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第五の関所×領主の所有物×優しい声……5

 互いに相手を知り尽くしたと言わんばかりの口調で会話が続けられる二人の姿にその場に居合わせた全ての者が息を飲んだ。


「ふふ、冗談はよしてくれ、勘違いするな、アルベルム=キャトルフ。こんな連中を仲間や部下にした覚えはないよ」


「ん? お前が此処のボスじゃなかったのか……」


 緊張感をぶち壊すような、落ち着いた両者の会話に黒猫の団員と【シスイ】の兵達は動けないまま、会話が終わる瞬間を待っていた。


「アルベルム=キャトルフ……お喋りになったな、前のお前はもっと鋭く、全てを切り裂くような眼を持っていたのに、残念だ」

 

「俺もだ、カルナ=カルミナ……こんな再会は望んで無かったんだがな」


 鬼の面を着けた人物をそう呼ぶ、キャトルフ。その瞬間、凄まじい閃光がキャトルフに向けて放たれる。


 閃光を見切り、回避するキャトルフ。


「私の名を軽々しく呼ぶなッ! お前には……関わって欲しくないんだ……今すぐ撤退しろ……お前と殺し合いたくないんだ……アルベルム……」


「らしくないんだよ! カルミナッ! 俺の知ってるお前は(こころざし)の無いものに従わず、自身の意思で戦う、それがカルナ=カルミナじゃなかったのかッ!」


 キャトルフに視線を向けるとカルミナは、鬼の面を外す。


 鬼の面の下に刻まれた紫の模様、素顔を晒した瞬間に流れた一滴の涙、しかし、キャトルフは微笑み、カルミナの頭を軽く撫でた。


「大変だったんだな、側に居てやれなくて済まなかった」


 慌てて、頭上の手を払い除けるも、鬼の面に隠されていた紫の短い髪がクシャクシャになり、手を払い除けられた張本人は涼しげに微笑んでいた。


「く、キャトルフ……何で今なんだ……何で今になって、私の前に現れたんだ……」


「訳を話してくれ、カルミナが敵対している理由を知りたいんだ」


 その時だった……カルミナの顔に刻まれた紫の模様が光輝き、成長するようにゆっくりと範囲を広げる。


「ウワァァァ──ッ……ハァ、ハァ……」


 輝きが静まり、模様の広がりが止まる。

 カルミナの苦しみに歪んだ表情、吹き出した額の汗が全てを物語る。


「いやぁ、困りましたね……私の()()()が好き勝手に感情を露にするなんて、本当に嘆かわしい……従順でない道具は本当に扱いに困りますね」


 掠れた老人の声がカルミナの背後から呆れたように向けられる。


 老人の存在に気づいたシスイ兵達が道をつくり、無言のまま整列する。


 緊張感と殺伐とした空気が全てを包み込む、視線が老人に集中する。


 空気を読む必要はないと判断したグリムが再度アンデッドを自身に集め、アンデッドの塊となった体を使い凄まじい速度で、重ねられた巨大な拳を老人に向けて振り下ろす。


「話はおしまいっす……素直に潰れろッ! 老害が!」


 巨大な拳が老人の頭上から地面に向けて振り抜けれ、粉塵が舞い上がり地面が大きくへこむ。

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