三種の狂者×力ある者×紅の世界……4
「貴様を即座に倒さねば、部下達が危険だと理解した、不意討ちと恨んで構わぬ!」
語りながら振り下ろされたペリグロッソの鍛え上げられた刃。
“ガン!”
刃はナーガであるディランの皮膚に僅かな傷をつけるも、完全に弾かれる。
「なんと生温い、獣人とは人間よりも強力だと認識していたが、この程度か……実に残念だッ!」
屈強な腕が次第に紫がかった不気味な色へと変化させる。
拳が握られ、凄まじい勢いで打ち出される。
ペリグロッソが咄嗟に大剣を盾のように構える。
その瞬間、まるで大岩が直撃したような衝撃がペリグロッソに襲い掛かる。
「ぬおッ!」
「ほぅ、我の拳を耐えるか? 実に素晴らしき鍛練をしてきたようだな」
ディランの表情が喜びに満ち溢れるともう片方の腕に力を込める。
「次は我も力を込めて叩かせてもらうとしようッ!」
そして、力が込められただけの拳がペリグロッソの大剣に炸裂する。
凄まじい衝撃音に吊り上げられた兵士の達が不安の表情を浮かべる。
「ハアハア、そんな顔をするな……まだ、負けておらぬぞ……」
ペリグロッソはそう語ると大剣の束を握りしめ、立ち上がる。
剣を構えるも次の一撃を耐えられる余力は存在していなかった。
しかし、その瞳は絶望などは現さず、只、その場に構えるペリグロッソに対してディランは再度拳を振り上げる。
「情けか、次の一撃で決めようぞ……強き弱者よ」
「強き弱者か……不思議なものだな、獣帝国最強と呼ばれし儂が、本当に不思議なものよ……」
ディランの拳が再度、ペリグロッソに襲い掛かる瞬間、構えた剣を大きく振り下ろす。
最初同様に剣は通らない。しかし、ペリグロッソはその一撃を食らわせる事によっつ、拳の回避する。
ペリグロッソの行動にディランは連打を打ち出していく。
しかし、次第にペリグロッソは刃の角度を変えることでディランに多少の切り傷を追わせていく。
そして、一瞬のタイミングをはかり、大剣を斜めに構えると、ディランの拳に刃を合わせる。
「意味がないことは承知しているだろうに……強き弱者と言ったが撤回しよう……愚かなる弱者よ」
しかし、その言葉はすぐに再度、撤回される。
ペリグロッソは魔石を発動する。
その魔石は炎を出せるわけでも、風を操れるわけでもない代物である。
魔石の力は、“若返り” ペリグロッソはその力を使い、自身の体を若返らせると、力強く大剣を振り抜く。
大剣が振り抜かれた瞬間、ディランの表情が豹変する。
先ほどまで、一切通らなかった刃がディランの腕を切り落としたのだ。
「キサマッ! ふ、ガハハハッ! 良いぞ、良いぞ! 我に傷を負わせし存在よ! さあ、全力で互いの力をしめそうぞッ!」
ディランの切り落とされた腕が消滅すると、新たな腕がディランの傷口から再生する。
「くっ、厄介な存在だな?」
「我はナーガ、最強を欲する存在なり!」




