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猫《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】  作者: れもん
第29章 アレクサンダー伯爵領の守り

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230 会議第3回


「まずは、マート殿。最初の会議では申し訳なかった。結局あの後、結論が出ず、どうすればよいかと父に相談したらこっぴどく叱られた」


 別室に移動した4人がテーブルに座ると、いきなりセオドールがそう言いはじめた。

 

「へぇ、そうなのか。苦労してるなとは思ったが」


 マートは思わずそう口にして苦笑を浮かべた。

 

「私は跡継ぎとしては、いろいろな事が頼りないようだ。ああいう時にはもっと、目的をはっきりさせて話をさせねばまとまるものもまとまらぬと言われた。父はマート殿のパンを与えるという話に感心されていたよ。私は全くそなたの意図には気づかなかった」


 セオドールの嘆きに、マートは首を振った。


「いや、うまく行くかどうかわからねぇただの思いつきさ。逆に敵を勢いづかせるだけになるかもしれねぇ」


「わが伯爵家としては、最終的になんとか彼らを撤退させホワイトヘッドの街の砦を奪回するところまでを目指さねばならぬ。そのためには、彼らの士気をくじくことが必要だ。兵糧という点から考えればそなたの案は素晴らしいものだ。だが、合流した後、相手に少しでも余裕があると、この花都ジョンソンを再攻略しようとされてしまうかもしれないという可能性は否定しきれないが、十分に価値はあるだろうと父は言っていた」


「そうかもしれねぇな。どちらにしろ、なんとかここを守り切るしかねぇんだけどな」


「ああ、父もこのジョンソンの攻防戦が肝になるだろうと言っていた。では、敵にパンを与える作戦は有効だと思うので進めたいと思うが、それについてはアニス殿のほうで何か動かれているようなので、我々も協力させてほしい。あと、できればホワイトヘッドの砦にも圧力をかけたい。ハドリー王国の本土からの補給線を脅かせておくことは重要だろうと思う」


「ふむ」


「マート殿の配下のうち、一部をそちらに割いてもらえないだろうか?ホワイトヘッドの砦をおとす必要はない。補給線が脅かされているという状況にさえなればよいのだ。そして残りはこのジョンソンを守るのに助力願いたいのだ」


「ああ、良いぜ。ホワイトヘッドの方は、俺のほうでやっておこう。そっちは親衛隊は少ないだろうし難しい話じゃねぇ。ブルームの街とアレン侯爵家のほうはどうする?そっち方面のハドリー王国の騎士団には一応降伏勧告の使者は送るように指示したが、その後どうなってるかは、まだ把握できてねぇ。どうするかは任せていいか?」


 そういうと、ロニーが手を挙げた。


「そっちは、マート殿の副官のアレクシア殿と相談して返答をマクギガンの方にせよと言ってある。私の方から偵察部隊を送っておこう」


「よし、じゃぁ、お嬢。うちの部隊はリリーの街に向かってるはずだ。拾って来てやってくれるか?」


「うん、わかったよ。(キャット)、ありがとね。愛してる」


-----


 数日後、花都ジョンソンの南側にハドリー王国の第二王子、グラントが率いる騎士団が陣を敷いた。旗印は猛牛で以前碧都ライマンでの攻防戦にも参加していた部隊だ。元はリリーの街を包囲していたが、ジョンソンが陥落したという情報をうけて急遽戻ってきたのだ。およそ一千の騎士と、8千程の従士からなる騎士団で、他に数人の何らかの魔物の特徴を持つ者も含まれていた。

 その西側には、陣とも呼べないような雑多な野営地があった。そこには二、三百程の泥だらけで満身創痍の者が集まっていた。マクギガン方面から命からがら逃亡してきた従士たちであった。グラント王子は彼らからマクギガン方面に進んだカイン王子の潰走を聞き、対応に迷ってとりあえず自らが指揮する騎士団とは合流させずに食料を与えて別の所に野営をさせたのだった。そして、その野営地には、さらに潰走した従士たちが集まりつつあった。

 

 そして、花都ジョンソンの城壁を背にセオドールが指揮するアレクサンダー伯爵家の騎士団がそれに対抗するように陣を敷いた。花都ジョンソンの南門は一週間ほど前の戦いで破壊されたままになっており、籠城は難しい状態であったのだ。そのため、その手前にある丘を利用して、周囲に柵をめぐらして簡単な陣とした。アレクサンダー騎士団は怪我人なども多かったため、かなりの人数が戦いには参加できず、およそ300の騎士と3千ほどの従士、ハドリー王国の1/3の兵力に過ぎない。ただし、その横には、マート・ウィード子爵の率いる騎馬隊と蛮族討伐隊のおよそ800騎が密集隊形を作っていた。蛮族討伐隊の中にはハドリー王国のグラント王子が率いる騎士団よりもかなり多くの魔物の特徴を持つ者が参加していた。彼らはマクギガン周辺の戦いでもあまり損害を出さず、ジュディの転移門でこの戦場に移動してきたのだった。

 

 二つの軍勢はにらみ合った。


読んで頂いてありがとうございます。


いよいよ決戦という所なのですが、いろいろと考えがまとまらないところがありまして、一週間程時間を頂きたいです。

申し訳ありません。すこしお待ちください。


誤字訂正ありがとうございます。いつも助かっています。

評価ポイント、感想などもいただけるとうれしいです。よろしくお願いします。



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― 新着の感想 ―
[一言] >一週間 たしかに、いろいろ錯綜していて、この後の戦いのシーンは、かなり難しいところだと思います。
[良い点] ジュディまで正妻戦争に参加かw [一言] 敵方の前世記憶持ちが数人しか居ないとは、思ったより少ないですね。やはりトップがマートみたいに、同じ前世記憶持ちでないと集まりづらいのかなぁ。 トッ…
[良い点] とうとうお嬢がマートに告白したこと。 マートは結婚に逃げ腰だから、女性陣には早くトドメ刺して貰いたいね。
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