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廃墟×影の主×水神の巫女……1

「なんか、偉そう……いきなり変!」


 そう言いながらも、アルガノも少女の言葉に不思議と従い歩き出す。


 幼き日の、恐怖と絶望、恨みと悲しみ、寂しさと温もり、多くの感情がキャトルフとカルミナの心に広がっていく。


 廃墟の中を進み、壁まで辿り着くとキャトルフは違和感を感じて立ち止まる。

 カルミナも同様に、壁を見つめ、アルガノの服を確りと掴む。


「変だよ……此処に壁なんて、それに、左右に道があるのも、変だよ……」


 カルミナの言葉に頷くとキャトルフは、壁に手を当てる。

 そして、来た道にある壁にも同様に手を当てる。


「どうやら、まだ真っ直ぐらしいな」


 キャトルフは静かに呼吸を整えると、剣を抜く。


「ハアッリャッ!」


 壁に切りつけられた刃、その直後、壁が再生し、キズが跡形もなく塞がる。


「やはりか、面倒くさいが……壁を完全に破壊するしかないか」


「マスター……ボクがやるよ!」


 アルガノが得物を構える。構えた得物は即座に形を変化させ、巨大な斧に姿を変える。


「ボクの魔石(アーティファクト)なら、生きた壁も関係ない……ハァッ!」


 すべてを巻き込むように振り上げられた巨大な斧は天井を粉砕し壁の頭から一気に真っ二つに割る。更に巨大な斧とは思えぬ程のデタラメな速度で斧を操るアルガノ。


 数分に渡り、荒々しく動いていた斧が止まり、アルガノが得物を下ろす。


 壁が再生をやめ、無惨に破片が床に落下しては煙になって消えていく。


「マスター……この壁、魔石じゃない……たぶん、※魔術式創造物……つまり、魔造物……」



 ※魔術式創造物──魔力の高い魔術師、魔導師がその魔力を練り合わせて人工的に生み出した物質、もしくは物体【ゴーレム】【スライム】【ガーゴイル】【スケルトン】等も作製可能。


「厄介な奴がいるみたいだな……」


 崩れた壁の向こう側、30センチ程の先には、更に壁が姿を現す。


「通路全てが同じだとすると、面倒だな……ハァ、すまないがカヤン……やっぱり俺がやるよ。時間が掛かると面倒だ」


 そう語ると、キャトルフは小さな魔石(アーティファクト)をポケットに入った袋から取り出し、掌に乗せるとその上から手袋を装着する。


 数回、掌を握りしめると、キャトルフは剣を力強く握り、鋭い眼光が壁に向けられる。


 剣を握る力強い手と添えられた片腕、足に力が込められると、添えた片手を剣の束から剣先に向けてなぞるように動かす。


「三人とも、目を(つぶ)れ、失明したら、いけないからな……」


 キャトルフの言葉に少女が、手を顔にあてながら、指の隙間から覗こうとする。


 少女の好奇心で満たされた瞳に小さな手が被さる。


「あ、ちょっと!」


「ダメ、マスターが“眼を瞑れ”って言ったなら、従って、光が闇を呼び込む……だから、駄目!」


 一瞬の闇に閉ざされる少女、直後に激しい衝撃音が廃墟を震動させた。


「よし、いいぞ」


 三人が見た光景は爽快だった事だろう。


 真っ直ぐに打ち抜かれた無数の壁が煙をあげ、通路が露になる。


 当たり前のように(さや)へと、剣が収まる。

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