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生きる者達×戦う者×ガドロヌの夜明け……1

   *   *   *


 ラタナ要塞司令官であるサルバは、自身の任された要塞から反旗が上がり、更に大量の兵を失った事実を理解し、ラタナ要塞の警護は少数とし、全力で裏切り者であるグレストロの兵を討ち取る必要があると発言したのだ。


 紅に染まったラタナ要塞に響く非戦闘員や住民の叫び声を間近に怒りを忘れられにいた。


 話を聞き、推測がキャトルフの口から発せられる。


「つまり、ラタナ要塞その物を捨てる気ってことか? アンタの言う、軍人の意地は既に狂気の域に達してると言う他ないな」


 ライム女王は、軍人と傭兵の会話に対して、恐怖を全身に感じながらも思いを口に出すことを避けた。その場で女王が発言をすれば、避けられる最悪の未来すら回避できなくなる可能性が其処に存在していたからに他ならない。


 テーブルに握られた拳が叩きつけられ、サルバが立ち上がる。


「勝たねばならぬ! 死んでいった同胞と未来を摘み取られた国民の為にも、今を逃す事は赦されぬのだ! 何故わからんッ!」


「嗚呼ッ! わからねぇな! 自分の懐から財布を取られたから、犯人を捕まえる為に家族ごと家に火をつけるって事だろうが!」


「そんな簡単な話ではない!」


「内容は同じだ! アンタの意地が今を生きてる要塞の連中を危険に晒そうとしてんだよ!」


「な……なにも知らぬ存在がッ!」


 振り上げられた拳、両者が強者としての本質を全身から解き放とうとした瞬間、凄まじい衝撃音と共に木製のテーブルが粉砕される。


「主ら、いい加減にせぬか……自身の主を前に軍人が好きに語り、すべてを巻き込んだ張本人の義理の息子(バカ息子)が、更に一国の女王を前に愚かに振る舞うのが常識的な話し合いか?」


 ペリグロッソの言葉に冷静さを取り戻す両者、静まる室内、外からは騒ぎに気づき、数名の足音が近づいてくる。


 ドアノブが回されようとした瞬間、ライム女王が外に声を発した。


「大丈夫です。大切な話に熱くなっただけです。話し合いが終わり次第、内容を皆に伝えますので、今は下がってください」


 駆けつけた者達は、ライム女王の言葉に返事を返すと、その場を後にする。


 熱が一時的に冷めると論点をわけて話し合いが再開される。


 ペリグロッソも発言に加わり、ラタナ要塞の守りに対して、本来のサルバ司令官の部下を三百名、獣帝国ガルシャナから五百名、黒猫の本隊から二百、後方支援大隊をラタナ要塞に待機させる形で六百を置く事を決める。


 ラタナ要塞の守りに千六百名が当てられる事となったのだ。


 両者の立場と発言を考慮した結果、ライム女王がペリグロッソに対して、防衛に対する兵の要請をした事で獣帝国ガルシャナからの兵を借りる事が出来る結果となった。


 本来ならば有り得ない結果だと、ペリグロッソは笑いながらも、サルバ司令官の武人としての心を汲み取った事実も其処には存在していた。


 話し合いを終えた四人が皆の元に戻ると、即座に結果が知らされる。

 獣帝国ガルシャナからは、ペリグロッソの信頼する側近から兵が選ばれる事となる。


 残る四勢力連合は明朝より、第二の関所である【ガドロヌ】へと向かっていく。


 新たな日のでは、新たな戦場への歩みとなる。

 気持ちを高ぶらせた兵士達は朝に向けて夢を見る。


 夜が開ければ、勝利以外の結果は意味をなさぬ現実()がやってくるのだ。

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