」「やっぱりライラ姫よね」

 

 その姿をみて、教授やジュディ、クララ、助手達は口々にそう呟いた。

 

「ライラ姫?」

 

 教授が、がっくりとその場に膝をついた。

 

「うむ、まいった。このままでは不敬罪に問われ兼ねん。これほど似た姿になるとは」

 

 ジュディも頭を抱えている。

 

「そう、落ち込んでないで教えてくれよ。そのライラ姫というのは?」

 

「ああ、現国王の娘、第四王女よ。今現在、学院にも在籍されておられる。私の2つ上の先輩で、才色兼備、みんなの憧れで、とにかく有名な方なの」


読んでいただいてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんだ、老人ではないのか。仕方ないけどちょっとガッカリ
[気になる点] 戦闘力が大幅に上がってるけど、 主人公の一番得意だったとするところの斥候が初期のままなのが気になる
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