水の都ウォルベア×聖職者協会×真の闇……1
聖騎士達はそう言うと、ミリアは複雑な表情を浮かべ、スエルもまた、表情を曇らせる。
「さて、此度の一連の騒動について、責任は取って貰うぞ。エリスト=スエルよ。協会からの判断を待つがよい、いいな?」
「……はい、承知致しました」
隊長の聖騎士の言葉に頷くスエル。
その言葉に俯くミリア、誰の目にも幸せな展開で無いことは一目瞭然であった。
「其方らの、活躍には感謝する。未熟な者達の為に御助力頂いた様子、【ウォルベア】の聖職者協会で此度の礼金が用意されるだろう。心より感謝する」
廃墟を後にする事となり、外に向かう、その際、術者であった敵の少女は殺される事を覚悟していた。しかし、キャトルフは少女を自身の連れだと言いはり、外へ一緒に向かっていく。
月明かりが、廃墟の入り口を照らす。そんな時、聖騎士とキャトルフ達の目の前に予想だにしない光景が広がる。
廃墟から出てすぐ、入り口付近に転がる数十人の聖騎士であろう者達が山積みにされており、更に平然と入り口へと近づく人影が其処に存在していた。
聖騎士達が身構え、剣を手に取った瞬間、全ての剣が万力により、砕かれた様に縦に砕け散る。
「くっ! 何者ぞ! 我等をウォルベア聖職者協会の聖騎士団と知っての事か!」
隊長格の聖騎士が声をあげる。
「は? 知らないわ……でも、私達に先に喧嘩を売ったのはアンタ達でしょ? 今更、御託はいらないのよ」
「そうっすね……俺のアンデッドも数体消されたっすから……補充しないといけないっすし……」
聖騎士相手に一歩も引かず、既に戦う意思を明らかにする人影は紛れもなく黒猫の団員であった。
情報収集部隊、隊長──ワーリス=モディカと情報収集部隊、副隊長──デルモ=グリムの二名の姿があり、明らかな敵意を剥き出しにしていた。
「ふざけるなッ! 貴様等の様な異端の存在が我々、選ばれし者に歯向かうか!」
聖騎士の発言に対して、モディカとグリムが動こうとした瞬間、聖騎士の背後から怒りに満ちた低い声が力いっぱいに叫ばれる。
「誰も動くなッ! 理由次第じゃ、聖騎士だろうが、只じゃおかねぇぞ!」
その瞬間、聖騎士達は、キャトルフ達がモディカとグリムの仲間だと理解するとキャトルフに対して武器を向けた。
アルガノを含め、モディカとグリムが“ぐっ”と動かぬように自身を押さえる。
「よく耐えたな……俺は話し合いを求めたが……武器を向けたんだから……命を武器に掛けろよ!」
キャトルフの迫力に動けぬ聖騎士達が見え隠れする中、一人の聖騎士がキャトルフ目掛けて、特攻を掛ける。
「知るかッ! 我等は天に命を捧げし騎士である! 我々を愚弄する者に天の裁きをッ! ウリャアァァッ!」
聖騎士に有るまじき行為であり、更に先手必勝の剣がキャトルフへと突き出される。
速攻の剣に対して、キャトルフは容赦なく、光の魔石を使い、目眩ましをすると、同時に剣を抜く。
隊長格の聖騎士に向けられた剣先が喉元で止められる。
「俺の仲間を見下すな……子供の手前、一度は見逃してやる……どうする?」
疾風の如き剣に見ていた誰もが言葉を詰まらせる、隊長格の聖騎士だけが、反抗的な眼差しをキャトルフに向けている。
「それが返答か、残念だ……」
キャトルフの手に力が入る。
聖騎士が覚悟を決めた瞬間、震えた声が叫ばれキャトルフの剣が再度止まる。
「ま、待って……その人の非礼は御詫びします、だから……」
声の主はミリアであった。
キャトルフ達が本気で戦えば、聖騎士達は全滅するだろうと即座に理解し、勇気を振り絞り声をあげたのだ。
「悪いが、ミリア。お前の謝罪なんてのは今この場において、何の役にも立たないんだ……俺は目の前の聖騎士と話してるんでな……」
キャトルフはそう言うと再度、剣に力を込める。
「だ、ダメ! お願い、私のパパなの、だから、止めてぇぇ!」
甲冑の継ぎ目に剣先が触れ、喉元に触れた瞬間、剣が止まる。
「チッ……ハァ、フンッ!」
剣を甲冑から抜き、鞘に収めると、同時にキャトルフは本気の拳で聖騎士の頭部に一撃を食らわせる。
「……ッてぇな、次は無いからな、たく」
キャトルフは聖騎士の横を通り過ぎると、グリムとモディカの元に向かう。
二人の心配を口にするキャトルフは他の団員とアストゥトの部隊について質問をする。
グリムとモディカはキャトルフの質問に対して予想だにしない返答を返すのであった。




