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世界の形×物語×身分無き団長──END

 天から聞こえたのは老人の声であり、アストゥトの消滅を喜んでいた。


「姿を見せろ! いったい誰だ」


 天に、一人の老人の姿が大きく映し出される。


「これで満足か? 我が名はアルマサム、否定と追及を司る天界神じゃ、そして、否定の王が紅の女王の主であるアストゥトを討った瞬間、自動的に紅の女王は候補より外された……お主のお陰で、今は王となった訳だが」


「それなら、もう俺達に用はないだろッ!」


 大空を見上げ、声をあげるキャトルフ。


「それがなぁ、天界神として、二つの願いを叶えねばならんのよ、そう言う盟約だからねぇ、うんうん」


「二つの願いだと、なら、死んだ連中を蘇らせられねのか!」


「あ、それは無理無理、死んだ者の魂を他の新たに生まれてくる器に定着させる事は出来るがなぁ」


 悔しそうに拳を握るキャトルフはゆっくりと拳をほどくと、息を吐き、口を開く。


「なら、この戦いに関わった連中を、戦場のない世界に生まれ変わらせてやってくれ、それが一つ目の願いだ」


 予想外の願いに困惑するアルマサム。


「本当にいいのかい? どんな願いも叶うんだぞ? お前の削られた魔力文字も復元出来るし、世界すら支配できるのに、一つ目がそれか?」


「いいから、やれ! 盟約なんだろ? 俺は一つ目の願いを言ったぞ!」


「むむ、欲無きものよ。只、魂を移動させても詰まらぬからな、サービスしてやろう!」


 そう語るとアルマサムは戦場となったリアナ王国城の周囲に大量の亡骸を瞬時に呼び寄せる。

 そして、両手を合わせると、すべての亡骸が青光する光の玉になり、空に創られたリングの中に吸い込まれて消えていく。


「魂を他の世界の天界神の元に送った。争い無き世界とは、この世界では叶わぬ願いじゃからな、二つ目の願いはどうする?」


「二つ目の願いは……すべての魔石(アーティファクト)の解放だ。コイツらは元は生き物だったと聞いたからな」


「そんな事をすれば、多くの人族が犠牲になるぞ? 良いのか?」


「人を嘗めるな、この世で一番、往生際が悪い生き物だぞ? だから頼む、別れを言いたいので5分後にすべての魔石(アーティファクト)を解放すると誓ってくれ」


「……本当に詰まらぬ奴じゃ、だが、盟約に従い、5分後にすべての魔石(アーティファクト)を消滅させよう」


 アルマサムは空にすべての魔石(アーティファクト)の名を青い文字で表示させると次々に文字が赤く変わる。


「最後にもう一度聞こう、後悔はないのだな、一度、魔石(アーティファクト)の解放を発動すれば、我にも止められぬぞ?」


「嗚呼、それでいい……」


 皆が覚悟を決め、魔石(アーティファクト)に別れを語る最中、300秒のカウントダウンが空に表示される。


 それと同時に世界に向けて、魔石(アーティファクト)の破壊をアルマサムが告げられ、カウントダウンが開始される。


 カウントダウンが残り30秒に差し掛かるとキャトルフがメルの魔石(アーティファクト)から取り出された大量のポーションを手にとる。


「最後の仕上げだ……否定の王よ、最後にもう一度力を貸してくれ、この世界と天界神の世界との繋がりを否定するッ! ハアァッ!」


 魔力が次々に枯渇する最中、ポーションを大量に飲み、魔力を補充する。


 アルマサムすら、予想しない行動であった。


 そして、否定の王が真の力を目覚めさせる。


「な、なんだと、貴様! 天界と地上を二つにわけようと言うのか!」


「当たり前だッ! お前達の娯楽で死んでいった連中を弔うなら、それしかねぇだろ!」


 カウントダウンがゼロになると同時に大空を切り裂くように亀裂が生まれる。


 亀裂の先に見えた一瞬の光輝く都、それはすぐに姿を消す。


 それと同時にアルマサムの姿もなくなり、カウントダウンはゼロを大空に残し停止していた。


『覚えておれ、人間! そのカウントが消えた際に我は地上に災いを降り注ごうぞ! 覚えておれ、アルベルム=キャトルフッ!』


 カウントは空に刻まれたまま、すべての魔石(アーティファクト)はその力を失い、形のみを残し、輝きを失った。


 すべての終わりを迎え、新たな世界の形が始まりを迎える。


 リアナ王国は、ライム女王の復活と同時に長きに渡るその名を捨てる事となる。

 新たにアバン王国とマカルデア帝国を取り入れる事となる。


 連合国家リルバリアと名を変えたのだ。


 治安の維持を最優先に民を守る国となり、隣国との和平に力を注ぐ。


 エルイの郷は黒猫の町ミストエルに移住する事を決めた。

 【フェルドルム大樹海】に存在していた大樹もまた、魔石(アーティファクト)であり、大樹を護る役割を終えた為であった。


 そして、黒猫の団は……


「マスター、リルバリアから、依頼……女王の護衛だって、行き先は隣国、ラヤヌイ……どうする?」


「行くしかねぇだろ、仕事しないと、飯が食えないからな、全員に伝えてくれ、一時間後に出発する!」


 アルベルム=キャトルフは最強の傭兵団、黒猫の団長として生きている。


 多くの者が、アルベルム=キャトルフの強さを知りながら、その身に身分が存在しない事実を知らない。しかし、僅かな者達は身分が無価値であると知っていた。


 身分無き団長が世界を変えたのだから……


身分なき団長──【黒猫の団】──否定する者達の物語──END

読んでいただきありがとうございました。(≧▽≦)感謝でいっぱいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 夏さん、お久しぶりですm(*_ _)m 黒猫の団、完結お疲れ様でした♪ 連載開始から、ずっと拝見させてもらいました! 更新される度に『次はどんな展開だろう?』と、 いつも楽しみと期待でい…
2020/01/05 16:01 退会済み
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