ペチャパイとほざいたお兄様顔の魔王を張り倒しました
「ギャオーーーーー」
張り倒した黄金竜が泣いているように聞こえるんだけど、何で?
「ユリア、お前、ピーちゃんになんて事を」
「さすが悪役令嬢ユリアーナね。自分のペットにも容赦がないわ」
「ええええ! あなたピーちゃんなの?」
フランツお兄様とピンク頭の言葉に私が驚いて聞くと
「ギャオーーーー」
って泣いてくれた。
「えっ、ピーちゃんと違って全然可愛くないんだけど」
「ギャオーーーー」
古代竜はなんか更に目から涙流してくれるんだけど……
でもピーちゃんは小さくて可愛いからピーちゃんなのに!
でかくて全然可愛くない。まあ、確かに最初に公爵家の試練にいた古代竜そっくりだけど。
今まで偽装していたんだろうか?
「それよりもお兄様、大丈夫?」
ピーちゃんを無視して私がお兄様に駆け寄ると、
「近寄るな、小娘」
そう叫ぶと男は私を横殴りに引っ叩いてくれたのだ。
「キャッ」
私は弾き飛ばされて地面に叩きつけられていた。
「な、何するのよ、お兄様!」
私がショックを受けた。
お兄様にそんな風に邪険にされたのは始めてだ。
「俺様は貴様の兄ではないわ。魔王様だ」
お兄様は私を見下ろしてくれた。
「な、なんかですって?」
私はお兄様が何を言いだしたか判らなかった。
「ユリア、離れて!」
「ユリア、兄上は魔王に乗っ取られたのだ」
「な、何ですって? 何故そんなことが」
「お前が殺されたと思って闇堕ちして魔王に乗っ取られてしまったんだ」
「えっ、そんな」
魔王はにやりと笑ってくれた。
ええええ!
お兄様が魔王に乗っ取られたの?
「貴様は先程死んだと思っていたのに、何故生きている? 聖女に生き返らされたのか?」
魔王は私を睨み付けてくれた。
「まあ、良い。邪魔だ、死ね、小娘!」
お兄様そっくりな男が真っ黒になった剣で私に斬りつけてきた。
ガキン!
私は杖で受けていた。
「ほおおおお、少しはやるのか?」
魔王がニタリと笑ってくれた。
「しかし、貴様には実の兄は殺せまい」
魔王はそう笑うと私目がけて剣で斬り込んでくれた。
ガキン!
私は杖で受けた。
ガキン! ガキン! ガキン!
連続攻撃だ。
私は魔王を攻撃しようとしたが、相手はお兄様だ。
出来なかった。お兄様を攻撃するなんて出来ない。
私は防戦一方だった。
でも、お兄様の本気の斬撃をいつもでも耐えられるなんて無理だ。
私はドンドン劣勢になっていった。
ガキン!
ドカーーーーン!
私はよけ損なって地面に叩きつけられた。
「痛い!」
体中が傷だらけになっていた。
酷い、お兄様。こんなにするなんて!
可愛い妹にここまでやる?
私は少し切れていた。
「ちょっと、フランツお兄様、それとピンク頭、それとピーちゃん! 何を黙って見ているのよ。少しは助けなさいよ!」
私は遠く離れて他人ごとのように傍観している奴らを叱責した。
「お前、兄上とお前の戦いに俺が参戦できる訳ないだろう」
「誰がピンク頭よ。真の聖女様を戦いに巻き込まないで」
「ピーーーー」
3人、いや二人と一匹は好きに言ってくれた。
ピーちゃんはさっき私が張り倒したから怒っているみたいだ。
「少しくらい手伝いなさいよ」
「無理」
「頑張って」
「ピーーーー」
2人と一匹は無視してくれた。
「俺を無視するな」
その私を後ろから魔王になったお兄様が攻撃してきた。
障壁で防いだけれど、追っつかなくて、そのまま吹っ飛ばされて地面に叩きつけられた。
ギャーーーー、顔から突っ込んだじゃない。
まだ、見れた顔が傷だらけよ。
後で絶対にピンク頭に治させてやるんだから。
ついでにもう少し美人にしてもらおう。
「いつまで遊んでいるんだ」
魔王が後ろから迫ってきたから、杖で思いっきり突いてやった。
なんかヒットした。
バシン
「ギャーーーー」
魔王は杖で顔を突かれて吹っ飛んだ。
ドシーーーーン
大きな音がして山にのめり込む。
そうか、見なければ攻撃できるのか?
私は気付いたが、気配だけで攻撃するのは厳しい。
「小娘、良くもやってくれたな」
魔王は頭を振って立ち上ってくれた。
それから怒濤の攻撃が始まった。
バキン!バキン!バキン!
私は死に防ぐがお兄様の連続攻撃は無理だ。
「ギャッ」
剣が頬をかすり
「痛い!」
手に当たった。
もう私は満身創痍だ。
バシン、ドカーーーーン
よけ損なって地面に叩きつけられていた。
もうだめかもしれない。
お兄様、助けて!
と願ったら、考えたら魔王がお兄様だった。
酷い。
実の妹がこんなに傷つけられているのに、乗っ取られたままってどういう事?
もう信じられない!
私は心の底で少し怒りだした。
ふつふつと
そうよ。幾ら魔王に乗っ取られたからって普通はここまで可愛い妹がやられたら、魔王を押しのけて出てくるものよ!
私は怒っていた。
でも、体が動かない。
これはとてもまずいかもしれない。
「小娘。もう終わりか?」
お兄様の顔をした魔王がやってきて、私の襟首を捕まえて持ち上げてくれた。
私はニヒルな笑みを浮かべるお兄様の顔が許せなかった。
「何だ、貴様、顔はきれいなのに、胸がないのだな」
お兄様の顔が馬鹿にしてくれたのだ。
私の胸を!
ピキッ
私はその言葉に完全に切れてしまった。
もう絶対に許さない!
「何か、言った?」
「えっ?」
私の心の底からの怒りに、魔王もぎょっとした顔をした。
でも、もう遅い!
パシーーーーーン
「ギャーーーーーーーー」
怒り狂った私はその怒り全てを魔力に変えて魔王の顔を思いっきり張り倒していた。
ここまで読んで頂いてありがとうございます
続きは今夜です。
お楽しみに








