傭兵団×闇と光×増えすぎた歯車……4
浪牙の団は、形的には存続した。しかし、既に傭兵団としての信頼関係は無く、団長であるシャノワ=グランドールは浪牙の団を解散する道を選択する。
結果として生き残った浪牙の団員達はその決断に反対する事はなく、寧ろ、シャノワを裏切った事実を後悔していた。
信頼関係が崩壊した集団に未来は存在しない……それこそが浪牙の団の導き出した決断であった。
「皆、いったか……はぁ……」
「シャノワ……私達も行こう、流れはどうあれ、黒猫の団に牙を向いたんだ……」
「流石に死人が出たんだ。この首、一つで何人助けられるかな……」
「駄目なら私の首もくれてやるさ。最後まで付き合うよシャノワ」
浪牙の団、団長──シャノワ=グランドールと副団長──ナサリ=ディムは黒猫の団の団長、アルベルム=キャトルフの元に向かって移動を開始したのだ。
先に事態の報告に向かった黒猫の団員に遅れること、一時間。
獣帝国ガルシャナに到着したシャノワとナサリは予期せぬ光景に唖然とした。
城内は静まり返る者と、歓喜に喜ぶ者の感情が入り交じっていた。
獣帝の復活は、次期獣帝の座を狙っていた二人の息子から未来を奪い、欲にまみれた帝国の大臣は投獄されている。
「此れが、黒猫が動くって意味なのかよ。俺達、傭兵が傭兵なのは戦場で戦い勝利を手にする為に命を金で売るからだ……」
「わかるよ、黒猫は普通じゃない……」
「一国を一つの傭兵団が動かすなんて、俺は黒猫を甘く見てたんだな……どの戦場でも敗北を知らぬ傭兵団……本当に死神じゃねぇか……」
シャノワとナサリの背後からグリムが歩み寄る。
二人が気配に気づいた瞬間、グリムの両手が二人の肩に回される。
「しぃ……騒がないでくださいっす。団長が御二人に話があるそうなんで、案内するっす。着いてきて欲しいっす」
息を飲む二人を案内するグリム。
城内の階段を上に進む、次第に静まり返る通路の先に聳え立つ物々しい扉がグリムの手により開かれる。
緊張に包まれた二人が見たのは、会議用のテーブルに腰掛けるキャトルフ達の姿であった。
奥の全体を見渡す位置に腰掛ける獣帝──ジャルバノ=サラバン。
向き合うように腰掛ける黒猫の団長──アルベルム=キャトルフ。
二人を取り巻くように他の者達が座っている。
獣帝軍総大将──サンジャラム=ペリグロッソ。
“巨岩傭兵団”の団長──エレドリオ=ホーン。
“空雷傭兵団”の団長──リア=バレル。
“黒猫の団”
副団長──風薙=颯彌。
回復師──スラド=ゲルダ。
後方支援大隊総指揮──モルガ=グレイヴ
獣戦士特攻隊、隊長──アルガノ=カヤン。
獣戦士特攻隊、副隊長──セラ=シェルム。
索敵部隊隊長──シシリア=リース。
情報収集部隊隊長──ワーリス=モディカ。
物資調達商人隊長──メル=カートル。
黒猫の団が圧倒的な威圧感を放つ異様な空間、そんな中、グリムの案内で獣帝側の席に案内される。
シャノワとナサリが席に着くとグリムは静かに扉を閉めた。
グリムが席に着くと獣帝が口を開く。
「今より、獣帝国ガルシャナの未来を決めるべき、話し合いを開始しようじゃないか」
視線が一点に集まる最中、獣帝はシャノワとナサリにも、リアナ王国へと向かう事実を伝えたのである。




