傭兵団×闇と光×増えすぎた歯車……2
デグルムは自身に向けられた明らかな殺意に苛立ちを隠せず、腰に手を回し、剣を抜く。
それと同時に、シャノワを裏切った浪牙の団員達も外に姿を現す。
「おい! お前等は、黒猫は敵だと言ったなぁ? 誰でも構わない、黒猫の団員の首を多く持ってこいよ……新たな団長になるチャンスだ……わかるやねぇ?」
元浪牙の団員は即座に得物を握り、物色するように黒猫の団員達を見つめる。
隊長クラスは無理であっても、団員ならば同格であると考え、倒せる相手を探していたのだ。
そして、動き出す元浪牙の団員達。
「いくぞッ! 俺様が新しい団長だ!」
「俺が団長になるんだよ! リャアァァッ!」
我先に団長になろうと黒猫の団員達に向かっていく。
しかし、黒猫の団員達はそれに対して、臆する事なく、武器を構えた。
団員同士がぶつかると、血飛沫が宙を舞い、一方的に元浪牙の団員達が地面に倒れ込む。
「あらま、此れは酷いっすねぇ? まるで話になりませんよ……熟練度が足りないんじゃないっすか?」
そう呟き、ニンマリと微笑むメル=カートル。
デグルムは予期せぬ、黒猫の強さに動揺した。団員すらも下手な傭兵団の団長クラスの実力があり、そんな団員が数百人単位で目の前に存在している。
「ぬッ……あはは……参ったねぇ、だが、俺様は暴食の団の団長だぜ! 貴様等も団長クラスの実力は理解しているだろう! だが、俺様一人じゃ、分が悪い……取引といかないか?」
勝てぬと踏んだデグルムは黒猫の団に対して、交渉を持ち掛けたのだ。
だが、交渉に応じる気など黒猫にはない。
「すまないねぇ、私達はアンタ等を踏み潰しに来たんだよ……二度と動かないようにグチャグチャにする為にね」
モディカは近づきながら、そう告げると魔石を発動させるようとする。
その瞬間、デグルムが駆け出す。しかし、既にモディカの魔石が発動を開始しようとしていた。
「魔石発動、“解除”だ!」
デグルムはそう告げると、モディカの魔石が途中で停止する。
具現化された拷問道具が地面に落下する最中、デグルムの剣がモディカの前髪を微かに掠める。
「な! やりやがったね!」
髪を微かに切られた瞬間、モディカの表情は一変する。
「私の髪を……バラバラにして……骨すら残らないように確実に砕いて、挽き肉にしてやる!」
その瞬間、グルムは声を上げ、メルを片手に抱えると走り出す。
「黒猫、全員退避っすッ! 隊長がキレたっす!」
その瞬間、グルムを始めとする黒猫達が二人から距離をとる。
そんなグルムの横を身動きの取れないシャノワを抱えた浪牙の団の女副団長が駆けていく。
「黒猫! 何が始まるんだい!」
「凄くシンプルっす、この場所その物がなくなる可能性があるっす! 取り敢えず、外に急ぐっす!」
避難する黒猫達は、頭上に輝く眩い煌めきを目にする。
太陽の光が反射して輝いているそれ等は真夜中の星空を思わせる程に満面なく大空を埋め尽くしていた。
「私は優しいからねぇ……一瞬で終わりなッ!」
モディカがそう叫んだ瞬間、大空が落下していくように、鋭い輝きが地表へと降り注ぐ。
「な、なんだ……? は、か、解消ッ!」
無慈悲な輝きを前に慌ててデグルムは魔石を使い解除と叫ぶ、しかし、それすら意味を為さない現実が存在した。
天から落下したのは、大量のギロチンの刃と拷問用の刃やスパイク、数えきれない程の拷問具であり、デグルムの叫び声を切り裂くように、すべてをグチャグチャに切り刻み、すべてを終わらせたのだ。




