最古の歴史×二人の支配者×滅びし者……3
新たな三つの力は互いを牽制するように大きくなり、異世界人は人族の王になる。
二代目の転移者である異世界人は人族とそれ以外の者達が集まる場所の王となる。
嫌みと飽きれ声が次第に二代目の転移者を“人外の王”と呼ぶようになっていく。
人族以外の者達は異端の力を持つ者を王とした。
その者は“異端の王”と呼ばれ恐れられるが、人族の動きを見つめ、自らが動く事はなかった。
しかし、それは僅かな沈黙でしかなかったのだ。
人族の王が新たな転移者によって殺される事となり、新たな王が国を支配する。
新たな王には新たな加護が与えられ、その力は多くの絶望を生み出していく。
狂いし人族の王は森を焼き払い、水を毒に変え、更には多くの種族を弄ぶように蹂躙した。
次第に行き場を失った種族達が“異端の王”と“人外の王”の元に歩みを進めていく。
それから、一年足らずで人族の周囲から、人族以外の種が狩り尽くさるが、その勢いは止まらず、人外の王の作った国までその魔の手を伸ばしていく。
そんな状況で“人外の王”の前に一人の天界神が姿を現す。
「やあ、人外の王。随分と大変そうじゃないか?」
「お前達のせいだろ、こんな状況になるまで、世界を追い込んで何が望みだ!」
「そう怒らないでくださいよ。天界神にもいろいろとあるんですよ、まあ、地上の方々にはいい迷惑でしょうがね?」
世間会話をするようにそう語る天界神は突如、水晶を何処からか取り出すとそれを人外の王に向けて見せる。
其処には人族の王により、蹂躙される仲間達の姿があり、幼子を守り、命を落とす人外の王の姿が映し出されていた。
「これは……」
「まだ、終わりではありません。貴方が討ち取られたあとの未来を御見せしましょう」
人外の王の首が落とされ、槍に突き刺されたまま、人族の進軍は続き、幼子達は矢の的とされ、女達は凌辱去れながら殺されていく。
その光景を身動きを塞がれた男達が絶望の眼差しで睨み、怨みの瞳が輝きを失わぬままに処刑されていく。
地獄絵図のような光景が続き、人外の王はそれが自身の瞳に映し出されている事実に気づく。
「やめろっ! やめてくれ……お願い、こんな光景はみたくない……頼むから……やめてくれ」
「此れは近い日の未来です……貴方が守ろうとした物はすべて無に帰すのです」
人外の王の瞳から涙が流れるも、ぼやけた瞳に映る残酷な光景は消える事はない。
「さあ、此処からは決断の時間です……貴方に私からボーナスチャンスを差し上げましょう……力を望みますか?」
「力……ふざけるな、何が望みだ!」
天界神は人外の王の言葉に冷たく返答する。
「それは残酷です、私はただ、助けてあげたいと考えましたのに、未来を見せたのも、運命に贖う貴方の姿が見たかったからですが……実に残念です。私は役に立てないようですね……それでは、失礼致します」
そう言うと天界神は人外の王の瞳から映像を消し、背を向ける。
「ま、まて……待ってくれ、さっきのは本当に未来なのか……」
「ええ、未来は黒煙と叫び声に包まれるでしょう、逃げられる所まで逃げても、今のままでは、未来は変わりません……」
「力があれば、未来が変わるのか……」
「貴方が望むなら……未来は明るく染まるでしょう……黒い黒煙から赤く鮮やかな夕焼けのように……力を望みますか? 人外の王よ」
「力を……力を望む。あんな未来は嫌だ……あんな未来は望まない」
その瞬間、人外の王の背後から突風が吹き抜ける。
まるで背後から魂が押し出されるような感覚に人外の王は身を震わせる。
「力を望むと口にしましたね……天界神の前で語りし言葉はすべてが真実であり、偽りを赦さず……魂の盟約と共に力を授けましょう!」
その瞬間、我にかえると人外の王は慌てて盟約を否定しようとするも既にそれは叶わぬ言葉であった。
「力を望むと口にした瞬間、盟約は結ばれる。さあ、魂に刻みましょう……血の王となり、それは未来に繋がる輪廻となりましょう……我が名は、グラウド=アストゥト……運命を捻じ曲げし天界神なりっ!」




