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否定する者×鬼の心×生命の息吹……6

 コルト村を迂回するキャトルフ達は、完全に日が暮れる前に水辺に近い巨木を寝床と決める。

 夕飯担当が決まり、アルガノとシシリアが晩飯の調達の為、狩りに向かう。


「マスター、行ってくる。何かあれば、風薙を盾にしてね」


 アルガノの純粋な瞳とは、裏腹に風薙を下に見る発言に一同が笑いに包まれる。


「あはは、わかった。その時は、颯彌(ソウヤ)に頑張って貰うとするよ」


「団員、酷くない? まったく、それより、余り派手に動くなよ。まだ、コルト村からはそう離れてないんだからな」


 黒猫の団が寝床と決めた水辺はコルト村から、徒歩で二時間程度の距離であり、馬なら一時間と掛からない距離にあった。


 【ウォルベア】まで一気に進むと言う事も話し合われたが、風薙の強い要望で、あえてコルト村の近くで夜を明かす事を決めたのであった。


颯彌(ソウヤ)、今回も嫌な予感がするのか?」


 風薙にキャトルフが問い掛ける。


「嗚呼、すご~くイヤな感じがする。多分、村に来てるって連中のせいだろうが、今更だけどさ、コルト村に行った連中が心配でならないぜ」


 キャトルフは、軽く悩むと、直ぐにグリムを呼ぶ。


「キャトルフ団長、いきなりどうしたんすか?」


「グリム、悪いんだが、コルト村の様子を知りたいんだ。何とか出来るか?」


 キャトルフの言葉に確りと頷いて見せるグリム。


「理解したっす。町や村なら、(ネズミ)の死骸くらいあるでしょうから、直ぐに調べて来るっす」


 デルモ=グリムがコルト村の調査に向かうと、ワーリス=モディカも後を追うように風薙が指示をだす。


「私もいくの? 私は拷問専門なんだけど、副団長」


「わかってる、だが、相手がどんな連中かわからないんだ。光と炎の魔石(アーティファクト)使いが居るとグリム一人だと、危険だからな、頼むよ。モディカ隊長」


「アンタが私を()()って呼ぶ時は大概、悪い結果になるからね。直ぐに向かうわ」


 モディカは冷静にそう口にすると、グリムの後を追って動き出す。


 風薙は普段見せない鋭い眼光をコルト村へと向けていた。


 アルガノとシシリア、グリムとモディカが別行動となった川辺、見張り役の団員は獣人が二名のみであった。


 一人は、【黒猫の団】物資調達商人、メル=カートル。


 アルガノと変わらぬ、小柄な容姿を持つ獣人の女性、いざとなれば、戦闘に参加する事も(いと)わない好戦的な一面を持つ、しかし、必要以上の犠牲を出さないように戦う事を決めている。

 探究心と好奇心が強く、暴走しがちな性格の持ち主である。

 黒猫の団で、商人の役割を果たし、リアナ王国以外の国とも、広い繋がりを有する。


 もう一人は、【黒猫の団】獣戦士特攻隊、副隊長、セラ=シェルム。


 一言で言えば、美しい問題児である。

 陽気で好戦的な性格とモディカにもひけをとらない抜群の容姿を持ち、悪戯(いたずら)に敵へと斬り掛かり、争いを楽しむ癖がある問題児である。

 キャトルフ、風薙、アルガノの三名を心から慕い、自身が朽ち果てるよりも、三名の命を重んじている。


 キャンプの守りは問題ないと考えるキャトルフであったが、完全に夜を迎えると周囲への警戒を深めていく。


 アルガノとシシリアが狩りから戻り、焚き火で解体した獲物を焼いていく。

 香ばしい肉の焼ける匂いが漂い出すと同時に、グリムとモディカが帰還する。


「キャトルフ団長、今戻ったっす。報告としては、コルト村も、シスイの住民も無事みたいっす、ただ、例の御偉いさんが少し厄介っすね」


 グリムはコルト村で調べた事実を語る。


 村の無事と住民の無事を伝えると、御偉いさんと呼ばれている人物がシスイの領主であった最高裁判官──グラウド=アバリシアの孫である事実を伝える。


 今はコルト村も、住民も無事であるが、このまま、黒猫の団が姿を消せば、何が起こるかわからない事実をグリムはキャトルフと他の団員に向けて語ったのである。

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