表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/114

赤ちゃんが孵るってこんなに幸せな事なんだね(1)

 わたしが赤ちゃんになってから約一か月が過ぎた。


 わたしは相変わらず赤ちゃんだけど……

 今日、ハーピー族のばあばの卵から赤ちゃんが孵る予定らしい。

 オーク族長のじいじと、ハーピー族最高の戦士って呼ばれていたばあばの赤ちゃんだから強い子が生まれてくるはずだって皆が期待しているんだよね。

 同じ赤ちゃんとしては生まれる前から期待されても困るんじゃないかと思うんだけど……


 ハーピー族は妊娠からだいたい十五日で卵を産んで、その卵を十五日温めると赤ちゃんが出てくるらしい。

 

 ばあばは皆にも赤ちゃんの誕生に立ち会って欲しいからって、朝から第三地区に来ている。

 赤ちゃんの父親のじいじと、お兄ちゃんのハーピーちゃん、ハーピー族の皆もいるんだけど……


「あぁ……元気に孵ってくるかな?」


 ハーピー族長をしているハーピーちゃんがソワソワしている。

 いつもは強いお兄ちゃんっていう感じだけど、やっぱり心配だよね。


「はは。ハーピーちゃん、安心して。心音はしっかり聞こえているからね」


 じいじには卵の中にいる赤ちゃんの心音が聞こえているみたいだ。

 さすが魔族だね。


「パパ……オレ、妹がいいな」


「女の子かぁ。きっとかわいいだろうね」


「もちろん弟でも嬉しいよ? 一緒に鍛錬できるし。でもベリス王みたいに妹をかわいがりたいんだ」


「ベリス王みたいにか。そうだね。ベリス王とベリス王女はすごく仲良しだからね」


「毎日かわいいドレスを着させて髪を結んであげるんだ」


「はは。それは素敵だね」


「パパ……」


「何かな?」


「オレが孵る時……心配だった?」


「もちろんだよ。すごくすごく心配で……ハーピーちゃんが卵から孵った時には涙が止まらなかったよ」


「そっか……」


 ハーピーちゃんが嬉しそうに笑っている。


「大きくなってすっかり立派なハーピー族長になったけど……今でもかわいくてかわいくて堪らないよ。ハーピーちゃんはパパの宝だよ」


「宝……えへへ。オレ……パパみたいに強くなれるようにもっともっと鍛錬を頑張るよ」


「ハーピーちゃんは頑張り過ぎるくらい頑張っているよ。無理だけはダメだからね?」


「うん! えへへ。パパ……大好きだよ」


「パパもハーピーちゃんが大好きだよ」


 じいじとハーピーちゃんはすごく幸せそうだね。

 見ているわたしまでニコニコになっちゃう。


「オークもハーピーちゃんも仲良しだな。笑った時のピンクのほっぺがそっくりだ!」


 ばあばが嬉しそうに笑っている。 

 確か、ばあばは戦の時に助けてくれたじいじに一目惚れしたんだよね。

 しばらくして再会した時、ぽっちゃりした容姿になっていたからじいじだって気づかなくて……

 でもお互いに惹かれ合ってパートナーになったんだっけ?

 五十年前もそうだったけど今も仲良しだね。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ