334 精霊たち
「えっと、精霊の皆さんを紹介されたのは、どういう事なのでしょう?」
アレクシアが戸惑った様子でそう訊ねた。もちろんマートは精霊と契約を結んでいるという話は皆聞いたことがあったが、結婚の話と精霊の話とは全く別の話だという感覚であり、このタイミングで紹介したマートの意図がわからなかったのだ。
「精霊たちは俺と契約を結んでいて、俺の肉体の一部のようなものなんだ。なので、精霊たちにもみんなを知っていてもらいたいし、みんなも精霊については知っておいてほしい。精霊たちは、どんなときも俺の傍に居るし、現れることもできる。それを了解しておいてもらわないといけない」
「どんなときも……?」
シェリーが何かを想像したのか顔を真っ赤にした。視線を彷徨わせる。
「それにウェイヴィには一度伴侶になりたいと求婚されたこともあった。精霊と人間とでは種族が違うので無理だと断ったけどな」
「そういえば、そんな事を聞いたことがあったわ」
ジュディとシェリーの言葉にウェイヴィは頷いた。
「ねこには愛たくさんあって独り占めできないのはわかったわ。ジュディとシェリーの他に恋人仲間が増えたのよね」
そういって、ウェイヴィはにっこりと笑った。アレクシアやエバ、アンジェは精霊たちとニーナをまじまじと見て何か相談していた。
「猫と精霊とは切っても切れない関係だものね。それも受け入れるしかないということね。他の3体の精霊さんはどうなのかしら? フラターさんと仮面を被っているけどニーナさんは女性ですよね……」
「んー、僕はどちらかというと友人という関係に近いかな。人間の言う性欲みたいなものは無いんだ。ウェイヴィだけが特別じゃないかな」
ジュディの問いにニーナがそう応えた。フラターとヴレイズも頷く。彼女とアレクシアはニーナが生まれた時に実際に見ているはずなので顔は知っているはずだが、それについては何も言わなかった。ウェイヴィは良く判っていない様子でニコニコしている。ニーナの返事を聞いて他の女性たちは何か安心したようにため息をついていた。
「このあと、ライラ姫に返事をしないといけないし、エミリア侯爵にも話はしようとおもってるんだが……」
マートがそう言いかけると、エバが一歩踏み出た。
「マート様、急がれるのも解りますが、少しお話をさせていただけませんか?」
「ん?」
「ジュディ様、アレクシア様からライラ姫には少し待ってほしいと言ってくださったと伺っております。私たちにも時間を頂けませんか?」
マートはもちろんと答えた。
「皆マート様からお言葉を頂いて非常に嬉しく思っていると思います。ですが、もう少しマート様とお話をしたいのです。ここは小広間ですので少々落ち着きませんし、できればマート様の居室に移らさせていただいて、軽い食べ物や飲み物などを頂きながら一緒に過ごさせていただけないでしょうか?」
「そうか、わかった。ちょっと急ぎ過ぎたか。悪かったな。俺も緊張してるんだろう。そうだ、このメンバーで海辺の家に移動しないか? 久しぶりに庭で肉や野菜でも焼いて食べるのはどうだ?」
「ありがとうございます。今の時間だときっと、海辺の家の夕日はとてもきれいです。アニス様を誘ってきます」
エバは嬉しそうにほほ笑んだ。
短くてごめんなさい。なかなか納得できる文章が出来上がりませんでした。今回はツイッターでの案内もできてません。出来上がった分だけとりあえず載せています。
読んで頂いてありがとうございます。
誤字訂正ありがとうございます。いつも助かっています。
評価ポイント、感想などもいただけるとうれしいです。是非よろしくお願いします。
2022.1.19 ニーナが仮面を被っていることについて描写を加えました。




