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二国の王×ガドロヌ×進軍の先に……1

 黒猫の奇襲、本来の目的とは、囚われていた要人の奪還であった。


 グレストロ軍はその殆んどの兵が他国から捕らえた捕虜であり、情報収集部隊は【ガドロヌ】の中心街に今回参戦する多くの奴隷兵達の国の要人が囚われた状態で連れて来られている事実を掴んでいたのだ。


 風薙と【鎌鼬】は要人の解放と安全の確保を目的として動いていたのであった。


 ダゥの存在は予想外の苦戦を強いられ、既にグレストロ兵が増援に動き出す最中、風薙達は次々に馬車()を破壊し、要人達を解放していったのだ。


 繋がれた鎖が断ち切られ、外に次々に姿を現す要人達、その光景に慌てて包囲を開始するグレストロ兵。


 しかし、予想だにしない光景がグレストロ兵を襲う事となる。


「……ハァ、静まれいッ! よく聞け! 我はサンガ、アバンの王なり! 時は来たッ! 戦士達よ、真の敵を斬り払え!」


「おお、自由とは本当に素晴らしい……私もまけられませんね……聞けぇ、マカルデアの勇士達よ! 私、ムガナは偽りの罪は解き放たれた、今より、誠の開戦ぞっ!」


 隣国……アバンの国王、アバン=サンガ。


 隣国……マカルデアの女帝、シェルビー=ムガナ。


 両国の代表と一緒に連れられてきた要人達が次々に解放されていく。


 それと同時に風薙が風を操り、大空の雲に向けて放ち、救出成功の合図を造り出す。


 合図を確認するとシャナの影兵達が風薙達を守るように移動を開始する。


 しかし、二国の代表は逃げることを望まず、声が届かぬ者達が戦い続ける前線へと移動する意思を示したのだ。


 前線では、グリムの操る【ノルテ・トルトゥーガ】に対して勇猛果敢に攻める戦士達の姿が存在した。


 独自の発言にて、敵に真意を掴ませぬように動き、槍と盾を得物として臆すること無く、数百倍も大きく見えるであろう【ノルテ・トルトゥーガ】に対して攻撃をし続けていく。


 槍と盾の戦士達はアバン王国の生まれであり、捕虜となり、奴隷兵として戦っていた。

 アバンの国王が捕まっている為にグレストロ軍側に嫌々参戦していた。


 更に巨大アンデッドにも、別の戦士達が攻撃を開始していた。


 火薬を好む戦い方と鉄砲を用いた長距離からの高速射撃を連打で撃ち込んでいく。


 火薬と銃の戦士はマカルデア帝国の銃帝団であり、本隊であるマカルデア軍と共に女帝シェルビー=ムガナの身を守り、いざとなれば、反乱を企てる算段にて【ガドロヌ】の防衛戦に参戦していた。


 本来ならば、落とされる筈のない両国は、リアナ王国との付き合いも長く、新国家グレストロが建国宣言をして直ぐに動いた国でもあった。


 大軍を率いて、王が、女帝が、自ら戦地に赴く程の勇敢な国でもあったのだ。しかし、それが仇となったのだ。


 内部からの裏切りはリアナ王国同様に、両国でも起こり、自然五精神の力を有した巫女達により、両国の王が足止めされる結果となる。


 両国内部からの反乱により、人質として、家族を捕らえられた王達は奮闘虚しくも拘束され捕虜となったのだ。


 しかし、今回の【ガドロヌ】防衛戦では、グレストロ側の予想だにしない動きが水面下で起きていた。


 本来ならば、一ヶ所に集めぬ筈だった両国の捕虜が中心街に集められていたのだ。


 それこそが、両国の内部で反旗を翻した要人達による者であり、両国の刺客を使い、互いの王と女帝、更に一族の暗殺を計画していたのだ。


 そして、刺客が暗殺に失敗した際の保険として、蛮族の戦士、ダゥ=ヌガを同行させていたのだ。


 貧困に喘ぐダゥ=ヌガの国に対する支援を餌に王を招き交渉の末に暗殺の保険として、ダゥ=ヌガを王が向かわせたのだ。

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