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猫《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】  作者: れもん
第13章 討伐訓練

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108 討伐行 2

※剣技という表記を闘技という表記に変更しています。これは、感想で御指摘があったのですが、“弓の剣技”というのがなにか矛盾しているようで、闘技のほうがよりしっくり来ると考えたためです。ご了解ください。


2020.9.20 射撃闘技 → 弓闘技に修正しました。

2020.9.21 マジックバック → マジックバッグ

 

 ゆるやかな丘がいくつもあるような地形、道なき道に、4騎の騎馬と2台の馬車が止まっていた。

 

「この丘を越えたところに集落があります。おそらくオーガ種が11体とゴブリン種が10体。見張り台のようなものはありません」

 

 マートはするすると木から下りてくると、下で待っていた連中にそう告げた。

 

「それぐらいなら、3騎で蹴散らせるだろうが、逃げ出すのが居たらマートとアニスで潰してくれるか? 他の集落に警告されると面倒だ」

 

 少し考えた後、ビルが、マートたちにそう言った。ビル、ハンニバル、マイクの3人は騎士団の所属は異なるが、王国の武闘大会などで何度も戦ったりして、お互いの腕も認め、尊敬しあう間柄で、それぞれの得意、不得意もよくわかっていた。こういうときに、考えて主導権をとるのはビルの役割だ。

 

「じゃぁ、俺たちは向こう側に回ったほうが良いか?」

 

 マートは頷いて、自分のマジックバッグから弓を取り出すと、そう尋ねた。

 

「いや、僕たち3人が突っ込んでその勢いで一旦通り過ぎ、向こう側に回るから、マートとアニスの二人はこっち側でいい」

 

「わかった」

 

「突撃はいつも通りマイクを先頭だな、僕とハンニバルが続くという感じでいいかな?」

 

「ああ、それが良いだろう」

 

 ハンニバルはそう応えた。マイクも頷いている。

 

「もし、上位種が居たら、基本的には3人のうち一番近い奴が相手をしよう。その時、他のメンバーは臨機応変に。伯爵、それでよろしいですか?」

 

「ああ、好きにやって来い」

 

 ビルの問いにエミリア伯爵は笑みを浮かべてそう言った。

 

「よし、じゃぁ、行くか」

 

 ビル、ハンニバル、マイクの3人の騎士は馬に跨った。

 

----- 

 

「うりゃーーーー 突撃っ」

 

 マイクが先頭、左右にビルとハンニバルという三角形の隊形で3騎はオーガの集落にむけて一気に駆け下りていく。練習試合のときもそうだったが、突撃はマイクが一番得意らしい。彼らの馬に乗った突撃は、マートたちとした練習試合のときよりもさらに迫力があった。

 

防護(プロテクション)

 

 神官のマシューが彼らに防護呪文を唱える。

 

 その後ろをマートは弓を構え、アニスは剣を構えて身をかがめながら移動して行った。

 

 わらわらと集落のテントのような建物からオーガやゴブリンたちが姿を見せる。武器を持っているものも居れば持っていないものも居た。中央の広場のようなところに居たオーガの身長3mを超える巨体が、完全武装の3騎の突撃を受けて次々と吹っ飛ばされていく。

 

 そのまま、オーガやゴブリンたちを突っ切り、集落の反対側まで抜けた3騎は、そこで振り返り、今度は散開してオーガたちと戦い始めた。マートは立ち上がり、逃げ出そうとしているゴブリンを弓で射ていく。

 

 一体のすこし身なりのいいゴブリンが、他のゴブリンを盾にしながら、身振り手振りをした後なにやら叫んだ。急にマイクの体の動きがすこしぎこちなくなる。今まで盾で防げていた目の前のオーガの棍棒の一撃が彼の肩を直撃した。よろめいたが何とか踏みとどまっている。

 

「ゴブリンメイジだ、何か呪文を使ったよ。(キャット)、あいつを倒して」

 

 アニスがそいつを指差す。マートはそちらの方向を見ると同時に矢をつがえた。

  

<強射> 弓闘技 --- 射撃大ダメージ 

 

 マートの矢がゴブリンメイジの口蓋に突き刺さった。相手は衝撃で仰向けに倒れる。動きが戻ったマイクが大きく肩で息をしながらも、周りのオーガを蹴飛ばす。

 

治癒(キュアウーンズ)』   

 

 アニスは治療呪文を唱え、マイクの肩のあたりがぼわっと金色のひかりに包まれる。

 

 マイクは、ちらと二人を見ながら、オーガに剣を振るった。肩口からざっくりと大きく傷を受け、そのオーガは倒れた。

 

「ありがとよ。助かった」

 

 その後も騎士3人とマート、アニスたちは連携を調整しつつ、オーガやゴブリンを無事殲滅したのだった。

 


読んで頂いてありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦闘で各々の活躍?も書かれていて表現がスムーズで読みやすいです。
[気になる点] > マートの矢がゴブリンメイジの口蓋に突き刺さった。相手は衝撃で仰向けに倒れる。動きが戻ったマイクが大きく肩で息をしながらも、回りのオーガを蹴飛ばす。 術者が死んだら解ける魔法という…
[良い点] キャットの弓が役に立ってますね!!! 努力して、かゆい所に手の届くオールマイティさを手に入れるのはいいですね! [一言] 章の終わりに後にリザルトというか、その章で成長したキャットのステー…
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