221 聖剣のちから
魔剣から聞いた内容に、マートは衝撃を受けつつ、なるほどと納得もした。ライラ姫はこの部屋の壁画の内容を知っていたのか気になるところだ。だが、今はそれより聖剣に呪いを解除する力があるのかを調べる必要がある。
“魔剣、聖剣の識別はしたのか?結果を教えてくれよ”
マートがそう問うと、魔剣は識別した結果を教えてくれた。
●聖剣(雄剣)
能力:蛮族特攻(蛮族に与えるダメージは二倍となる)
形状変化(剣、槍、斧、メイスの四形態のいずれの形にもなることができる。その際に欠けたり汚れたりした場所は修復される)
浄化(剣から周囲10メートルの範囲の呪い、病気、毒を解除することができる)
魔法抵抗(魔法に対する抵抗力を1段階強める)
装備者探索(だれにも装備されておらず、装備条件を満たす対象が10メートル以内に存在した場合、光ってその存在を伝える)
装備条件:①人間であること(前世記憶の記述がない(人間である)こと)
②ワイズ聖王国国王又はその直系である
或は聖剣を振るうに値するだけの素質(剣、槍、斧、メイスのいずれかのスキルが☆6以上、真理魔法、神聖魔法、精霊魔法のいずれかの素質が☆3以上)があること
●聖剣(雌剣)
能力:蛮族特攻(蛮族に与えるダメージは二倍となる)
形状変化(剣、槍、斧、メイスの四形態のいずれの形にもなることができる。その際に欠けたり汚れたりした場所は修復される)
予言(邪悪となりうる存在に関する予言を行う)
魔法抵抗(魔法に対する抵抗力を1段階強める)
装備者探索(だれにも装備されておらず、装備条件を満たす対象が10メートル以内に存在した場合、光ってその存在を伝える)
装備条件:①人間であること(前世記憶の記述がない(人間である)こと)
②ワイズ聖王国国王又はその直系である
或は聖剣を振るうに値するだけの素質(剣、槍、斧、メイスのいずれかのスキルが☆6以上、真理魔法、神聖魔法、精霊魔法のいずれかの素質が☆3以上)があること
●聖盾
能力:完全防御(一日に一回、10分間の間、武器や身体武器、矢などの物理的な攻撃、及び魔法による攻撃から完全に装備者を守る)
自動修復(破損した部位は徐々に修復される)
魔法抵抗(魔法に対する抵抗力を1段階強める)
装備者探索(だれにも装備されておらず、装備条件を満たす対象が10メートル以内に存在した場合、光ってその存在を伝える)
装備条件:①人間であること(前世記憶の記述がない(人間である)こと)
②ワイズ聖王国国王又はその直系である
或は聖剣を振るうに値するだけの素質(剣、槍、斧、メイスのいずれかのスキルが☆6以上、真理魔法、神聖魔法、精霊魔法のいずれかの素質が☆3以上)があること
装備条件というのは、それぞれの武器や防具に備わった能力を使うための条件ということらしかった。もちろんこの条件を満たしていなくても、単純に武器や防具として使う事ができる。だが、能力を使うことができないということらしい。聖剣(雄剣)が持つ浄化という能力がライラ姫の言っていた能力だろうが、この装備条件であれば、1つめの人間であること(前世記憶も含める)に引っかかってしまい、マートはもちろんライラ姫も使うことができない。
又、剣、槍、斧、メイスのいずれかのスキルが6以上あること。真理魔法、神聖魔法、精霊魔法のいずれかの素質が3以上あることという条件は、マートが調べた魔法装置が抽出する聖剣をつかう騎士の条件と一致していた。
ライラ姫に指示を仰ごうとして、長距離通信用の魔道具を起動して、メッセージを送ってみたが、メッセージの送信はエラーになってしまった。この部屋では外部との通信はできないらしい。ここにある扉は、王家の者が出入りするための扉であろうから、向こう側には衛兵が居ることがあり得るので、そちらに出るわけには行かない。マートは必要となるはずの聖剣を手に取り、マジックバッグにしまい込むと、入ってきた扉から縦穴を戻り、最初に窓を抜けて入った小部屋に戻ったのだった。
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“…という状況だ。聖剣は俺もライラ姫も使えそうにないぞ。誰が使えるんだ?”
マートが識別結果を伝えると、ライラ姫からの返答はしばらく止まった。彼女は、聖剣の詳しい性能について知らされていなかったらしい。ライラ姫によると、国王自身を除いて使えるとすれば、チャールズ王子しかないが、彼はまだ今年6才。次期国王としての教育は行っているが、聖剣を持ち父親に対峙するというのは難しいだろうという話だった。ワイズ聖王国には6人の姫がいたが、第一王女はラシュピー帝国皇太子、第三王女は王国宰相のワーナー侯爵にそれぞれ嫁ぎ、第二、第五、第六王女は修道院送りとなっていて、いずれもこの王都には居ないらしい。
マートとライラ姫は考え込んだが、その時、マートにジュディから念話が届いたのだった。
“猫、どこに居るの?家の周りをアレン侯爵の騎士団が取り囲んでいるけど、何をしたのよ?”
“おお、お嬢か、良いところに。困ってるんだ。助けてくれ”
“こっちも大変なことになってるのよ。ハドリー王国がアレクサンダー伯爵領に攻め込んでるらしいのよ。それも、何度も王都に送ったはずの正規の使者は一人も来ていなくて、非公式に送られた私への使者が今朝着いてようやくそれがわかったの。王都に来ているセオドールお兄様のほうにも何の連絡も来ていないのよ。急いで戻りたいけど、ジョンソンの様子もわからないから直接転移するのも不安だわ。一度ウィードに行くから一緒に来てくれない?”
読んで頂いてありがとうございます。
装備条件:①がややこしい表現であったので訂正しました
装備条件:①人間であること(前世記憶も含める)
↓
装備条件:①人間であること(前世記憶の記述がない(人間である)こと)
2021.6.24 素質であるのに★と表現してしまっていました。ステータスカード上では☆となります。誤解を生みそうですので★を☆と修正しました。
誤字訂正ありがとうございます。いつも助かっています。
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