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三種の狂者×力ある者×紅の世界……3

 ドルベルド伯爵に勝利を前に再度笑みを浮かべ、見下すようにシュゲンに視線を向ける。


「弱い……実に弱すぎるのであ~る。敵としては本当に御粗末で我輩は落胆したぞ? 薄汚いエルイよ!」


 傷が思いのほか深いのであろうシュゲンは傷口を押さえながら、小さく呟く。


「……妾の勝ちじゃ、蝙蝠男……」


 次の瞬間、ドルベルド伯爵の足元から凄まじい勢いで木の根が姿を現し、ドルベルド伯爵の全身に絡み付き繭を作るように次第に重なっていく。


小癪(こしゃく)な真似を! だが、忘れたのか、我輩は分裂し、一匹でも助かれば再生可能であるのだよ!」


 即座に分裂を開始するドルベルド伯爵、その瞬間を待っていたと言わんばかりにシュゲンは笑う。


()ぜよ……」


「何を! ぬ、ぬわぁッ! な、なんだ! 何がおきているのであるか!」


 ドルベルド伯爵の複数の分身が突如膨らみだし、破裂すると同時に最初同様に無数の鋭い枝が刃のように襲い掛かる。

 その瞬間、繭状になっていた木の根からも同様の枝が内側に炸裂し分身を次々に貫いていく。


 その状況に慌てたドルベルド伯爵は慌てて、繭に残された一ヶ所の出口に分身を向かわせる。


 それを待ちわびたようにシュゲンが駆け出すと樹木の槍が突如、巨大な木の柱へと変化し、繭に出来た穴へと力強く叩き込まれる。


「や、やめるのである! ぬ、ぬわぁぁッ!」


 “ぶちゃッ!”と言う肉が潰れる音と共にドルベルド伯爵の声が沈黙する。


「妾は、エルイの長ぞ、侮る相手を間違えたようじゃな……蝙蝠男よ」


 勝利したシュゲンに駆け寄るペリグロッソ達。


「シュゲン殿、大丈夫か、傷が深かろうに無理をしおって」


 その場に胡座(あぐら)をかくように座るとシュゲンは微かに笑ってみせる。


「なぁに、ちと、傷をおったが……植物が傷を癒着させてくれておるからな、心臓まで到達しておらなんだら、問題はないわ」


「まったく、規格外の存在よな。肝が冷えたぞ。あとは任せて、休んでいろ……残り二体は我々が引き受けた」


 その言葉を現実にするように二つの球体に亀裂が入り、一つの繭の中から裸体の女性の上半身が姿を現す。

 顔は絶世の美女でありながら、次の瞬間、誰もが表情を強張らせた。


 上半身が人間の物でありながら、下半身は蜘蛛(クモ)と言う歪な姿、三メートルはあろう全身を露にすると、糸で胸元を隠すように衣服を作り出す。


 それと同時に片方の球体からは上半身が男で下半身が大蛇、顔は魔獣のような姿をした巨大な化け物が姿を現す。


「なんとも賑やかで、あら、ドルベルドったら、やられちゃったのね? 次の復活まで、再会はお預けね?」


「致し方無い、奴は種に自惚れておったからな、本当に愚かな男であった」


 二人の落ち着いた会話が更に皆の危機感を強めていく。


 そんな最中、ペリグロッソが声を張り上げる。


「我は獣帝国ガルシャナ軍、総大将、サンジュラム=ペリグロッソ! 恨みはないが、友であり、義理の息子の為に押しとおらせていただく!」


 ペリグロッソの言葉に二人が反応をみせる。


 女性の方は頭を軽く下げると笑みを浮かべる。


「初めまして、私はテペルです。見てもわかりませんよね? ふふ、私はアラクネって言う種なんですよ。今は存在しない最古の種になりますね」


「我はディラン……ナーガの長であった者だ」


 二人が種族を証し、名を名乗る。その次の瞬間には凄まじい殺気を放ち出し、敵であると意思を無言のままにペリグロッソ達に伝えたのだ。


「どちらから戦いたいですか? 私はどちらからでも構いませんが、二人同時は嫌ですよ? ふふ」


「無論だ、我はナーガ族の誇りに誓い、一人での勝負を所望する」


 互いに一対一の戦闘を望むと口にすると、ペリグロッソもそれに答えるように片手をあげ“待機”を全員に知らせる。


「申し出、有りがたく頂こう、儂が其方達と一人づつ戦わせて貰う!」


 ペリグロッソの言葉にナーガ族のディランが前に移動する。


「ならば、我が相手をしよう。その力を全力で示すがよいぞ!」


 両者の意思が露にされると、テペルが笑みを浮かべる。


 その瞬間、シュゲン、獣帝軍とエルイの民達が突如、宙に縛りつけられる。


「何をした!」


 慌てるペリグロッソに対してテペルが口を開く。


「単純に邪魔が入らないようにしただけですよ、それに私もお腹が空きましたし……ふふ」


 そう語ると、テペルは手近に糸で縛られた兵士に向けて近づくと口を開く。


 舌を出しニヤリと笑う、舌の先端は針のようになっており、その()を心臓部に射し込む。


「ぎゃあ、ああ……あ……」


 兵士の動きは止まる。


「ううん、ご馳走さま……凄くいい味だったわよ」


 舌を抜かれた兵士の体から、液体が流れ出す。


「悪趣味な、悪食女め……」


 ディランがそう口にする。


「失礼ね? 生きたまま、噛み砕くような貴方と、ちゃんと溶かして死んでから食べる私、どっちが悪食なのかしら?」


 まるで、食事の仕方を話し合うような二人に対して、ペリグロッソは無言のままに剣を握り、ディラン目掛けて斬りかかった。

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