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教科書が無くなったので呼びよれたら、礼儀作法の先生の後頭部に激突してくれました

 結局私は学園の皆の前で恥辱プレイのようにお兄様に食べさせられたんだけど……

 ツェツィーリア様に睨まれるし、本当にもう最悪だった。


 お兄様、婚約者候補のツェツィーリア様の前で私に食べさせなんてしてどうするのよ!

 私が未来の義姉に虐められて、公爵家を追い出される未来しか見えないんだけど……

 本当に最悪だった。


 クラスに帰ってからは、

「ユリアは本当にアルトマイアー様に愛されているのね」

 ビアンカは目を輝かせて他人の恋物語を喜々として語ってくれるんだけど……絶対にお兄様のあれはペットに対するかわいがりと同じだと思う。


「禁断の愛だわ」

「禁断の愛って別にユリアとアルトマイアー様の間に血は繋がっていないんじゃないの?」

 隅の方ではフィリーネが他のクラスメートと何か下らないこと言っているし、私とお兄様の間ではそんなのはないわ。




「えっ?」

 六時間目の授業が終わって数学のラーデ先生が出て行くとほとんど同時に、私の目の前に魔力の揺らぎが見えた。

 そして、次の瞬間、お兄様が転移してきた。


「お兄様?」

 私は驚いた。授業の終わると同時に転移してくるなんてどういうつもりなんだろう?


「すぐに迎えに来ないとユリアのことだから、どこに行ってしまうか判らないからな」

 そう言ってお兄様は笑うと、いきなり私を抱き上げてくれたのだ。

「えっ、ちょっとお兄様!」


「キャッ!」

「見て見て、禁断の愛よ!」

「ユリア、アルトマイアー様に溺愛されているわね」

 ビアンカ達の黄色い声が響く。


 ちょっと、騒いでないで、助けてよ!

 私の心の声は無視されて、お兄様はそのままずんずん歩いてくれたのだ。


「ねえねえあの子、またアルトマイアー様に抱き上げられているわ」

「もう一体何なのよ」

「信じられないわ」

 私は皆の妬みと怒りの視線に晒されたのだ。


「お兄様、私降りるから」

「暴れるな、落ちるぞ!」

 降りるって言う私の主張は全く無視されて馬車までそのまま連れて行かれた。




「エックお兄様、お兄様の過保護ぶり、止めさせてよ」

私は夕食時にお兄様がお父様に呼ばれている間にエックお兄様に頼み込んだのだ。

「それは難しいだろう」

お兄様が肩をすくめてくれるんだけど、

「私のデザート2週間分上げるから」

私は清水の舞台から飛び降りる思いでお兄様に交換条件を出したのだ。


「ユリア、お前な、食い物で釣られるのはこの家ではお前くらいだろうが」

エックお兄様に呆れられたんだけど、そうなの?

「俺はユリアのデザートもらっても、そんなに嬉しくないし、それもお前が命の次に大事なデザート出してくるなんて、うまくいかなかったら、ユリアに何されるか判らないからな。どう考えでもそれは罰ゲーム以外の何物でも無いだろう」

エックお兄様は頷いてくれなかった。


「フランツお兄様」

私がフランツお兄様にねこなで声で声をかけると、

「お前にデザートはやらないぞ」

フランツお兄様はいきなり自分の机のお皿に覆い被さってくれたんだけど、

「そんなことしないわよ」

私がむっとして反論すると

「やらないからな」

「デザート取らないって言っているでしょう」

「そんなの判るか」

フランツお兄様はとても警戒しているんだけど……


「お兄様の過保護ぶりをなんとかして」

私がフランツお兄様に言うと、

「それはもっと無理」

フランツお兄様は即座に首を振ってくれたんだけど、何で?


「お姉様!」

私は目の前のお姉様にターゲットを変えて上目遣いで呼びかけたら、

「ユリア、あなたも往生際が悪いわね。素直に諦めなさい」

と要件を言う前にけんもほろろに断られてしまった。


何なのよ、ケチ!


私は仕方が無いからフランツお兄様のデザートも取り上げて、やけ食いしたのだ……





「あれ、教科書が無いわ」

私は次の日のお昼休みの後の五限目を前に慌てていた。

次は煩いマイヤー先生なのだ。

忘れ物はしてはいけないと前の日もちゃんと確認したのに!

「えっ、ユリア、また忘れたの?」

「うーん、変よね。確かに昨日は確認したのに」

マリアに呆れられたんだけど、絶対に確認したのに!


仕方が無い。呼んでみよう。

私は最近習った呼び寄せ魔術を使ってみたのだ。

「教科書よ 来い!」


「ギャッ!」

隣のクラスのピンク頭の悲鳴が聞こえた。

私の教科書を隠していたのはピンク頭だったのね。

あの悲鳴は私の教科書がぶつかって上げた悲鳴だろう。私はざまあみろだと喜んだのだ。


その時、教室の扉が開いてマイヤー先生が入ってきた。

間に合って!

私が祈ったときだ。


私の祈りを聞いたのか私の教科書がマイヤー先生の開けた扉から飛び込んできたのだ。


そして、あろうことか教科書はマイヤー先生の後頭部を直撃してくれた。


ギャッ!


そして、私の教科書は、頭を思わず抑えたマイヤー先生の頭上を越えて、思わず立ち上った私の手にすぽっと戻ってきたのだ。


こ、これは最悪のことでは……


私が目を上げたら怒り狂ったマイヤー先生と目が合ってしまった。


もう、終わった、私の人生終わった……


「ユリアーナさん!」


次の瞬間私はマイヤー先生の大きな怒声を受けていたのだった。


間の悪いユリアは延々と怒られました……

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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