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紅の女王×血状の力×否定の王……1

 黒猫内部で起こった有り得ない現実、それは前線を駆け抜ける多くの者達にも降り掛かり始めていた。


 新国家グレストロに対して勝利を目前としていた新王帝連合であったが、全軍が城内を占拠せんと足を踏み込んでしばらくすると、正門が凄まじい勢いで閉じられる。


 罠である事実はその場に居合わせた誰もが理解していた。


 しかし、既に新国家グレストロの大半を占拠した状態からの行動に皆は危機感を感じていた。


 そんな最中に人知れず、グレストロ城(旧リアナ王国城)で剣を振るい返り血を笑いながら浴びる女の姿があった。


 数名の部下を連れ、何一つ迷うことなく、剣を振り抜いていく。


 多くの騎士が正面から立ち向かうも、剣を止める事は出来ず、次々に命の炎を消していく。


 そして、王座を前に艶かしい笑みを浮かべる女。


 その先には新国家グレストロを建国した元リアナ王国の大臣の姿が存在しており、建国に賛同した他の大臣や重役の首が地面に転がされていた。


「久しぶりね、大臣……いえ、グレストロ国王陛下とでも、呼ぼうかしら?」


 笑いながら冗談めいた発言をする女の姿にグレストロの王は頭を下げる。


「も、申し訳、御座いませんでした。ですが、私だけが悪い訳ではなく……」


 “ザシュ……”


「頭を下げたなら、首を落とされる覚悟が出来たって合図よね……本当に良く踊ってくれたわ……ありがとう大臣」


 そう口にすると、王座に向けて歩き出す。


「嗚呼、御父様……なんて愉快な日なのかしら、御父様の大切にしていた物、すべてが粉々になったわ……アハハ、でも……まだよ」


 城内から真下を見つめ、ライム女王はクスクスと笑う。


 城門の前では未だに、中に侵入出来ていないように装う、リアナ王国軍の兵士の姿があり、グレストロ軍に成り済ました兵士とわざと時間を稼いでいたからだ。


「さあ、すべてを終わらせましょう、神を斬り殺す存在は私の未来には不要だもの」


 ライム女王はそう呟きながら、王座の下側にあるブロックを動かし始める。


 “カチャ”と歯車が噛み合う音がすると王座の後側に隠された仕掛けを起動され、壁が開き出す。


 無数の箱が並べられた小さな部屋があり、その中央には聖杯が一つ置かれており、箱に向けて無数の細い線が繋げられている。


 剣を手首に押しあて、流れた血を聖杯に流し込むライム女王。


「さあ、新たな主に力を貸しなさい! それとも、貴方達はゴミ屑のように砕かれたいのかしら?」


 聖杯を通じて、箱に流れ込む血液。真っ赤に染まる線が微かに振動すると箱が“カタカタ”と動き出す。


『ダレダ……我ラノ……ネムリヲ、何故ニ妨ゲル』


 箱から低く歪な声が室内に響いていく。


「やっと目覚めたわね……あんまり血を流させないで欲しいのですが?」


『質問ニ、答エヨ! 何故ダ』


「否定の一族が動き出したわ……しかも、力を既に手にしている……此処まで言えば理解して貰えるかしら?」


 “ガタガタ……ガタガタ”


 箱が一斉に動き出し、一斉に停止するとゆっくりと全ての箱が開き出す。


『ヨカロウ……欲深キ者……貴様ニ、使ワレテヤロウ……死シテ、怨ムデナイゾ』


「えぇ、私は神に選ばれた存在ですから……死など有り得ないですのよ」


『アハハハハッ! 受ケ取レッ欲深キ者ヨッ!』


 城の上に暗雲が立ち込め、次第に新国家グレストロ(旧リアナ王国)全てに拡がっていく。


 新王帝連合の内部でも、直ぐに異変に気づき、ざわめき出す。


 そんな最中、真っ赤な閃光が撃ち放たれる。


 “シュンッ!”


 “ズガガガガッ!”


 凄まじい勢いで建築物が粉砕されていく。


 土埃が舞い上がる最中、城のバルコニーから不気味に光る真っ赤な瞳に皆の視線が釘付けになる。

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