表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】  作者: れもん
第45話 告白

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

334/411

333 告白


 マートが小広間のドアを開けると、中に居た4人ははっとした表情になり彼を注目した。中に居た4人というのは、もちろんジュディ、シェリー、アレクシア、アンジェの4人だ。他の使用人たちの姿はない。

 

「ただいま、お嬢、シェリー、アレクシア、アンジェ」


「おかえり、(キャット)

「マート殿、おかえり」

「おかえりなさい、マート様」

「おかえりなさいませ、マート様」


 女性陣はみなそわそわと落ち着かない様子だ。お互いに手をつないでいる。


「4人とも集まってたのか。丁度いい、順番に話したいことがあるんだが……」


 マートがそういうと、4人はそろって目を見開き、お互いの顔を見た。


「一人ずつ?」


 ジュディが尋ねるとマートは頷いた。

 

「んー、それが良いかと思ったんだが、一度に話す方が良いか?」


 ぶんぶんと4人は首を縦に振った。

 

「それぞれ別の部屋だよな?」


 マートの言葉に4人は顔を見合わせた。お互い首を傾げ、最終的にはそろって今度は横に首を振る。

 

「そうか、結構照れくさいってのもあるが、みんな本当にそれでいいのか?」

 

「残ったら、どきどきしすぎて死んじゃう」

 

 アンジェの声は消え入りそうだ。

 

「え、えっと、だ、誰から話すのだ?」


 シェリーの声は上ずっていた。

 

「わかった、そうだな、意識した順からすると、アレクシアか?」


 残った3人は一斉にアレクシアの顔を見た。アレクシアは大きく息を吸った。

 

「は、はい。そ、そうなのですね」


 4人のうち、アレクシアは皆と繋いでいた手を一旦解き、マートに一歩近寄る。


「ああ、両腕が使えなくなったとき、姐さんと二人で世話をしてくれて本当に助かった。いろんな世話も嫌な顔ひとつせずにやってくれたし、俺に食事を食べさせてくれた時の顔もすごく素敵だったんだ。だけど、その時俺は子供を作る気はなかったから、それを言うのは我慢した。他の女性にも告白するから酷い話でもある。嫌だったらもちろん断ってくれていい。それでも、改めて言うよ。俺と結婚してくれないか?」


 マートはアレクシアの顔を見つめて一気に言い切った。彼女も同じようにマートをじっと見つめる。


「……はい。ありがとう……ございます」


「ありがとう」


 マートはアレクシアを引き寄せてぐっと抱きしめた。

 

「そして、シェリー」


 そう言って、今度はマートはシェリーの方を向く。彼女は緊張した顔を上げた。


「オーガナイトと初めて戦った時、血が沸くとか何とか言って、俺とアレクシアを助けるために囮になろうとしてくれたよな。その時、シェリーは俺とはまったく違う生き方だけどよ、騎士として誇りをもって生きてるんだ、素敵だなと思った。今は立場は変わっているが、シェリーはずっと誇りをもって生きていて、それが俺も大好きだ。だから、俺と結婚してくれないか?」


「ああ、私もマート殿の事をすごいと思っている。是非結婚してほしい」


「よかった、ありがとう。つぎにお嬢」


「うん、(キャット)


「お嬢もシェリーとよく似ていて、剣と魔法という違いはあっても、思いは真っすぐだ。そして俺の事をずっと信じてくれている。それをはっきりと感じたのはヨンソン山での探索のときだ。自分の護衛であるオズワルト、アズワルトを俺を信じて無力化をしてくれた。そんなに信じてもらって心が揺らがないわけがないだろ。遅くなっちまったが、俺と結婚してくれないか?」


「もちろんよ、(キャット)


 ジュディもマートに一歩近づいた。シェリーもそれに合わせるようにしてマートに歩み寄る。マートは2人を左右の腕で抱き寄せてぎゅっと抱きしめた。

 

「あとは、アンジェ」


「うん」


「アンジェは、せっかくリリーの街でハドリー王国から救出してきた両親と一緒にパン屋が出来るはずだったのに、それを放り出してウィードの街で男爵になった俺についてきてくれた。近所の人たちともいい感じで冒険者としての生活も踏み出したところだったのに……。あのとき、マートの所が良いって言ってくれたよな。嬉しかった。今はまだ結婚するには早いと思うんだが……」


「ううん、私はもう14。同い年で嫁入りしている子はいっぱい居るわ。そして私はエバと一緒にマートのお嫁さんになりたい」


「そのエバは少し考えさせてくれって言ってるんだが」


「そうなの? 話をしてくるっ」


 アンジェは驚いた顔をして小走りに部屋を出ていった。そしてすぐにエバの手を強引に引っ張って戻ってきたのだった。

 

「エバは遠慮しているだけなの。2人一緒にお願いします」


 マートはエバの顔を見た。彼女はすこし躊躇っていたようだったが、小さな声でお願いしますと呟いた。

 

「わかった。みんな改めてよろしくな」


 マートはそう言った直後、何か大事な事を忘れているような感じがした。誰だ? そう心の中で自問自答をする。そうか……。

 

「最後に紹介しておかないといけないな。泉の精霊(ナイアド)のウェイヴィ、炎の精霊(サラマンドラ) ヴレイズ、竜巻の精霊(トルネドラ) フラター、そして感情の精霊 ニーナだ」



読んで頂いてありがとうございます。


誤字訂正ありがとうございます。いつも助かっています。

評価ポイント、感想などもいただけるとうれしいです。是非よろしくお願いします。


前回の感想ではウェイヴィを忘れるなとnelmv様よりご指摘いただきました。助かりました。マートが「俺の代わりにポンコツ筆者に教えてくれてよかったぜ」と言ってます(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 主人公には初志貫徹してほしかった、というか、出来れば最愛を一人見つけてほしかったと思いました。一夫多妻に抵抗があるので……。一人を選べず助けてくれた相手みんなへ好意を向けれる主人公の優しさな…
[気になる点] 「それぞれ別の部屋だよな?」 これは別々に話したいよな?って意味で言ったのか、普通に違う部屋で住んでるよな?って意味なのか? [一言] ウェイヴィの事すっかり忘れてたわ。結婚云々言った…
[良い点] 一気に駆け抜けてくれて非常に面白いのですが、みんなで丸く収まるのでしょうか。 [一言] 個性豊かなヒロイン達だからこそ、一歩間違えれば、とんでもない修羅場ですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ