46 遺跡地下脱出2
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「では、役割を確認するぞ、俺と、クインシー、猫が前衛。エリオットとアレクシア、アニスが後衛だ。ゾンビどもはアニスの祝福の呪文をかけてもらった武器でしか倒せないが、動きはそれほど素早くないから落ち着いて対処しろ。いいな」
マートの報告を聞いたショウたちは、1日ほどさらに休息して体調を整えた後、遺跡地下から脱出すべく行動を始めた。
彼らの体調はまだ完璧とは言い難かったが、それでもアレクシアを除く4人はランクAの冒険者であり、途中に居たゾンビたちは簡単に片付け、祭壇のある大広間の入口にまで到着したのだった。
「なるほど、猫の言うとおりの状況だ。ゾンビが湧き出た祭壇というのは、あの中央のあたりか。扉は俺たちが入るところの他は、その反対側だけだな」
「ああ、そうさ」
「みんな、ゾンビが湧く祭壇っていうのは、聞いた事あるか?」
「いいや、俺は聞いた事がないな。どちらかというと、アニスの領分だが」
「私も聞いた事はないよ。ゾンビは死体がきちんと埋葬されなかった時に、生まれるはずで、なにもない祭壇からゾンビが生まれるなんて初めて聞くね」
「ああ、でも、確かに見たのさ。祭壇の上にふわっとゾンビが生まれ、向こうに歩いていったのをよ」
「疑っても仕方ないだろう。俺たちは学者じゃない。とりあえずここから見えるゾンビとスケルトンを倒し、疑わしい祭壇を壊して、この大広間を確保する。良いな」
「わかった」「あいよ」「OK」「ああ」「はい」
『盾』
『防護』
「じゃぁ行くぞ」
『光』
最初はエリオットが光呪文を使い、戦場を明るく照らす。それと呼吸を合わせて、前衛組のショウ、クインシー、マートが大広間に飛び込み、戦線を確保するためにゾンビやスケルトンに斬りかかった。
今まで静かだった大広間には剣を振る音や怒号が響き渡った。軽戦士のショウと斥候のクインシーは体力が落ちているせいか、移動速度はゆっくりだったが、ゾンビやスケルトン程度では危なげもなく、相手の攻撃をかわしつつ確実に倒していく。マートは、その2人の横で走り回り、こちらも、問題なくゾンビたちを倒して回っていた。
その様子をみながら、エリオットと、アニス、アレクシアの3人は、警戒しつつゆっくりと進んでいった。
そのうち、ショウとクインシー、マートの3人は、大広間に居たゾンビやスケルトンを全て倒し、向こう側の入口まで到達した。
その様子をみて、エリオットは、アニスたちに声をかけた。
「OK、ショウたちは、出入り口を押えた。アニス、祭壇を壊してくれ。アレクシア、サポートだ」
「あいよ」
2人は警戒しながら不気味な祭壇に進む。近寄れば余計、気味の悪い感じが増してくる。祭壇の足元の死体の中の一つが、妙に新しくまるで、死んだばかりのように見えた。
「なんか、気持ち悪いな」
2人が祭壇に近づいているのに呼応するかのように、ショウたちが確保している通路の先から、ゾンビやスケルトンが増え、大広間に向かって移動してくる。
『魔法の矢』
エリオットも、出入り口のところに移り、こちらに移動して来るアンデッドの集団に向かって魔法攻撃を放つ。
「さっさと、壊してくれ、アニス」
ショウは、すこし焦ったように言う。
「わかったよ」
『祝福』
アニスは、祭壇に向かって祝福を唱え、場所を聖別しようとした。しかし何の反応もない。彼女は舌打ちをして、祭壇に触れ…。そこで動きが止まってしまった。
「アニスさん?」
アレクシアが、アニスの肩を揺するが、アニスはそのまま、アレクシアのほうに倒れ込んだ。アレクシアも祭壇に触れたのか、動作が止まった。
「アニス?アレクシア?どうした? 猫、ちょっと見に行ってくれ。気をつけろ」
ショウは、クインシーと共に、入口に殺到し始めたゾンビやスケルトンと対峙しつつ、一番足の速いマートにそう指示を出す。彼は、急いで2人の近くに行き、祭壇に触れないように注意をしながら、アニスとアレクシアの手に触れ、生きているかを確かめようとした。
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