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金色の魔女について 友人から教えてもらいました

昨夜遅くに更新しています

「本当にもう最悪!」

 無理矢理連れて帰られた席で私は憤慨していた。


「まあ、ユリアーナ様。何でしたら俺のデザートまた差し出しますから」

 嬉しいことにエアハルトが申し出てくれた。

「えっ、そうなの?」

「何だったら俺のも!」

「俺も差し出します。だから機嫌直して下さい!」

 同級生は優しい!

「ちょっと、ユリア、何を男達からデザート取り上げてているのよ」

 マリアが注意して来たが、

「だって、くれるって言うんだもの」

 私の中の基準では食べ物をくれる人ってとても良い人というイメージだ。

 私は途端に機嫌が良くなった。


 いちいちケチをつけてくるピンク頭はクラウスの看病があるとか言ってお姉様と一緒に看護室に行ったから、私に注意してくるのはマリアだけになったし……私は上機嫌になった。


「あなた、ところで大丈夫なの?」

 マリアが私の傍にそっと寄ってきて、小声で聞いてくれた。


 その視線はこの帝国の中で崇高な存在の皇帝を指していた。

 そうだった。

 私を帝国に召還した肝心要の悪の皇帝がいたんだ。

 私は背中を冷や汗が流れ出した。

 何も考えずに好きにやってしまった……

 皇帝にはどんな風に映ってしまっただろうか?

 私が心配になってきた時だ。


「今のだけなら食い意地の張った御しやすい単細胞としか映っていないと思うわよ」

 マリアが呆れながら報告してくれた。

「あなたなら皇宮のケーキ一年分であっさりと釣られそうだし」

「何言っているのよ。そんなのでは釣られないわよ。何しろ私のお兄様からは一年分のデザートをくれる約束してもらっているんだから。それにお兄様に勝ったら一生涯デザートは私にくれるって言われているし……」

 私が嬉しそうに報告するとマリアは頭を押さえてくれた。


「あなた、既にアルトマイアー様から婚姻の打診をされているの?」

「はああああ? 高々デザートくらいで何でお兄様から婚姻の打診されているになるのよ?」

 私がむっとしてマリアを見ると、

「だってあなたは食べ物で簡単に釣られるもの。アルトマイアー様もよく判っているわ」

 何かマリアは訳の判らないこととを言ってくれた。


「ユリアーナ様、何でしたら俺が一生涯デザートをユリアーナ様に差し出しますが」

「おい、エアハルト、抜け駆けは駄目だぞ」

「そうだ、俺がユリアーナ様にデザートをプレゼントするのだ」

 エアハルト達が嬉しい事を言いだしてくれて話は逸れた。


「ねえ、マリア、あの陛下の横に侍っているのが帝国四天王よね」

「そうよ。あなた達にボコボコにされたクレーメンス様もいらっしゃるわよ」

「何言っているのよ、マリア! ボコボコにされたのは私達よ」

 私は変なことを言うマリアに文句を言った。

「古傷の右膝をあなたたち兄弟に徹底的に叩かれて、なおかつマイヤー先生からはあなたの皇帝賛歌の反省文を読まされるという苦行をさせられて、こんなところにいられるかとさっさと尻尾巻いて逃げ出したそうよ」

 マリアが説明してくれたが、そうか、右足の動きが少しおかしいと思ったけれど、古傷があったのね。

 もっと徹底的に叩いておけば良かった。

 私は後悔した。


 それにあの黒い死神、あの私の苦心惨憺たる反省文を読まされたのか。書いている私も苦痛以外の何物でも無かったけれど、あの死神を苦しめたのなら書いた価値があったわ。


 未だにベティには許してもらっていないけれど……

 グレゴールの傍にいるベティを私は心に痛みを感じつつちらっと見た。


 マリアが色々動いてくれてているみたいで大分軟化しているとは聞いていたけれど……やっぱり裁縫の時間とか地味な虐めを受けていたらしい。マリアとピンク頭様で粉砕したと聞いているけれど……

 まあ、それは良い。


「あの金髪の女の人も四天王なの?」

「ああ、金色の魔女ね」

「えっ、そんな名前なの?」

「あなた、エックハルト様の報告書ちゃんと読んだの?」

 マリアが呆れてくれた。


「うーん、大体は読んだんだけど……」

 丁度そこを読んでいる時に、ピーちゃんが私にふざけてきて、そこだけひっかいてくれて読めなくなっていたのだ。お兄様にもう一度くれとも言えなかったし……


「金色の魔女ことグレーテル・ロンバート伯爵は人の精神に干渉するのよ」

「えっ、やっぱり」

 マリアが教えてくれて私は納得した。


「何かされたの?」

「さっきのクラウスの戦いの時に変な気分になったのよね。それにクラウスが少し変だった」

「そうなんだ。クラウス様が変になったって?」

「急に強くなったのよね。欲望まみれの目で私を見てきたし、思わず思いっきり吹っ飛ばしていたけれど……考えたらいつものクラウスらしくなかったわ」

 確かに変だった。

「別名感情の魔女よ」

「感情の魔女?」

「そう、その人の考えている欲望とか嫌なこととか、トラウマとかを精神魔術で攻撃してくるのよ。クラウス様もそこを突かれたんだと思うわ。欲望を解放されて力も強くなったんじゃない?」

剣術も人の精神状態で強さも変わる。クラウスは私への欲望を突かれてあんなギラギラしたいやらしい目で見てきたんだ。

「そうか、クラウスは真面目だと思ったけれど、心の底はいやらしい事ばかり考えているのね。最低!」

 私の中でクラウスの価値が地平線の下に落ちていった。


「何言われたか知らないけれど、心の奥底に眠っているあなたへの思いを呼び覚まされたののではないかしら」

「お姉様という婚約者がいながら、他の者をそういった目で見るなんて最低ね」

 私はクラウスが真の紳士だと思っていたのに……

「うーん、何か違うんだけど、まあ、どのみち叶わぬ夢だから……」

 マリアが言葉を濁してきたけれど、これはお姉様にももっとちゃんとクラウスの手綱を握ってもらわないといけないのかもしれない。


 少なくともしばらくクラウスに近寄るのは止めよう。

 二人きりになったら何されるか判らないし……

 私は心に決めたのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ユリアから避けられ出した可哀相なクラウス……

淡い恋も粉砕された?


次は決勝戦です。

お兄様対ユリア、そこに感情の魔女が絡んできて

今夜です。

お楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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