五精神×力ある者達×霧の国……1
キャトルフへと慌てて声を出すモディカ。
「団長、直ぐに攻めるか撤退するか決めないとヤバいわよ。今回は戦力的にキツイわ」
「すね、流石に情報通りだと、ヤバいかもっすね」
「そうなのか?」
五神について無知なキャトルフに対して呆れた様子で風薙が話に割って入ると五神について語り出す。
五神──正式名を“自然五精神”
大地……土神──【ディエラ】
暴風……風神──【ウラカーン】
太陽……火神──【イリョス】
光線……光神──【アクリョナ】
水流……水神──【コリエンテ】
自然の力を司る神と呼ばれる存在であり、バルメルム大陸の守り神として扱われている。
水の都【ウォルベア】の聖職者協会は巫女を選び、神の御告げを聞く事でリアナ王国に震災や厄災を告げていた。
バルメルム大陸でリアナ王国がその力を保持し続けた事実が存在していた。
絶対的な存在である“自然五精神”が相手である事実を風薙は分かりやすくキャトルフに説明をしていく。
「つまり、あれか! ヤバい奴等がマジになんか、やらかそうって言うわけだな」
説明を聞き、悪戯に微笑むキャトルフに風薙は難儀そうな表情を浮かべ、溜め息をゆっくり吐く。
「はぁ、団長の悪いとこだぜ、理解してないだろ? 今回は洒落にならない相手なんだけど?」
キャトルフへの説明が終わると同時に、アストゥトは本題を語り出す。
リアナ王国軍は、第四の関所である【ウォルベア】の真意を探るべきと判断し、動き出した事実を告げる。
しかし、その結果、明らかになった事は【ウォルベア】が既に第三勢力としての力を手にしていると言う密偵からの報告であった。
その為、アストゥトに黒猫の団への接触と、リアナ王国軍への協力を約束させるように命令が下されていた。
「全ては……リアナ王国の為、力を貸してくれ、今のリアナ王国軍に新国家【グレストロ】、内部勢力の【ウォルベア】の戦力を既に止める力はない……」
予想外のアストゥトの言葉と内容に風薙が慌てて会話を止める。
「おいおい、その内容を喋っちゃまずいっしょ? オレ達が協力しないって選択肢もあるんだからさ?」
その瞬間、両者は睨み合い、武器に手を掛ける。一触即発の空気が流れる最中、キャトルフが声を張る。
「取り敢えず、黙れ! 俺達は依頼の内容と対価、つまり支払い次第だ……今のリアナ王国にそれが出来るのか? 俺達は傭兵だぞ?」
傭兵としての交渉を口にするキャトルフ。
「金額は……」
「そうだな、バルメルム大陸金貨で……1500枚……それが命をかける最低金額だ」
アストゥト側の人員がざわめく……。
「バルメルム大陸金貨で1500枚って……そんな大金を傭兵が要求するのか!」
「あり得ないだろ、そんな大金があれば、城を容易く買えるぞ……」
動揺と驚き、現実味のない金額を提示したキャトルフへと視線が集まる。
「即決は無理だろうな、だから、この話は保留だ。俺達は【ミストエル】に戻る。結果が決まってから来てくれ。まあ、他の国からの依頼は三割増しで交渉の予定だからさ」
キャトルフは、そう伝えると黒猫の団員と共にその場から、移動を開始する。
コルト村に辿り着くとキャトルフは、一緒にミストエルへと向かう者が居ないかを尋ねた。
既に村の備蓄はなく、少ない食料を口にする事すら出来ない状態になっていた。
村長はキャトルフの提案に頭を悩ませた。外で待つ、村人達は村長の決断に全てを委ねる事を決め、二人が決断を出すのを待っていた。




