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二国の王×ガドロヌ×進軍の先に……6

 勢いを殺すことなく、駆逐を目的に乱暴に馬を走らせる男達。


 しかし、直ぐに逆らってはならない存在だと気づく事になる。


 正面から突き進んで言った筈の騎馬が影に捕まり、更に別の闇から無数のアンデッドが姿を現す。


 四方に散らばり逃げる歩兵達、その背後から凄まじい速度で追い討ちを掛ける者達。


 正面から受ける騎士達の首が一人の女戦士の刃の前に宙を舞う。


 数分の悪夢が続いた先には、肉塊が散乱し、緑すら赤く染める地獄絵図のような世界が拡がっていた。


 シシリアが死者達を土に沈めると同時に数百の敵であった存在がまるで始めから存在しなかったように姿を消す。


 情報収集部隊が、血液の付着した木々の皮を軽く削り、葉を即座に千切っていく。


 戦闘開始から瞬く間に本当の意味ですべてがなかった事となったのだ。


 そんな黒猫の団に向かって、更に駆けてくる騎馬と歩兵隊の足音、シシリアと部下達が索敵を行い数を調べる。


「副団長、反応は1つの塊になって移動してますが、移動速度からして多分、二つです」


 シシリアの言葉に風薙は少し悩んで見せると、黒猫の団に手を出さぬように指示を出す。


 全員がその場に立ち止まり、シシリアには随時、索敵を行うよう指示がされる。


 そんな最中、大軍が姿を現す。


 外見を確認すると風薙はニンマリと笑みを浮かべ、手を胸に当てると軽く頭を下げる。


「アバン王国とマカルデア帝国の兵士方とお見受けしますが、間違いないでしょうか?」


 風薙の言葉に一人の騎馬が受け応えをする。


「如何にも! 我々は二国は新王帝連合、アバン王国、マカルデア帝国の二国兵団である。其方達も名を聞いたならば、名乗るのが礼儀であろう!」


 頭をあげる風薙、背後に向けられた手は“待て”と言う合図を示していた。


「此れは失礼致しました。オレ達は黒猫の団です。あ、因みにオレが副団長の風薙です」


 『黒猫』と言う言葉にざわめきが起こり、受け応えをした騎士の背後から一人の男が前に出る。


「知らぬとは言え、部下が失礼な物言いをした。深く御詫び致します」


「いやいや、いきなり弓でも引かれたらどうしようかと肝を冷やしましたよ」


「御冗談を、弓を引いていたなら、此方が全滅していたやも知れません。此方の尖兵が先程の戦いに震えております」


 司令官は尖兵が余りの衝撃に上手く報告が出来なかった事実を語り、更に敵でない確信が持てずにいた事実を謝罪する。


 黒猫の団に向かって来た集団はグレストロの兵士であり、アバン王国とマカルデア帝国の大部隊が帰還する直後、要人が移動された事実を知った兵士達により、アバン王国で再度反乱が起きたのだ。


 煙が上がるアバン王国の異常に気づいたマカルデア帝国側は、帰還を中断するとそのまま、アバン王国に向かう、其処からは激しい戦となる。


 帰還を目的としていたアバン王国軍とマカルデア帝国軍は即座に戦闘に入れたが、突然の事にグレストロ側の兵士達は装備もままならぬままの戦闘が開始される。


 その際、マカルデア帝国側からもグレストロ軍が増援に動く。

 しかし、既に敗北を決していたアバン王国側のグレストロ軍の存在に気づき、マカルデア帝国から向かっていたグレストロ軍は、マカルデア帝国へと戻ろうと考えていた。


 だが、先回りをされ、マカルデア帝国へも戻れなくなったグレストロ軍は第二の関所である【ガドロヌ】を目指して逃亡を開始したのだ。


 当然ながら、既に第二の関所(【ガドロヌ】)での戦闘は終結しており、どちらにしても、グレストロ側に生存の道は残されていなかった。


 すべてを語ると二国兵団は報告を目的に帰還する。


 王帝連合へも報告を願い出たが、風薙が報告する事で話がまとまり、六日後に進軍再開の事実がアバン王国とマカルデア帝国に持ち帰られる事となった。


 風薙は一連の報告をシシリアに託すと用があると数名の鎌鼬を連れて、その場を後にした。


 その後のキャトルフとアルガノの監視も無事に終わり、夜を迎える。


 二人の【ガドロヌ】帰還と同時に監視もなくなり、すべてが通常通りに戻る。


 風薙が鎌鼬と共に帰還したのは、次の日の昼であった。


「進軍の用意が整うまであと少しだなぁ……取り敢えず、寝みぃ……報告を頼むよぅ……オレは寝る。報告が終わったら確りとお前達も休めよ?」


「了解しました」


 風薙に託された報告をキャトルフに伝える鎌鼬。


 全てを段取りが整い、集結を待つのみとなった新王帝連合の姿がそこにあった。

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