二国の王×ガドロヌ×進軍の先に……4
アルガノの考えは次第に現実に近づいていく。
「いいっすか、今のガドロヌには、見て回る場所なんてのも、全てないっす。だからこそ、アルガノの魅力で団長を何とかするっすよ!」
服が決まり、顔には薄く控え目な化粧が施され、後ろ側に束ねられている髪は綺麗におろされ、ブラッシングされていく。
「メル……その、ありがとう……」
「いいっすよぅ、メルとアルガノの仲じゃないっすか、それよりも、団長は紳士気取りっすから、頑張らないとっすよ」
「マスターは……紳士気取りじゃない・・・紳士なの……」
もじもじと、照れるように呟くアルガノ。
「乙女っすねぇ、でも、今回は紳士すら、獣にするくらいにやらないとっすね!」
その日の夕方、普段通りの隊長としての衣服を纏ったアルガノの姿があった。
立ち止まった先は獣帝国軍が待機する建物であった。
総大将であり、父であるペリグロッソを尋ねる為にアルガノは足を運んだ。
建物の前には見張りの獣帝兵が四人おり、予期せぬ訪問者に慌てて門の前に整列する。
「アルガノ様、何故……此方に?」
「ふぅ……パパ、じゃなくて……ペリグロッソ将軍いる?」
「ペリグロッソ将軍でしたら、先ほど尋ねて来られました、黒猫の団、団長であらせられるアルベルム様と護衛のカルミナ様と上の部屋で話をされていますが……」
予期せぬ先手にアルガノが、慌てて門を突破しに掛かる。
「お、落ち着いてください……アルガノ様、本当にお止めください!」
見張りに当たっていた四人の獣人の顔色が豹変する。
計画が遂行できない可能性に危機感を感じたアルガノの表情は無表情でありながらも鬼神が放つが如く凄まじい闘気を全身から駄々漏れにしていた。
「あ、アルガノ様……」
「其処を……どいて……今すぐに!」
見張りの四人が直ぐに開門し、アルガノが獣帝国軍の臨時拠点の中へと進んでいく。
凄まじい殺気じみた闘気に気づいた獣帝国兵士達が次々に姿を現すもアルガノを前に敬礼をする形で止める者は存在しなかった。
しかし、騒動になれば、直ぐにペリグロッソも姿を現す。
「何事か! ん? カヤンではないか!」
「あ、パパ……マ、キャトルフとカルミナは?」
「……儂の使っている部屋で待たせているが?」
「パパ……あの、明日一日、黒猫に休日を取るようにキャトルフに言って欲しい……」
「……そのつもりで、呼んでいるんだがな、奴め、頑固でな……寧ろ、お前からも一緒に言ってくれんか?」
アルガノから発せられていた闘気が一瞬で消えると、ペリグロッソの手を引くように移動を開始する。
「それなら、最初から呼んで欲しかった……」
「いや、すまぬ……キャトルフには一緒に連れてこいと言ったんだか、用事があると、部下達が居場所を教えなかったらしくてな、何処に行っていたんだ?」
「な!」
アルガノはその瞬間、自身が朝からバレぬように行動していた事実を思い返す。
「なんでもいい、取り敢えず……休日を取るように言うから!」
ペリグロッソと共にアルガノが姿を現すと驚いたようにキャトルフとカルミナが視線を向ける。
「カヤン、何処に行っていたんだ? 捜していたんだぞ?」
「そうよ、カヤンちゃん、皆に聞いても、教えてくれないから心配したわ」
二人の言葉に申し訳なさそうに頭を軽く下げるアルガノ。
それから直ぐにペリグロッソが皆を席に着かせると話し合いを開始する。
其処からはアルガノ、カルミナ、ペリグロッソによる説得が開始される。最終的に頑固なキャトルフの前で涙すら浮かべたアルガノの勝利に終わる。
それと同時にアルガノが勝負にでる。
「なら、一日、ボクとすごしてよ……キャトルフ、ボクと一緒じゃ、いや?」
三人からの視線が向けられる。
「い、いやとか、そう言う問題じゃないだろ?」
「ゴホン!」
ペリグロッソのわざとらしい咳により、すべてがまとまる。
最後は笑顔すら浮かべるアルガノを前にキャトルフとペリグロッソ、カルミナも笑みを浮かべた。




