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後方部隊×第四の関所×暗闇の部屋……4

「わかった。カルミナもしっかり聞いてくれ、俺との関係を……」


 キャトルフは静かに語り出した。


………………

…………

……


 ──薄暗い洞窟の中に揺らめく松明の輝き、幼き日のキャトルフの姿、暗闇でぼやけた視界、母親と思われる女性は幼いキャトルフを睨みつけると怒鳴り声をあげる。


「近寄るな! アンタもあの男も絶対に殺してやる!」


 怯えるようにして叫ばれる母親の声、その声と言葉は幼心を傷つけ、感情と表情を狂わせていった。


 母親の名は、アルベルム=リリアノア。


 リリアノアは、落ちぶれた貴族の娘であった。

 財産は奪われ、屋敷すら奪われる寸前まで追い込まれたアルベルム一族。


 元は物流の元締であり、多くの街や貴族にパイプを持ち、その莫大な財と力で全てを思い通りに操ってきた権力者であった。


 しかし、予想だにしていなかった多額の損益を出してしまう、すると完璧であった筈のアルベルム一族の権力に亀裂が生じる。


 損益を出した時期と同時期に、アルベルム家の当主が、取引先に向かう途中で野盗に襲われ、命を奪われたのだ。


 突然、当主を失ったアルベルム家では、二人の兄弟による次期当主の争奪戦内部が勃発する。


 物流の知識があり、閃きと頭脳を武器に事実上のナンバー2を勤めていた弟、アルベルム=リビド。


 ズル賢さと容赦ない攻撃性と行動力をいかし、アルベルム家の敵になる存在を排除してきた裏のナンバー2である兄、アルベルム=ステルビオ。


 兄弟の争いが激化すると次第に取引先から、不安の声があがっていった。


 そんな(いさか)いが続いたある日、弟であるリビドの元に大きな商談が持ち込まれた。


 既に物流の世界でアルベルムの名は地に落ちてしまっていた。しかし、商談がまとまり傾いたアルベルム家に再興のチャンスが訪れた。


 それこそが、アルベルム家の崩壊が始まった瞬間だった。


 本来ならば、前金と成功時の報酬があれば、以前よりは小規模ながらも物流の世界で生き残る事が出来ただろう。


 だが、そんな平穏を願わない存在が一人存在した。


 薄暗い人気のない街の酒場、荒々しい髪型と大柄な体に腰に巨大な刀を装備し、片手に酒瓶を握りしめ、豪快に喉に流し込む男と柄の悪い男達の姿があった。


 アルベルム家、長男であるアルベルム=ステルビオだ。


「赦せねぇなぁ……せっかく、御膳立てしてやったのに、上手くいかねぇもんだな?」

 

 部下であろう男達が楽しそうに笑いだす。


「あはは、なら、どうします? やはり、派手にやるんですか?」


「当たり前だ! そうじゃねぇと、親父を始末した意味がねぇからな」


 アルベルム家、当主の死を笑いながら語るステルビオ。


 ステルビオは、野盗に襲われたように見せかけ、当主を殺していたのだ。


 目的は財産と当主の座であった。巨額の損益を出すように仕組んで、当主が多少の危険を冒しても普段なら向かわない取引先へ向かうと考えたのだ。


 いや、寧ろ、そう仕向けたのだ。当主には、予め取引先となる相手を用意し、嘘の商談へと当主を向かわせたのだ。


 その際、弟であるリビドは本来、当主が行う筈だった取引先の元へと向かっていた。


 本来はどちらに当主が向かっても構わなかったのだ。ステルビオは偽の取引に現れた方を始末する計画になっていたからだ。


 ステルビオからすれば、当主も弟であるリビドも邪魔でしかなかったのだ。


 その結果、次の標的がリビドになったのだ。


 リビドは、その事実を知らず、当主の死後、最大となる取引に護衛として兄であるステルビオを指名したのだ。

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