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猫《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】  作者: れもん
第3章 バッテンの森へ

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32 泉の精霊

    

 ・・・・・・(きみ)・・・(が、いずみ)・・・(のせい)・・・(か?)

 

 ・・・・・・(そうよ)・・・(ねこ)・・・(あなたの)・・・(ことは)・・・(ぐれた)・・・(から)・・・(きいたわ)

 

 ・・・・・・(ならば)・・・(はなしは)・・・(はやい)・・・(おねがいだ)・・・(やどりぎの)・・・(えだを)・・・(わけて)・・・(くれないか)

 

 ・・・・・・(だいしょう)・・・(に、なにを)・・・(くれる?)

 

 ・・・・・・(だいしょう?)・・・(せいれいは)・・・(なにを)・・・(もとめる)・・・(のだ?)

 

 ・・・・・・(はんりょ、)・・・(あい、)・・・(くれる?)

 

 ・・・・・・(きみは)・・・(とても)・・・(うつくしい)

 

 ・・・・・・(あり)・・・(がとう)・・・(では?)

 

 ・・・・・・(だが)・・・(おれには)・・・(むりだ)・・・(ほかの)・・・(ものは?)

 

 泉の精霊(ナイアド)は明らかに落胆したようだった。少し考えて、彼女はこう続けた。

 

 ・・・・・・(では)・・・(なまえ)・・・(くれる?)

 

 ・・・・・・(なまえ)・・・(あたえると)・・・(どうなる?)

 

 ・・・・・・(わたしの)・・・(そんざい)・・・(つよくなる。)・・・(あなたと)・・・(つながる)・・・(けいやく)

 

 マートは少し考え込んだ。あの老人とグレタとのつながりのようなものだろうか。以前、魔剣は精霊魔法を使うには、精霊と契約を結ぶ必要があると言っていた。もしそうなのであれば、決して悪いことではないだろう。

 

 ・・・・・・(いいだろう)・・・(なまえを)・・・(あたえよう)・・・(いずみの)・・・(せいれい)・・・(である)・・・(きみのなは)・・・(みずにちなんで)・・・(ゆれうごく)・・・(なみ)・・・(といういみ)・・・(をもつ)・・・(うぇいう゛ぃ)

 

 ・・・(あり)・・・(がとう)・・・(ひとの)・・・(こよ)・・・(わたしは)・・・(うぇいう゛ぃ)・・・(ゆれるなみ)

 

 泉の精霊(ナイアド)の姿が、すこしゆらめいた。彼女は手を伸ばし、マートの左腕に触れる。触れたところに、水色の波を連想させる文様が描かれた。

 

 ・・・(うぇいう゛ぃ)・・・(よんで)

 

 そう告げて、泉の精霊(ナイアド)はぼやけ、姿がみえなくなった。

 

「ウェイヴィ」

 

 マートは左腕に浮かぶ文様にやさしく触れながら言葉に出した。

 

 輝く泉のそばに、一糸まとわぬ美しい女性が姿を現した。その姿は煽情的であったが、同時に神聖なものも感じられた。

 

泉の精霊(ナイアド)(キャット)が呼んだの?」

 

 ジュディは彼女が裸なのを見て、すこし顔を赤らめつつもそう訊ねた。

 

「ああ、そのようだ。ありがとう、ウェイヴィ」

 

 マートは、その女性に近づき、軽く抱き合った。

 

(キャット)よ、そなたとの絆に基づいて、私は姿を現した。そなたの望むヤドリギの枝を授けよう」

 

「感謝するよ、ウェイヴィ。そして、グレタにも感謝を」

 

 マートは、差し出されたヤドリギの枝を受け取った。

 

(キャット)よ、我らの絆が長く続くことを願う」

 

 ウェイヴィはそう言ってにこやかに微笑んだ。

 

 場の雰囲気に気おされていたアニスが、ようやく落ち着きをとりもどした。

 

(キャット)泉の精霊(ナイアド)となにか約束したのかい?」

 

「最初は、伴侶になって欲しいといわれたんだが、それは無理だと答えたんだ。すると、次に名前と契約ではどうかと聞かれた。それで、ウェイヴィという名前を彼女にあたえたんだ」

 

「それは、ヤドリギの代償…に?」

 

「ああ、そうだ」

 

 ヤドリギの代償と聞いて焦ったような顔をするジュディに、マートは微笑んで気にすることはないと首を振った。

 

「何も困ったことじゃないさ。ウェイヴィはとても魅力的だし。精霊魔法使いとして、だれかと契約を結ぶ必要はあった。俺はウェイヴィと契約を結べてとてもうれしい」

 

 ウェイヴィは、さらに身体をマートに絡ませるようにして、きつく抱きつき、微笑んだ。

 

「そ……そうなのね」

 

 戸惑いながら、ジュディはそう言った。

 

「泉の水は活力の泉、疲れを癒す効果があるわ。(キャット)、どうぞ」

 

「ありがとう、ウェイヴィ」


 マートはそういい、血で汚れた手を綺麗に拭ってから、泉の水を掌ですくって飲んだ。ランペイジエイプとの戦いに疲れた身体に、冷たい泉の水が染み渡り、疲労がたちまち消えた。

 

「これは、すごい。他の3人に与えてもいいか?」

 

(キャット)、あなたが望むのならかまわないわ。でも、泉を血で汚さないように注意して」

 

「ああ、わかった」


読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 向こうから愛を求めるくらいだから、伴侶は無理でも一晩くらい抱き合って愛を囁いてあげればいいのに
[良い点] 人間の夫を望む精霊って・・・ なんかイメージが崩れたぞw 神龍の願いで女かギャルのパンティで悩むウーロンと同レベルじゃないか というかその2つを天秤にかけて下着を選ぶウーロンは相当病んでる…
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