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水の都ウォルベア×聖職者協会×真の闇……2

 キャトルフ、アルガノ、カルミナの三名がキャンプを離れた後、第三の関所であるラタナ要塞からグラウド=アストゥトの元に小隊が使者として送られて来ていた。


 内容は【リアナ王国】でクーデターがあり、ラタナ要塞からも王都【エルドルメ】に救援を向かわせると言うモノであり、アストゥトに対して、ラタナ要塞の人員の確保と戦力低下を危惧し早急の帰還命令が出されたのである。


 アストゥトはキャトルフ不在であったが、副団長である風薙 颯彌にその胸を伝え、部下と共にラタナ要塞へと帰還して行った。


 風薙はシシリアに頼み、キャトルフの居場所を特定し廃墟に向けて情報収集部隊の隊長であるワーリス=モディカと副隊長であるデルモ=グリムを向かわせたのであった。


 しかし、キャトルフ達の元に向かうモディカとグリムを突如として光の矢が襲い掛かったのである。

 結果として、黒猫の団とウォルベアの聖職者協会の聖騎士がぶつかり合う事となる。


 幸いだったのは、グリムとモディカが聖騎士を弱者と認識し、殺さずにあしらっていた事であった。


 もしも、二人が一人でも強者がいると判断していたなら、聖騎士達は多大な犠牲を払うことになっていただろう。


 事情を理解するとキャトルフはアルガノとカルミナに呼び掛ける。


「二人とも行くぞ。モディカとグリムと共に風薙達と合流するぞ」


 キャトルフの指示にカルミナを含め全員が従い、その場から歩き出すとミリアとスエルの父である聖騎士が声をあげる。


「待てッ! 貴様の情けなどいらぬッ!」


 キャトルフに怒鳴る聖騎士に対して、ギロチン台が出現し、拘束され更に屍達が出現し、巨大な斧を軽々と持ち上げるアルガノが睨み付ける。


「なあ、アンタさ、父親なら……少しは餓鬼の事を考えてやれよ……首が失くなったらさ、娘二人が悲しむぞ? お前達も行くぞ!」


 完全な敗北を受け入れると聖騎士は項垂(うなだ)れ、声にならない声をあげる。


 ミリアとスエルに別れも告げぬまま、その場から去ると、キャトルフ達は風薙達の元に向かう。


 風薙、シシリア、セラ、メルと合流を果たすと、更なる事実を知らされる。


 キャトルフと風薙が二人きりになり、会話が始まる。


「団長、今回のリアナ王国からの依頼はなくなった。手紙の差出人だったリアナ王国内部調査部隊のクラウス=ドルムが拘束され、大臣派の軍がクーデターを成功させた。リアナ王国は失くなったんだ」


 リアナ王国が失われた事実とクラウス=ドルムの拘束を知らされる。


 各地で内戦が勃発し、旧リアナ王国は平和とは真逆の姿へと変貌する。


「……わかった。直ぐに【ミストエル】へと、帰還する……とんだ無駄足になっち待ったな……」


 キャトルフは、アストゥトの事を気に掛けるも、団長と言う立場を優先する。


「くそ、アストゥト……死ぬなよ……全員、今より【ミストエル】に帰還する! その際に救える命は見捨てるな! いいなぁ!」


「「「「了解!」」」」


 気持ちの整理をしながら、来た道を戻る黒猫の団、しかし、大臣派の勢いは凄まじく、第一の関所──音楽と研究の都市──【スレトア】が陥落した。


 旧リアナ王国軍の残存部隊は、第二の関所──食糧と武器の街──【ガドロヌ】を戦場にせんと、大部隊を防衛にあてる事となり、戦況は互いに動くに動けぬ膠着(こうちゃく)状態となっていた。


 旧リアナ王国軍は、クーデターの際に連れ出されたリアナ王国女王の名を使い、第三の関所であるラタナ要塞から第二の関所である【ガドロヌ】を始め、隣国ギリギリの第五の関所【シスイ】を新たなリアナ王国としたのだ。


 旧リアナ王国と第一の関所【スレトア】から先の領土を事実的に切り捨てる事で、国を二分すると言う前代未聞の行動に出たのである。


 近隣諸国は、それを面白がり、何方の国からの救援と助力の要請を断り、顛末(てんまつ)を見届ける事を決めたのであった。


 互いに緊迫状態が続く事、3日、小競り合いはあれど、目立った動きはなく、力は拮抗しているように見えていたが、キャトルフ達が帰還する際に立ち寄った村で現実に直面する事となる。


 突然の戦と、国の内部分裂は多くの民から税と食料を奪う形となっていたのだ。

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