最古の歴史×二人の支配者×滅びし者……2
そうアストゥトが語るとその場にいた全員の頭の中に声が響く。
『さあ、教えて差し上げましょう……紅の女王が何故、否定の王を嫌うのか、何故、殺さねばならないのか……』
そう語られる声の先に見たこともない風景が広がっていく。
空には二つの大小の太陽が存在し、草木に覆われた美しい大地が惑星その物を彩り、昆虫が花の蜜と花粉を運ぶ和な世界。
魔物ですら、生きる為以外に他の生き物を襲わぬ世界。
人族もまた、農地を耕し、穀物を育み、大地と風と水に感謝しながら、質素ながらに恵みを大切にし、生きていた。
人族。
蝙蝠族。
大蛇族。
蜘蛛族。
魔獣族。
魔族。
精霊族。
木人族。
王族。
他にも多くの種族が世界に散らばり、独自の文化と国を建国し、力を手にしていく。
そんな世界に変化が現れたのは、王族である天界神が退屈しのぎに異世界から力ある者を人族に向けて転移させた事から始まった。
非力であった人族は、力ある者を歓迎し、異界の知恵を手にしたのだ。
異界の知恵は時に富を生み出し、時に残酷に死を生み出した。
しかし、人族は次第に勢力を拡大し、人族同士が土地や女を求めて殺し合いを開始していく。
最初こそ、人族同士の争いであったが、それは次第に多くの種族を巻き込む争いとなっていく。
最初に転移された者は余りに野心家であり、誰もが逆らえない状況を作り出していたのだ。
そんな秩序とバランスが崩壊した人族のバランスを再構築する為、再度転移者が送り込まれる。
転移者には、前転移者に与えられていなかった特権が与えられていた。
1つ、多種との信頼を結び安くする。
2つ、身体能力の大幅な強化。
3つ、恐怖心の低下と精神安定。
3つの加護が与えられたのだ。
二代目の転移者が送られた先は、ヴァンパイアの国であり、最初こそ、命を狙われる事になるが転移者は運命の出会いを果たす。
ヴァンパイアの未来を考える存在、ヴァンパイアの領主の一人、ドルベルド伯爵との出会いであった。
二代目の転移者はドルベルド伯爵と話しをする中で天界神に転移させられ、異世界に来た事を語り、更に人族がこのまま進行し続ければ、ヴァンパイアの国も危険に晒される事実を伝えたのだ。
ドルベルド伯爵の発言力は強く、ヴァンパイアの国で二代目の転移者は信頼を手にする事となる。
そして、大蛇族と蜘蛛族の力ある者を次々に仲間にすると、人族の進軍をやめさせるべく立ち上がったのだ。
本来ならば、この時点で勝敗が見える筈であった。
しかし、天界神達はそんな詰まらない終わり方を望んではいなかったのだ。
世界に新たなルールを造り出す事を一人の天界神が口にしたのだ。
それは人族は本来、無力であるからこそのルールであった。
人族の一部に天界神の加護を与え、人族以外の種を狩った際に魂魄に魔力を封じ込め、具現化出来ると言うルールを作り出したのだ。
そのルールは人族から英雄を生み出し、更に魔石と名を変えて、人族が他種族と同等に戦える世界をあっという間に作り出してしまったのである。
秩序の更なる崩壊、既に収集のつかない現状の最中、人族への怒りを爆発させた多くの種族が人族を無差別に襲い出す。
そんな牙は二代目の転移者にも容赦なく襲い掛かる。
争いを望まぬ人族すら容赦なく襲う多くの種族に対して二代目の転移者は自らが国を作り弱き者を助ける国を造ろうと考えたのだった。




