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やっぱりベットでの生活は最高だよね

 わたしとヘリオスの身体が成長した翌日___


 少し歩いただけでも疲れていた頃と違って、走っても全然疲れなくなった。

 あの時、海の中でわたしの身体からオケアノスの闇に近い力みたいな物が溢れ出てきたように思ったんだけど……

 気のせいだったのかな?

 それにタルタロスのおじいちゃんが普通に話していた事も不思議だし……

 うーん……

 分からない事ばかりだよ。


 

 色々あり過ぎてすっかり忘れていた皆へのお土産を渡しにタルタロスに来た。

 いつもはベットちゃんに乗ってゴロゴロしているから、初めて歩いている姿を見たタルタロスの皆はかなり驚いていたね。

 しかもわたしは突然成長しているし……

 

 おじいちゃんの側付きの二人には本とヘアオイルを渡したんだけど……

 一人は誰もいない静かな木陰に行って読書するから邪魔するなって言って、もう一人は湯浴みをするからって浴室に行っちゃったんだ。

 これは二人とも三時間は帰ってこないね。

 コットスと弟二人はわたしからのお土産が嬉し過ぎて第三地区の皆に自慢しに行った。

 牢獄とは名ばかりの素敵な部屋におじいちゃんと二人……か。

 ちゃんとお礼を言わないと。

 

「おじいちゃん……昨日は助けてくれてありがとう」


 タルタロスのおじいちゃんは相変わらずベットから出てこない。

 でもくるまっている布の隙間から時々目が合うんだよね。

 もしかしてお土産のお菓子が食べたいのかな?


「ベリス王のお店で買ってきたの。チョコクッキーサンドだよ」


 枕の横に置くと布の隙間から手が出てきた。

 

「んまっ! チョコ好き……」


 おじいちゃんの嬉しそうな声が聞こえてきた。

 喜んでもらえてよかった。

 それにしても、ずっとベットから出ないんだね。

 うぅ……

 わたしもベットちゃんでゴロゴロしたくなってきちゃった。

 でも、わたしのベットちゃんは幸せの島に置いてきちゃったんだ。

 第三地区のおじいちゃんが持ってきてくれるはずなんだけど、忘れているのかも。


「……一緒……寝る?」


「え?」


 おじいちゃん?

 わたしに言っているの?

 あれ?

 布から顔を出した?

 いつもは隠れているのに。


「カサブランカ……魅了効かない……」


「……え?」


 魅了効かない?

 わたしには魅了の力が効かないっていう事?


「カサブランカ……疲れたから一緒に寝る?」


 おじいちゃんのベットは見るからに高級でフカフカそうなんだよね。


「うん! えへへ。実は前からおじいちゃんのベットでゴロゴロしたかったの」


「カサブランカ一緒に寝る……」


 おじいちゃんが嬉しそうに笑っている。

 こんな嬉しそうなおじいちゃんを初めて見た。

 ゆっくりベットに手をつくと……


「うわあぁ! やっぱりフカフカだ! あぁ……ベットでの生活は最高だよね……」


 身体は丈夫になったけどこの五十年ずっとゴロゴロしてきたからね。

 ベットなしでは生きられない身体になっちゃったんだ。

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