紅の女王×血状の力×否定の王……3
獣帝国が動けぬ最中、二国兵団が黒猫に対して襲い掛かる。
既に心を決めたマカルデア帝国の女帝シェルビー=ムガナは容赦なく全兵の銃口を黒猫へと向けさせる。
それと同時に女帝シェルビー本人がアバン王国の総大将に向けて銃口を向ける。
「主人を殺す輩を信頼できると思うか?」
男に向けられた銃口、長めの黒包と向かい合った瞬間、叫びながら走り出す。
「ウワアァァァッ!」
「愚かに足掻くか……本当にサンガの奴が報われぬな」
“ダンッ!”
「死んで、アバン=サンガに詫びてまいれ」
一瞬の静けさ、その先に煙を吐き出す黒包。
「よいかッ! アバン=サンガは国を思い、民を愛した男であったッ! しかし、我等は決断した、アバンの意思を継ぐものは我と共に黒猫を討て! それこそが国を繋ぐ方法ぞ」
アバン王国軍が再度、息をのむ。
「本当の決断をせよッ! アバンの兵よ! 黒猫を追うが我等の為すべき決断ぞ。そして、敵を見謝るな! 真なる敵は一点のみ!」
その瞬間、アバンの戦士達はマカルデア帝国の女帝シェルビー=ムガナの言葉の真意を垣間見た。
黒猫を討てとは言わず、“追う”と口にし、“真なる敵は一点のみ”と語ったからだ。
その瞬間から、不安を露にしていたアバン王国軍が表情を変える。
マカルデア帝国と共に黒猫の後ろを追い始めたのだ。
無数に発射される弾丸は黒猫の頭上をギリギリで飛んでいくも、一発として命中する事はない。
しかし、他者から見れば、凄まじい戦闘が行われているように見えるだろう。
マカルデア帝国の考えを理解した獣帝国軍とエルイの戦士達も反対側より、一気に全身する。
全勢力が黒猫を追うような形で動き出すと、キャトルフは各自の表情を確認する。
「ふ、どいつもこいつも、俺達を討とうって面じゃないな……アバン王の犠牲は無駄にはしない……お前らッ! 一気に突っ込むぞッ!」
「「「おおぉぉ!」」」
「「「うおぉぁ!」」」
黒猫の団が速度をあげる。
そんな最中、城門を前に馬に跨がり、フードを被った男が道を塞ぐ。
その外見に黒猫の誰もが動揺した。
「大変残念だ、キャトルフ……こうならぬように願っていたが……すべてを儂の剣で終わらせよう」
「モルガ爺……何故!」
黒猫の前に姿を現したのは、黒猫の団、後方支援大隊総指揮──モルガ=グレイヴであった。
「何故か……それは儂がリアナ王国に剣を捧げた存在だからだ……済まぬが、此処ですべてを終わらせる!」
偶然の出会い、親であり祖父としてしたい、仲間として信頼してきた存在の刃がキャトルフに向けられる。




