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生きる者達×戦う者×ガドロヌの夜明け……5

「御礼参りといきたいが、今回は人助けだ、乗り気には、なれないけどさぁ、悪い気はしないよなぁ」


「副団長、作戦に集中してください」


「わかってるよ、それより、問題は中央突破をどうするかだな……って! グリムのやろう……また、とんでもねぇモノを持ち込みやがったなぁ……マジに笑えねぇや」


 グレストロ軍の誰もが頭上を見上げる……空気が一瞬で凍りつくような光景が敵兵の視界に入り込み、身を震わせる。


 余りに巨大な怪物……二首の亀の化物【ノルテ・トルトゥーガ】のアンデッドが【ガドロヌ】の正面から姿を現す。防壁から既に体がはみ出す程の巨体と八本の足を使い、真っ直ぐに防壁を目指して進んでいく。


 防壁の遥か頭上から岩よりも巨大な足が無情に振り下ろされる。


 ガガガ……ズガン!


 亀裂から一気に砕け散る防壁、防衛の拠点として存在した第二の関所【ガドロヌ】しかし、それは対人に対しての作りであり、前代未聞の怪物【ノルテ・トルトゥーガ】を相手に出来る装備等、存在しなかったのである。


 防戦すら間々ならぬ状況で更に内部からも、影の兵士達が襲い掛かり、数に勝っていた筈のグレストロ軍は未知の敵を前に混乱を余儀無くされていた。


 グレストロ軍の統率が薄くなった直後、風薙と【鎌鼬】が防壁の外から風を全身に纏い、【ガドロヌ】内部を目指し、天高く飛び立つと防壁を軽々飛び越えて侵入していく。


「さて、いくぜぇ……目的は一つ、いや、複数だ! 奴等の眼を覚まさせるぞ! いいなぁ」


 風薙と【鎌鼬】は市街地の中心に複数の檻状になった馬車が止められており、数十人のグレストロ兵が武器を構えて見張っている。


 防壁の破壊が確認され、慌てて逃げようとする馬車から繋がれた馬が突如、駆け出し逃げ去っていく。


「な、何があった! うわぁぁ!」


 馬を失った馬車を守るように展開する兵士に対して、見えない風の刃が襲い掛かり、それに気を取られた複数の兵士に対して【鎌鼬】が奇襲を掛ける。


 次々にグレストロ兵士が倒れる最中、口笛を吹きながら、近づいてくる一人の男。


「~ん、本当にヤバイなぁ……でも、仕事は仕事だから……仕方ないか……ハァ」


 空気が一瞬、変化するのを感じた風薙、姿を現した禍々しい殺気を放つ男に視線が向けられる。


「おや、いけない……殺気を出しすぎたか、あはは、まだまだ落ち着けねぇなぁ……そう思わないか、敵さんよう?」


 風薙に向けて、笑いながら問い掛ける。


 そんな男の風貌は、騎士や兵士等とは違い、蛮族に近い見た目、腰には小刀が装備され、衣服は全身にボロを身に纏い、束ねられた真っ赤な髪、ボロから見える褐色(かっしょく)の肌、耳はエルフ等を思わせる程に鋭く伸び、凛とした表情を浮かべながらも殺気の抑えられぬ瞳を有している。


「初めまして……私は、ダゥ=ヌガ。いやぁ……実に素晴らしい奇襲じゃないか、本命があると思ったが、まさか、私の前に現れてくれるなんて……」


「自己紹介ありがとうよ、オレは黒猫の団──副団長、風薙=颯彌だ。一つ質問なんだけどさぁ、お前はグレストロに自ら志願した側の人なのかな?」


 質問に対して、クスクスと笑うダゥ。


「私は、守りたい者がおりまして……ですが、運悪く私が国を離れている間に囚われの身になってしまいまして、仕方なく此度の戦に身を置いております」


 そう語ると殺気が風薙に向けられる。


「仕方なくって、殺気じゃないな……」


「申し訳ありませんが、守りたい者の為に敵を全て排除せねばいけませんので、御了承頂きたい……」


 会話で解決しない事を互いに理解すると両者は確認するように刃を前に向け合い駆け出していく。


 風薙が風で刃を包み込み、即座に勝負を決めようと切りつける。


 ダゥは、その刃を小刀で真っ向から受け止める。

 刃が触れ合った瞬間、風薙の額から嫌な汗が沸き上がる。


「おいおい、オレの刃を受け止めるのかよ……!」


「いやはや、私も驚きましたよ……まさか、反せない刃とは、本当に厄介なことで……」


 両者の刃が触れ合い、中心から凄まじい突風が巻き上がる。



 

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