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どこの父親も娘を嫁がせたくないのかな?

 目覚めると夕方になっていた。

 パパはまだぐっすり眠っている。


 赤ちゃんに戻ってからは一日中パパと一緒にいる。

 一人でベットにいた時も快適だったけどパパと眠るベットもいいよね……

 パパの長いまつげ、整った顔立ち。

 こうして見るとヘリオスはパパにも似ているのかな。


「ん? カサブランカは起きていたのか?」


 パパが起きちゃった。

 じっと見ていたから起こしちゃったかな。


「うん。今起きたよ。えへへ。パパが一緒に寝てくれたから良い夢が見られたよ」


「そうか」


 パパが嬉しそうに微笑んでいる。


「お腹空いちゃった……」


「では離乳食を作るか」


「うん! パパの離乳食大好きっ!」


 パパに抱っこされて第三地区に向かう。

 人だかりができているけど……

 やっぱり孵ったばかりの赤ちゃんを抱っこしたくて集まっているんだね。

 わたしも一応赤ちゃんだけどパパがずっと抱っこしているから……


「あ、ハデスは今から離乳食作り? オレも今から作るんだよ。一緒に作ろう? 嬉しいな。ハデスと離乳食作りができるなんて」


 じいじが嬉しそうに話しかけてきた。


「そうか。では……火を使うから誰かにカサブランカを預けなければ……ちょうど父上が来ているか。だがスーたんを抱いているな。誰に頼むか……」


「オレ! オレが世話をする!」


 ベリアルが瞳を輝かせながらパンみたいな翼を挙げている。


「ベリアル……大丈夫か?」


 パパが不安そうに話しているけど……


「大丈夫だ! カサブランカ! オレが絵本を読んでやるよ! ぬいぐるみ遊びがいいか?」


「うーん……じゃあ……絵本を読んで欲しいかな」


 ベリアルがぬいぐるみ遊びなんて始めたら、あまりのかわいさにママが鼻血を流し過ぎて倒れちゃうよ。

 あ、ヘリオスもだね。


「そうか! じゃああっちの椅子で絵本を読んでやるからな。何がいいかな? えへへっ」


 ベリアルがご機嫌で絵本を取りに行った。

 パンみたいな翼で重そうに飛んでいる……

 空間移動しなかったのは孵ったばかりの赤ちゃんが眩しくないようにかな?

 

「……ベリアル一人では心配だ……誰かもう一人くらいいないか……」


 パパはベリアルを信用していないんだね。

 まぁ、ベリアルは甘えん坊で赤ちゃんみたいなヒヨコだし。


「じゃあオレが世話をするか?」


 声のする方を見ると、百センチくらいの身長のウェアウルフ族の女の子が立っている。


「ウェアウルフちゃんか……それなら安心だな。ではカサブランカを頼む」


 わたしをウェアウルフちゃんに預けると、パパとじいじが広場のキッチンで離乳食作りを始める。

 

「ハデスがカサブランカをお嫁にやりたくないっていう気持ちがよく分かったよ」


 じいじもなんだね……

 うーん……

 父親は女の子が孵るとそう思うものなのかな?


「そうだろう。カサブランカの夫になる者はわたしよりも強くなければ……」


「ははは。そんな男がいるのかな?」


「いなければ永遠にわたしが守るだけの事だ」


「あはは。じゃあオレもそうしようかな」


 じいじとパパがとんでもない話をしているね……

 じいじはエメラルドのオークって呼ばれているすごく強い魔族で、パパは天族でさえ恐れる冥王……

 わたしも孵りたての赤ちゃんも簡単には結婚できそうにないね。

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