表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/230

王宮のお茶会に西瓜に釣られて出ることになりました

鈴鹿で断崖絶壁の尾根道を歩いていたら滑って落ちそうになったり、滑って中々よじ登れなかったり、スリル満点の縦走登山でした。今日からまた頑張ります

 私はお兄様と気まずいことになっていたけれど、健気にも夕食時には食堂にちゃんと来たのだ。

「お前はどんなことがあっても食事を抜いたことがないだろう!」

 後でエックお兄様に言われたけれど、そんなことないわよ。私も乙女心があるわ!

「食べ物であっさり釣られる乙女心がな」

 エックお兄様は容赦がなかった。絶対にそんなことないわよ!

 誰も信じてくれないけれど……


 その日の夕食は珍しくお父様も揃っていた。


 私の横のお兄様とはとても話づらかった。

 こういう時のピーちゃん頼みだ。

「ピーちゃん、はい、あーん」

 私はピーちゃんの食器におさじを入れてすくうとピーちゃんに食べさせた。

「ピーーーー」

 ピーちゃんは喜んで食べてくれた。


「ピーちゃん可愛い!」

「ピー」

 私が声を出してピーちゃんを愛でるのにピーちゃんも応えてくれた。


 そして、もう一口食べさせようとした時だ。

 横からいきなりお兄様が現れて私のスプーンに食らいついてくれたんだけど……

「ピーーーーーーーー」

 ピーちゃんが怒ってお兄様に噛み付こうとして、

「ガォーー」

 お兄様が牙剥いて叫び出すんだけど……


「ちょっと、お兄様、何、ピーちゃんのご飯取っているのよ!」

「ピー」

 私が怒って言うと横でピーちゃんも抗議する。

「ふんっ、何を言っている。ユリアから食べさせてもらうのは俺だけの特権だ」

 お兄様は訳のわからない事を言い訳してくれた。

「はああああ! 私、お兄様に食べさせなんてさせたことないわよね」

 私が文句を言うと、

「いや、子供の時に食べさせてもらったことはあるぞ」

「いつの話をしているのよ」

「ユリアに食べさせていいのは俺だけだし、ユリアが食べさせていいのは俺だけだ」

 お兄様はまた訳のわからない事を言ってくれるんだけど……


「何言っているのよ、お兄様。そんな規則はないわよ」

 私が怒って言うと、

「それならデザートをやらないぞ」

「何よ。それ、別に要らないわよ」

「何、一生涯のデザートだぞ?」

 お兄様が驚いて聞いてきた。

 一生涯って、お兄様の婚約者が決まるまでだと思うし、ツェツィーリア様が現れたんだから、もうすぐじゃないの?


「別にいいもの」

 私はむっとして横のフランツお兄様を見た。

「フランツお兄様。デザート」

 そう言うと口を開けてフランツお兄様が入れてくれるのを待ち構えたのだ。


「いや、ユリア、絶対に無理」

 フランツお兄様は私の後ろを見て、何か恐怖に震えているんだけど、私の言うことに逆らうの?

「フランツお兄様。私にそんなこと言っていいの?」

 私はニコリとフランツお兄様を見た。

「昨日、朝の鍛錬の時間に……」

「わああああ、待った、ユリア、それだけは」

「じゃあ、ああん、んぐ!」

 私の開けた口の中にフランツお兄様でなくてお兄様がスプーンに乗せた山盛りのケーキを口の中に突っ込んでくれたのだ。

「ングングング」

 私は何してくれるのよ!

 しかし、量が多くて話せなかった。それを食べ終わって、やっと反論しようとした時には、また同じ山盛りのケーキをお兄様に口の中に突っ込まれた。


 止めてよお兄様!


 結局私は言葉を発する暇も与えられずに、私の料理を全てお兄様に食べさせられる結果になってしまった。

 それを呆れてお父様達は見ていたんだけど、注意してよ!


「ところで、アルト、王宮のお茶会に王妃様からお誘いがあったんだが」

 お父様がお兄様に切り出した。

「嫌です」

 一顧だにせずにお兄様は断った。


「はああああ? 何を言っているんだ。公爵家の嫡男ともあろう者が王妃様のお茶会をそう簡単に断れる訳はなかろう」

 お父様の言うことももっともだ。

「学園在学中は学業優先のはずですが」

 おおおお、お兄様もまともに反論した。

 一応論には適っている。


「まあ、そうなのだが、今回の歓迎のお茶会は昔我が家で世話したこともある留学生のツェツィーリア殿下の歓迎のお茶会も兼ねているそうだ。その縁もあって出て欲しいそうだ」

「確かに、それは出た方がよいのは判りますが、王宮であるというの」

お兄様は嫌そうな顔をした。


「王妃様からは是非ともご家族全員で来てほしいって言われているのよ」

お姉様が横から追加で余計な事を言い出してくれたんだけど……


「えっ、私はツェツィーリア様を知らないから行く必要はないわよね?」

私が思わず聞いていたら、

「何言っているのよ。あんたも来るに決まっているでしょ」

お姉様にあっさりと言われてしまった。


「そんな!」

私はマイヤー先生のいる王宮にできる限り近付きたくないのに!


「あなたの友達のフルート子爵令嬢の作った化粧水、売り込む絶好の機会よ」

「えっ、それはそうだけど」

でも、基本私は王宮に行きたくないのに……

「ということでエックとフランツは必ず、二人を連れてくるように」

お父様がエックお兄様とフランツお兄様に命じてきたんだけど、


「父上、無理ですよ」

「この二人が僕らの言うこと聞く訳はないでしょ」

エックお兄様とフランツお兄様が言ってくれるんだけど……


「大丈夫だ。今回はツェツィーリア殿下が帝国から西瓜という果物を持って来たくれたそうだ。ユリア、西瓜という果物はとても美味しいそうだぞ」

お父様が私を見て言ってくれた。


いつもいつも私が食べ物で釣られる訳ないでしょ!

私はお父様に反論しようとしたのだ。


「えっ、西瓜が食べられるの?」

でも、口から出てきたのは別の言葉だった。

西瓜! 前世で食べたのが最後だから12年ぶりか?

めちゃくちゃ食べたい!

私の理性を感情が支配してしまったのよ。


またしても食べ物で釣られてしまったのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございました。

食べ物であっさりと釣られたユリア、果たしてどうなる?

続きは今夜です。

お楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://book1.adouzi.eu.org/n4848kz/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://book1.adouzi.eu.org/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://book1.adouzi.eu.org/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://book1.adouzi.eu.org/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://book1.adouzi.eu.org/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n7240kb/

新作

『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』https://book1.adouzi.eu.org/n7707kp/


この前の作品はこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ