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子竜を追い出そうとした剣術の先生は子竜に鳴かれて腰を抜かして盛大に転けてくれました

 本当に何故、私が立たされないといけないのよ!


 これもそれもピーちゃんを連れてきて欲しいと頼んだフラーケン先生のせいだった。

 私はフラーケン先生を恨んだ。


「はい、じゃあ、もう一度、礼!」

 先生の合図で全員が礼をする。

「ピッ」

 でも、ピーちゃんはのんきなもので私の胸の中で皆が先生の号令で礼をしているのを見て自分も一緒に礼をして楽しんでいた。

立たされている私の身にもなってほしい。


「良いですね。ちゃんとゲージに入れるんですよ」

 マイヤー先生は授業の終わりしなに私にそう念を押すと出ていったのだ。


 最悪だった。


「でも変ね、こんな叱責だけで終わるなんて」

「何が変なのよ。私は十分に被害を受けたわよ」

 マリアの言葉に私が文句を言うと、

「だって普通は先生自らがゲージを持って来て中に入れなさいって言うじゃない。そうか職員室に連れて行って延々お説教するか、どちらかでしょう」

「そういえばそうね」

 私もそこは少し不審だった。

「あの先生、犬が嫌いなんじゃない?」

 先生がいなくなった途端に戻ってきてピーちゃんを抱いてきたビアンカがぼそりと言ってくれた。

「犬って?」

 ピーちゃんは一応竜なんだけど……

「本当ね、絶対にピーちゃんを見ようとしなかったし」

「絶対にそうよ」

 ビアンからは納得していた。


 そうか、なら毎日連れてくればお説教が減る?

 私は一瞬喜んだが、そんなことしたら礼儀作法の授業の間中ずうーっと立たされることは決定してしまう。私はそれも嫌なのでその案を採用することは出来なかった。



 次の歴史学のコルネリウス先生はマイヤー先生ほど煩くなかった。

「ほう、これがフラーケンが言っていたホフマン家の竜ですか?」

ピーちゃんをしげしげと眺めてくれたのだ。

「ピー」

私の足下でピーちゃんは胸を反らしてくれた。

「竜は帝国の守り神様ですからね。ユリアーナさんも大切に育ててくださいね」

先生が教えてくれた。

なんでも、竜は宗主国の帝国の守り神で、その色は赤、青、黒と色々あるみたいだけど、金色の竜は一番強いのだそうだ。

うーん、見た目は全然強くないけれど、ピーちゃんは最強なんだそうだ。

私には信じられなかったけれど、まあ、あのときの竜は本当に恐ろしかった。皆には子供だから仕方が無いと皆には言われたけれど……



お昼はピーちゃんは女の子達に引っ張りだこだった。

「うわーーーー、可愛い」

「凄い、少し触っても宜しくて」

クラスの子等含めて女の子等に取り囲まれたのだ。

ピーちゃんは代わる代わる女の子に抱っこされて喜んでいた。


「まあ、皆様。何を爬虫類を抱きしめて喜んでいますの? 信じられませんわ」

そこにピンク頭がやってきて言い放ってくれた。


「爬虫類だなんて」

「聖女様は目がおかしいんですの」

「こんなに可愛いのに」

いつもは皆ピンク頭に迎合する皆だが、今日はビアンカを筆頭に皆でピーちゃんをピンク頭から守ってくれた。私には信じられなかった。


「な、何を皆さんおっしゃるのです」

ピンク頭はいつもと皆の反応が違うのに驚いていた。

「まあ、淫乱聖女は男しか見ていないから、ピーちゃんのかわいさが判らないのよ」

「な、何ですって」

ピンク頭が怒って私を睨み付けたが、


「ねえ、ピーちゃん」

私がそう言ってピーちゃんに抱きつくと

「ピー」

ピーちゃんが私の胸に顔をすり寄せてくれた。

「まあ、可愛い」

「ピー様!」

「めちゃくちゃ可愛いですわ」

女達に相手にされずに、女達がピーちゃんばかり相手にするので、聖女は怒り心頭で出ていったけれど、ピーちゃんはどこ吹く風だった。

それからもいろんな女の子に抱かれてご満悦だった。



そして、5限目は剣術実技の時間だった。

私は訓練場の端に、食べ物を置いて、ピーちゃんを静かにさせておこうとしたのよ。

しかし、それを目敏くフリッツ先生が見つけてくれた。


「ユリアーナ、爬虫類をこのような神聖な学園に連れてくるとはどういう事だ?」

こいつも聖女と一緒で竜ちゃんを爬虫類って言うんだけど、竜は神聖な聖獣なのだ。爬虫類って言うな!

「生物学のフラーケン先生に頼まれて連れてきたんです」

私はしおらしく答えていた。


「フラーケン先生も困った方だ。自分の趣味の為に神聖な学園に醜い爬虫類を連れてこさせるなど信じられん」

フリッツは怒りだした。

「ユリアーナ。今すぐにこの爬虫類をつまみ出せ」

フリッツを無視してご飯をただひたすら食べている竜ちゃんをつまみ出すなんてそんなの出来る訳無いじゃない。竜ちゃんはそれで無くても可愛いのに、誰かに連れ去られたらどうするのよ?


「フラーケン先生は全ての先生の了解を取るとおっしゃっていらっしゃいましたけれど」

私が反論すると

「他の先生はいざ知らず、俺の神聖な授業に爬虫類を連れてくるなど許せん」

どこが神聖なのか判らないけれど、また、私がピーちゃん連れて外で待っていたら良いんだろうか?

私がピーちゃんを連れ出そうとしたが、食べるのに、夢中なピーちゃんは動こうとしなかったのだ。


誰に似てこんなに食べ物に意地汚くなったんだろう?

フランツお兄様からも餌もらって喜んでいたから、フランツお兄様に似たんだろうか?

私が下らないことを考えていた時だ。


「ええい、さっさとこの爬虫類を外につまみ出せ!」

怒ったフリッツがピーちゃんに向かってきたのだ。

その瞬間だ。


「ピーーーー」

怒った、ピーちゃんがフリッツに鳴いたのだ。


「ギャーーーー」

次の瞬間フリッツは盛大な悲鳴を上げて後ろに転けていたのだ?

「竜が竜が……」

何か叫んでいた。


「えっ?」

私は何が起こったか、判らなかった。

可愛いピーちゃんに鳴かれて何を驚いているんだろう?

フリッツはあたかも本物の竜に咆哮されたかのように驚いて腰を抜かして転けてくれたんだけど……


それ以降フリッツは何も言わずに授業を初めてくれたから私にはよく判らなかった。



飼い主に似て食い意地の張ったピーちゃんでした。

フリッツ先生に逆らうのも主そのままでした。フリッツにはどう見えたのか?

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続きは今夜です

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