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疑心暗鬼×信じる心×奪われた信頼……2

 一国の女王が誰も疑わないと口にした瞬間、誰もが口をつぐむ。


 進軍を控えたタイミングで起こったこの事実に対して、黒猫の団から再調査を行う為、情報収集部隊が動き出す。


 グリムとシャナの二名が直々に調査に向かい、二日後に帰還する。


 二名の報告は即座に新王帝連合の全勢力に伝えられる。


 水路内部は緩やかな坂が数段別れて繋がった造りになっている事実を確認する。


 戦闘の痕跡あり、しかし、亡骸の回収は叶わず、中間地点から入り口に掛けて、壁に新しい切り傷を複数箇所で確認。


 水路内部での敵からの接触は無く、敵の武器、人数、種族、全てが不明である。


 中間中央は巨大な空洞、その先、壁に多少の傷あり、最終地点まで進むも敵、現れず、来た道を再度調べながらも変化無し、調査を終了し帰還せり。追記、渡された図にない箇所が多数あり印と内容を記す。


 報告の内容を聞き、ライム女王は疑問を口にする。


「水路の中心に空洞ですか?」


「そうっす、渡された図と説明になかった部分になるっす」

「あ、あと、坂も一段増えてたし」


 グリムとシャナの言葉、書き足された図を確りと見つめるライム女王。


「考えをお聞かせくださいますか、グリム様、シャナ様」


 二人の意見は、物は一緒であるが、内部は別物であると言うシンプルな物であった。


 そんな話し合いの最中、一人、会話を割るように手をあげる者がいた。


「話は簡単じゃ! 妾が直接、その場に出向く。それに最適な人材を連れてきておるからのぉ」


 そう語ったのはシュゲンであった。


 ざわめく最中、キャトルフが口を開く。


「シュゲン様、任せてよいのですね?」


「無論じゃ、妾も無策で突っ込む程、若くないからのぉ」


 シュゲンの言う、最適な存在とは水神【コリエンテ】の巫女──エリスト=ミリアであった。


 【ラタナ要塞】防衛の話を聞き【ウォルベア】から、元聖騎士の部隊と共にミリアが防衛に参加していたのだ。


「それより、実際にアストゥトなる者達と同行し帰還した者と直接話がしたいのじゃが……呼べるかのぉ?」


 そう言われ、直ぐにライム女王は帰還した者を呼ぶように指示を出す、しかし、既に【ガドロヌ】の何処にも姿形は無く、その事実から、内通者であった可能性が高まる結果となったのだ。


「まさかの幕切れか……だが、それならば計画を早めるまでだ。既に出陣の用意は整ってんだ。今から二時間後、第一の関所【スレトア】に向けて進軍とする! 問題があるなら、今言ってくれ」


 キャトルフの発言に笑う者はいたが、反対する者は一人も居なかった。


 既に内情は相手に知られているならば、先手を打ちにいく。

 傭兵としての経験がそう告げた結果であった。


 【スレトア】進行、其処に集まった数多の戦士達は残り僅かな戦闘だからこそ、気を引き締めていた。


 油断と死は隣り合わせであり、生き残りたいと、考えれば臆病風に吹かれる。

 死を寄せ付けぬ警戒心と平常心が生きる最善策であり、勝利を手にする鍵である事実を各々が心に刻んでいた。

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