ベリアルは今日もかわいいヒヨコだね~後編~
「オレが粘土を出してやるよ。ウェアウルフにカサブランカそっくりの身体を作ってもらって、そこに魂を入れればいいんだ!」
やっぱりベリアルだ。
ママの瞳がキラキラ輝き始めたよ。
「パパかっこいいっ!」
「ばあちゃん、じいちゃん! お菓子は?」
「ヘリオス! 遊ぼ?」
子供達も一緒か。
淡いピンクと水色と白の小さいヒヨコ達が元気に動き回っている。
「ほら、三人とも挨拶は?」
子供達の母親のリリーも来てくれたんだね。
「「「こんにちはっ!」」」
ベリアルも小さいヒヨコだけど子供達の方がもう少し小さいんだよね。
「ぐふふ……皆挨拶できて偉いね。くうぅ! 堪らないよっ!」
ママがグフグフ言い始めた……
ニヤニヤが止まらないみたいだ。
「そうなんだ! オレの子供達は天才なんだっ! えへへっ」
ベリアルも子供に激甘な父親なんだよね。
「くうぅ! 照れながら子供達を褒めるベリアルも激かわだよっ!」
「ぺるみ……子供達の教育に悪いからグフグフ言うなよ」
「くうぅっ! 呆れるヒヨコちゃんも超絶かわいいっ!」
「はぁ……相変わらずの、ど変態だな」
「あははっ! ぺるみは今日も絶好調だね。ベリアルは、かわいいから変態になっちゃう気持ちは分かるよ。ハーピーは遊びに来ている?」
リリーがベリアルを抱っこしながらママに話しかけている。
ベリアルはリリーの事が大好きだから嬉しそうにニヤニヤしながら翼をパタパタさせている。
「まだみたいだね。もしかしてママに妊娠祝いを持ってきてくれたの? その黒い四角い果物……懐かしいね。わたしも五十年前に食べさせてもらったよ。ぐふふ……ニヤニヤベリアルの翼がパタパタ……堪らないね……」
ママ……
ヨダレを拭いた方がいいよ……
あ……
わたしを抱っこしている第三地区のおじいちゃんが拭いてあげている。
ママはベリアルに夢中で気づいていないみたいだ。
「ハーピー族は痩せているでしょう? たっぷり栄養を摂らないと」
「ぐふふ。ベリアルかわいい……え? あ、そうだね。妊娠中は食べる物に気をつけないと……ぐふふ」
「あ……子供達が貝殻を持っちゃった。誰かを殴る前に取り上げないと」
リリーは、やんちゃな子供達と甘えん坊のベリアルのお世話で大変そうだね。
「え? あはは! 小さいおててに大きい貝殻を持って……くうぅ! かわいいっ!」
「寝ている時以外はずっと動き回っているの。でもそれもかわいくて……最近は果物と野菜を育てるお手伝いもしてくれるようになったんだよ」
リリーはルゥにそっくりな容姿で綺麗だなぁ……
銀の髪に青い瞳……
人間みたいに見えるけど、頭には小さい角みたいな物が生えている。
あの角みたいな物が生えている魔族は皆オケアノスの子孫なんだよね。
「殴らないようにオレが見てるよ。行ってくる」
ベリアルは甘えん坊の小さいヒヨコだけど、ちゃんと父親をしているんだね。
「ありがとうベリアル、助かるよ」
リリーが嬉しそうに笑っている。
「ふふ。ベリアルは立派なパパになったね……くうぅ! 超絶かわいいっ!」
ママがニヤニヤしながらベリアルを見つめている。
またヨダレが……
ママはわたしとヘリオスにも変態的に愛を注ぐけど、ベリアルにはそれ以上の変態になっちゃうんだよね。
やっぱりママの魂がベリアルの心を生み出したオケアノスだったからかな?
オケアノスはベリアルをかなり変態的に愛していたんだよね……




