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最古の歴史×二人の支配者×滅びし者……1

 ライム女王は慌てて斬撃を回避しようとするが、片目の光を失っていたライムに激しい斬撃を回避しきる事は出来なかった。


 力尽きた半身に振り上げられた刃が紅の女王ライムの片腕を切り落とす。


 しかし、既に痛覚は存在しないのであろう。切り落とされた腕に気づくそぶりはなく、キャトルフに向けて動く方の腕に作られた球体を腹部に押し付ける。


「死ねっ! 否定の王ッ! アハハ!」


 ライムの一撃がキャトルフに触れようとした瞬間、バルコニーの外側から凄まじい勢いで、無数の糸が放たれ、キャトルフの体を一気にライムから引き離す。


「キャトルフ、本当に危なっかしいんだから……アンタ、私の弟を殺そうとしてんじゃないよ!」


 紅の女王ライムを取り囲むように各国の兵士達が武器を構える。


 既に勝敗は決しているであろう戦況に女王ライムは笑みを浮かべた。


「アハハ、なんで、いつも……いつも否定の王なのだ……何故、私じゃない……」


 そう呟く、女王ライムの背後から突如、姿を現す仮面をつけた男。


「実に可哀想な陛下、使えない部下に信頼できない家臣……すべての者が本当の陛下の姿と心を知らず、嗚呼、なんと可哀想な陛下……私以外はすべてが敵だなんて……」


 キャトルフはその声に聞き覚えがあった。


 アルガノもまた、その香りを確りと覚えていた。


「お前は、アストゥトか」

「アンタ……アストゥトだ……」


 二人が口にした名を聞き、その場にいた兵士皆の表情が変わる。


 第一の関所【スレトア】奪還作戦の際に死んだとされた存在、リアナ王国、特務隊──グラウド=アストゥトだと、キャトルフとアルガノが口にしたからだ。


「いやはや、まさか、覚えていてくれたんですね? 貴方は人の名を覚えているようには見えませんでしたが、光栄です」


 男は自身がアストゥトであると明かしたのだ。


 微かな笑みを口につくり、片手で仮面を外す。


「私の計画では、もう少し多く貴殿方の方に被害がある筈でしたが、人数的には対した犠牲はないようですね? ですが、多くの王が命を歴史通りに散らせたようですね」


 違和感を感じさせる口調にキャトルフが質問を投げ掛ける。


「歴史通りって、言ったな……アストゥト、どういう事だ!」

 

「おやおや、確かに……最古の歴史は既に失われておりますからねぇ? 失われた歴史を少しお話いたしましょう……否定の王と紅の女王の運命を……アハハ」

 

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