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二国の王×ガドロヌ×進軍の先に……5

 強引に決められた休日、夜が静かに眠り、朝日が顔を出す。


 前日の話し合いの後に、アルガノはカルミナにも、計画を伝えていた。

 

 アルガノの為に朝からキャトルフのボサボサ髪を整え、更に服も普段着とは違い、メルが用意した貴族が好むような服を着させる。


「おいおい、カルミナ? 本気でこんな堅苦しい服を着させる気か」


「当たり前でしょ、それとも……カヤンちゃんを泣かせた事実を忘れたのかしら?」


 棘のある言葉に口を閉ざすキャトルフ。


 身形が整えられ、ボサボサの髪がオールバックに固められると立派な青年と言う印象を皆に与えた。


 しかし、一番の驚き露にしたのは用意を整え、迎えにやってきたアルガノであった。


 キャトルフの姿を見るなり、瞳を輝かせ、頬を染める。


「マスター、格好いい……」


 アルガノの言葉に照れるように顔を下に 向けるキャトルフ。


 そんなキャトルフに合図をするカルミナ。


「あ、ありがとうな、カヤン、お前も凄く似合っているぞ。惚れ直してしまったぞ」


 照れるアルガノ、そんな二人を送り出すと外には既に馬が用意されており、二人をカルミナと他の団員達が見送るように手を振る。


「カルミナの姐さん、団長とアルガノ隊長ですが、二人だけで大丈夫ですかねぇ?」


「寧ろ、二人は夫婦なのよ? 普通が無さすぎるのよ。日常を楽しむ権利は皆にある。戦う以外の方法で一緒に居てくれないと困るわよ」


 カルミナはそう呟くと、団員達と共に進軍の準備に戻る。


 当然だが、二人の行動に対して秘密裏に護衛が送られていた。


 実動部隊は副隊長──風薙、直属部隊【鎌鼬】更に獣戦士特攻隊からは副隊長であるセラ=シェルムがあてられた。


 同時に情報収集部隊からは隊長──デルモ=グリム、副隊長──ヤハナ=シャナ、索敵部隊からも、隊長──シシリア=リースと部下達が行く先々の警戒をする形になっていた。


 黒猫の団は事実的な休暇とはいかないが、誰もが其れを望んだ結果の動きであり、キャトルフとアルガノの平和な時間を作りたいと考えた結果でもあった。


 キャトルフとアルガノが最初に向かったのは第二の関所【ガドロヌ】から近い湖に向かっていた。


 湖の先にはアバン王国とマカルデア帝国に繋がる道が続いており、第二の関所【ガドロヌ】を制圧した結果、大きな戦力を取り戻す結果に繋がっていた。


 馬を木に繋ぎ、湖の畔を歩く二人。


「ねぇ、マスター、ボク達はいつまで戦うのかな?」


「いつまでか……なら、今回の戦いが終わったら、傭兵団を廃業するか?」


「え!」


 予想だにしない言葉に驚きを露にするアルガノ、その表情にクスクスと笑うキャトルフ。


 そんな二人はゆっくりとした時間を過ごしていく。


 太陽が真上になり、昼になる。


 アルガノが持参したバスケットから、サンドイッチが取り出されると二人は静かに昼食を口にする。


「……! 塩っぱい……ボク、塩を入れすぎたんだ……」


 アルガノの言葉を聞きいた、キャトルフはそれでも、表情を変えずにサンドイッチを食べていく。


「俺は美味いと思うぞ。頑張ったな、最高の昼食だ」


「な、違うから! ボクはもっとちゃんと作れるよ……ただ、疲れたら塩を取らないと駄目だって、聞いて……」


「嗚呼、最高に疲れが取れたし、次は疲れて無いときに、その自慢の料理を楽しみにしてるぞ」


 笑い声と拗ねたような声が響く湖の畔。


 そんな最中、アバン王国、マカルデア帝国側から数十騎の馬と数百人単位の人影が第二の関所【ガドロヌ】へと進んでいく。


 その背後からは数百の騎馬とその倍程の足音が凄まじい勢いで移動していく。


 当然ながら、キャトルフとアルガノに気づかれぬように黒猫の団から各隊長達が動き出す。


「ち、面倒なタイミングでしかも、この場所で鉢合わせかよ……ダルい奴らだなぁ」


「副団長、直ぐに動かないと団長達に気づかれます」


「セラは真面目だなぁ~まあ、確かにそうなるなぁ……鎌鼬、全員直ぐに動くぜぇ」


「「「御意」」」


 風薙とセラ、鎌鼬が動くと同時に、シシリアと情報収集部隊のグリムとシャナが動き出す。


 全体で百人にも満たない黒猫の団であったが、誰もが勝利を表情に出していた。


 湖に繋がる道から少し離れた開けた平地に即座に移動する黒猫の団員達。


 正面から突き進んでくる騎馬隊を前に風薙が風の防壁を作り出す。


 音の振動を消し去る為の物であり、キャトルフとアルガノに気づかれないように考えた配慮であった。


「く、待ち伏せか? 構わぬ! 奴等は少数だ、止まるなッ!」


 指揮官らしき男が叫び、騎馬隊に続き、歩兵隊が槍を前に構える。


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