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水路の悪夢×屍の宴×新たなる者達……5

 ラタナ要塞では、既に待機していた兵士達により、ウォルベアから逃亡していたグレストロの兵士達が捕縛されており、尋問の末に黒猫同様に情報を聞き出していた。


 ラタナ要塞司令官は、四勢力連合がラタナ要塞に到着すると同時に進軍が可能な状態にしておきたいと考えて、軍備を整える。


 四勢力連合がウォルベアを出発して、三日が過ぎ、ラタナ要塞に到着する。


「サルバ司令官、女王陛下が戻られました!」


「わかった! 直ぐに出迎えの準備を整えよ!」


 豪快に声をあげる老人、白髪だらけの髪を確りと束ね、歳に似合わぬ鍛え上げられた肉体、顔には無数の古傷があり、歴戦の勇姿を物語る。


 この老将こそ、ラタナ要塞司令官──サルバ=レイドである。


「報告にあった通りなら、グレストロの連中は、もう第二の関所である【ガドロヌ】に到着してる頃か……良い頃合いよ!」


 四勢力連合を出迎えるラタナ要塞のリアナ王国軍に只ならぬ緊張が走る。


 それはウォルベアに旅立つ前より数段凛々しくなった女王ライムの表情によるモノであった。


「陛下、よくぞ御無事で……」


 司令官サルバが膝をつき頭を下げるとラタナ要塞の兵士達も同様に頭を下に向ける。


「良い、 寧ろ、ワガママを聞いてくれた、サルバ司令官には感謝しています。ラタナ要塞の防衛の人数を減らしてまで、願いを聞き入れて頂いたこと、心より感謝致します」


「勿体無い御言葉です。心より頂戴致します」


 一通りの挨拶が済まされると食事の席が設けられる。


 四勢力連合の兵士や戦士達は巨大な食堂に案内される。


 ライム女王、キャトルフ、ペリグロッソの三名はサルバ司令官と別席で食事をしながら、後の計画を話し合う事となる。


 キャトルフは食事の席に風薙を同席させたいと口にしたが、サルバがそれを認めなかったのだ。


 理由としては、団長と副団長が共に呼ばれれば、黒猫側は万が一に備え、動く用意をせねばならなくなり、それは四勢力連合全体に即座に亀裂や綻びを作り出すと言う物であった。


 連合を組んでいても、あくまで、黒猫は傭兵団であり、獣帝国ガルシャナは他の強国である事実は変わらない。


 ラタナ要塞内にも、不安を感じぬ者ばかりでない事実をサルバは嘘偽りなく語った。


 黒猫が疑いをもって行動すれば、内部で争いが起こる可能性を口にしたのだった。


 サルバの言葉に不快感を感じながらも、キャトルフは話し合いを続けた。


 そんな中、サルバはキャトルフの表情をみて、ニヤリと笑う。


「若いな、だが、感情で口を開かぬ辺りは流石は噂に名高い黒猫の団長と言う処か」


「うるせぇ、同盟なんだ、全部に腹を立ててたら、此方の身が持たないだけだ!」


 互いに不敵な笑みを作りながらの話し合いが続く。


 そんな両者に不安を感じながら、ペリグロッソとライム女王は苦笑いを浮かべていた。


 話し合いは結果から言えば、進軍と敵の殲滅で一致する事となる。


 その際、ラタナ要塞をほぼ空の状態にするか否かで意見が割れる。


「何故、わからぬ若造が! ラタナ要塞には三百の兵を残すと言っておるだろ!」


「だから、三百の兵で要塞を守りきれると考えるのが可笑しいんだよ! 頑固ジジイ!」


「「ぬうううッ!」」


 サルバ司令官は三百の兵士のみで、奇襲があった際に守れると口にする。


 しかし、キャトルフは通常の兵士が相手ならば可能だとしながら、神クラスの魔石(アーティファクト)を有した存在が未だに新国家グレストロにおり、奇襲された際に要塞その物が奪われる危険性を口にしたのだ。

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